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りんの挑戦1-1
チャレンジ りんの挑戦
第1章
1.アルバイト
「手を出して」
祐二に言われ、両腕を前に突き出しながら、りんは、少し震えた。
祐二は、りんの両手首をいっしょに縛る。
「初めてなのか?」
「いえ・・・でも、初めてみたいなものです」
うそではない。昔、つきあっていた男に何度か縛られたことはあるが、所詮、素人のお遊びに過ぎない。
りんが、デリヘルを始めたのは、半年前。
大学を出て、すぐに大手企業に就職したが、馴染めなかった。1年で辞め、派遣会社に籍を置いたが、別にこれといったキャリアのないりんには、あまりいい仕事は回ってこない。
アルバイトでデリヘルを始めた。
正確に言えば、学生時代にアルバイトをしていたデリヘルに復帰したというほうが正しい。
店の名前は、ベビードール。
りんは、店長の佐々木啓太から、直接、今日の仕事を依頼された。
相手は曽根祐二。
大事なお客さんらしい。
啓太に“なんでも彼の言うとおりにしてくれないか”と頼まれた。
何でも言うとおりに・・・・、というのは、たぶん、こういうことなんだろうと予想はしていた。
ほとんど何の家具もない部屋。
ただ、いたずらに広い空間の中央にいすがひとつ置かれている。
りんは、そこに座らされ、両腕を縛られようとしている。
天井から細いワイヤーが降りている。祐二はその先端のフックにロープを引っ掛けた。
「吊るよ」
リモコンのスィッチでブーンとモーター音が部屋に響いた。
りんの手を縛ったロープが上に引かれる。祐二は、りんの手が伸びきったところで止めた。
祐二の吊るという言葉に、宙に吊られることを覚悟したりんには、多少、拍子抜けだった。
りんは、自分が初めてなので、祐二が、手加減をしてくれたのだと勝手に理解したが、そうではない。
確かに、自分で立っていれば、体重が、手首にかかるわけではない。
しかし、手を上に伸ばした姿勢でずっとまっすぐ立っていられるものではない。そのことをりんはまだ知らなかった。
祐二は、部屋の中央で吊られたりんの周りを、ゆっくりと回った。
手首はそれほど痛くはないが・・・・腕を上げているのがつらい。
次第に、りんのからだが揺れ始める。
「ふーっ」
りんが大きく息を吐いた。
いつまでこのままなのか?終わりの時間を知らされないで我慢するのは、簡単ではない。
心は肉体よりも先に悲鳴を上げる。
「うっ」
不意に膝が、がくんと折れて、ロープにぶら下がってしまう。
(いけない・・・いけない・・・)
また、元のように立つが、長くはもたない。
「ああっ・・・」
また、ぶらさがる。
祐二は、見ているだけで、りんに触ろうとはしない。
時間がじわじわとりんを締め付ける。
「ああ・・・」
時折、りんが小さく声を出す。
「あああ・・・」
りんは、大声で叫びたい衝動にかられた。
「ああああ・・・あああ・・・・」
とうとう、りんは声をあげた。
揺れるりんの腰を背後から祐二が支えてくれた。
腰骨に感じる手の感触。
腰をぎゅっと固定されると、ずいぶん楽になる。
「ご・・・ごめん・・・な・・さい」
声を出したことをりんは、謝った。
祐二は答えず、指を、りんの股間に伸ばす。
祐二の思ったとおりの指の感触だった。
そのまま指を、すっと中に侵入させた。
りん自身は、その事に気づいてはいない。
ただ、吊られていただけ・・・それだけでりんは濡れている。
祐二の指が、ぴちゃぴちゃといやらしい音を立てる。
鈍い感触だった。
祐二の指が入って、いじられているのに、それがいつも感じるものとは全く違う。
痺れている。
手も足も、お腹も太ももも・・・・体全体が痺れている。
祐二の手が、離れると、りんは不安に襲われる。
「目隠しはいい?」
祐二が、唐突にりんに訊いた。
「だいじょうぶです」
祐二は、アイマスクでりんの目を覆った。
だいじょうぶではなかった。
まっすぐ立っていられない。手首に体重がかかって、痛い。
祐二が、ワイヤーを下げた。
「ああ・・・・」
りんは、大きくよろけ、祐二に支えられた。
祐二は、ワイヤーからロープを外し、そのロープも解いた。
「ふーっ」
ほっとしたりんが、溜息をつく。
祐二は、りんの両肩に手を置き、りんをゆっくり押し始める。
押されるがままりんは歩いた。
祐二が止まった。
りんも止まる。
祐二の左手が、脇から前に回り、りんの乳房をつかむ。
右手は、腰から前に回り、りんの股間に伸びる。
祐二の舌が首筋を下がる。
シャーッ
カーテンを引く音。
開けたのか閉めたのか?
祐二は、りんの手を前に伸ばさせた。
りんの手の平に冷たいガラスの感触。
カーテンは開けられたようだ。
ビジネス街にある10階建てマンションの8階。
確か、周りは同じくらいの高さのオフィスビルに囲まれていた。
目隠しをされて見えないりんには、どうということもない。
祐二がりんのアイマスクを外した。
ガラス越しに向かいのオフィスビルが見える。
少し下の階で、男性がパソコンに向っているのが見える。
祐二が部屋の明かりをつけると。窓は鏡に変った。
裸の自分が映っている。
その後ろに祐二が見える。
(なんだろう・・・どきどきする)
りんは、奇妙な感覚に襲われた。
一歩、後ろから祐二に押されて、りんはさらに窓に近づく。
近づくにつれ自分の影の部分が窓に戻る。
夜景が眼下に広がり、同時に、今まで窓に映っていた自分の姿が、ぼやけていく。
さらにもう一歩。とうとう窓にくっついた。それでも祐二は、りんの背中を押した。顔が窓に張り付く。
乳首が窓に触れる。冷たい。
ようやく、祐二は、りんの背中から手を放した。
りんは、ほんの少し、窓から離れて窓の外に目をやった。
背中の祐二の顔が、ぼんやり窓に映っている。
(わたしを見てる)
りんは、祐二の視線を背中に感じて、なぜかほっとした。
りんの挑戦1-2
2.覗き屋
先ほどの男性も、こっちを見ているようだ。
遠いので顔は分からない。
ただ、顔がりんのほうを向いているような気がする。
りんは、窓に乳首だけ、くっつけた。
冷たい。
部屋の明かりが消えた。
振り返ると、祐二が、壁際のイスに座っていた。
りんは、祐二の前にひざまずき、祐二のガウンの紐をほどいた。
ガウンの下には何も着ていない。
りんは、祐二のものを握ると、先端を舐め、裏側を、根元から舐めあげ、それを口に含む。
祐二の手が、りんの髪を優しくなでた。
りんは膝立ちになって、先端からぐっと飲み込んだ。
飲み込んで、左右に少し顔を振る。
上目遣いに祐二の表情を見ながら、それを繰り返す。
祐二の表情に変化はない。
「立って…」
落ち着いた物言いだ。
りんは、祐二の前に立った。
「自分で弄って・・・」
少し足を開いて、りんは、祐二の目の前で、立ったまま自分の股間に指を這わす。
人差し指と中指で襞を掻き分け、クリを挟んで、指の腹で擦った。
もう一方の手で乳首を強く挟みつける。
立ったままのオナニーなど経験がない。
感覚が鈍い。
立ったままでは、ごく普通なありふれた刺激では、あまり感じない。
「向こうを向いて・・・」
りんは、祐二にお尻を向けた。
「続けて・・・・」
祐二にお尻を突き出すような前屈みの姿勢で、りんはオナニーを続けた。
不思議なことに、祐二に背中を向けたとたんに、祐二の強い視線を感じた。
同時にぐりっと、お腹の奥で何かが動いたようにも感じた。
さっきと同じことをしているのに、感じ方が何倍も違う。
りんは、思わず、片手を横の壁に突き、身体を支えた。
(はっ?)
不意に祐二に腰をつかまれた。
祐二は、ゆっくり立ち上がって、りんの腰を押し、また、りんを窓際に立たせると、そこにイスを置いて座った。
(ここでするの?)
りんは、閉じられた祐二の足をまたいで立ち、後ろ手に祐二のものを握ると、お尻を見せたまま、ゆっくり腰を降ろした。
(はぁ・・・・・ん・・・ん・・・・・)
りんは、ゆっくり腰を下ろしていき、窓に手をついて、腰を上下させる。
りんは、また、さっき男性がいた窓を見た。
明かりが消えている。
(帰ったのね・・・・)
じっとしていた祐二が、不意にりんのお尻を跳ね上げた。
(あっ・・・)
りんの体が浮き、こんどはその反動でぐっと深く沈む。
「ああ・・・・」
祐二は、サッカーのリフティングのように、膝でりんをぽんぽんと跳ね上げ始める。
りんの体が上下に大きく揺れる。
乳房が跳ねた。
「ああ・・あ・あああ・・・・」
窓に小さく灯りがともった。
(何?)
さっき男がいた窓だ。
(ライター?・・・・。いるのね、まだ・・・・)
男が覗いている。
部屋の明かりを消して・・・・
りんは、胸の前で窓に手をついていたが、その手の間隔を広げた。
(見える?わたしの乳房…、揺れてるのわかる?)
祐二が、止まった。
祐二はりんを立たせ、イスを片付けた。
りんは、ずっと窓から外を見ている。
「夜景が、気に入ったか?」
「きれい…」
「そうか…」
祐二は、また、りんを縛った。
窓のちょうど真上の位置に小さな滑車があり、今度は、吊られた。
腕も頭上で引っ張られているが、りんの体重は、腰から太もものつけねに回った縄にかかっている。
足が大きく左右に広がった。
窓に張り付いたカエルのようだ。
「お尻は使えるか?」
「はい・・・」
啓太に、なんでも言われたとおりに・・・と言われて、その準備はしてきた。
祐二の指が、りんのお尻の穴の周辺をなでる。
ぬるっとしたローションの感触。
そう、しょっちゅうではないが、りんもアナルは使う。
開いたりんの太ももを持ち上げて、祐二がお尻に入ってきた。
「うっ・・・・・」
りんは、息を止めた。
祐二がゆっくり、りんを持ち上げて降ろす。
「ふぅーっ・・・」
りんは、大きく息をしながら、祐二の動きに合わせる。
祐二は、ゆっくりと根元まで差し入れ、引く時は、少し角度が変わる。
冷たい窓に乳首が擦れる。
(見てる?・・・覗きやさん・・・)
真っ暗な部屋の窓から男がじっと自分を見ているような気がした。
「ああ・ああ・・・・あああ・・・ああ・・・・・」
吊られたままいつまでもは、もたない。
祐二が、激しく動いた。
それは、奥からじわじわ突き上がってきた。
「ああ・ああ・・・・あああ・・・ああ・・・・・」
りんは大きな声をあげた。
祐二は、その声を待っていたかのように、さらに動きを早める。
「あ・・あああ・あああ・・・・ああ・・・」
りんは、身体を震わせるが、祐二はまだだ。
2度目もすぐにやって来た。
「ああぁあああぁあぁぁぁぁ・・・・いって・・・いって・・・」
もう限界だった。
りんは息を吐くばかりで、体中から力が抜けている。
祐二は、りんから離れ、りんを降ろした。
祐二がまだなのは知っていたが、りんは、床に横になったまま動けない。
「顔に出すぞ」
目の前で、祐二が自分でしごいている。
りんは、なんとか顔を上に向け、それを待った。
りんは、あいまいな意識の中で、ようやく、祐二のものを顔に感じた。
なぜか・・・・・・・ほっとした。
りんの挑戦1-3
3.キス
りんが気がつくと、祐二の顔がすぐ近くにあった。
祐二は、唇をちゅっちゅっと咥えるような軽いキスをする。
こんなキスは、恋人にもされたことがない。
祐二は、りんの意識が戻ったのを確認すると、りんから離れて、バスルームに向った。
しばらくして、りんも起き上がったが、すぐには立てない。
めまいがしそうな気がした。
りんは、ゆっくり、壁に手をつきながら立つと、すぐに出てきた祐二と入れ違いに、バスルームに向った。
祐二とは違い、りんは念入りに身体を洗う。
りんは、汗っかきなので、行為の後は、念入りに洗う。
りんが、バスルームを出ると、祐二は、パソコンを開いていた。
(忙しい人・・・)
りんは、ドレッサーの前で髪を乾かした。
りんの視界の端のほうで祐二が動く。
コーヒーの香りが漂ってきた。
(えっ・・・・?)
「あっ・・・わたしがやります」
りんは、あわてて祐二のところにかけよった。
「いいんだ。コーヒーは自分で入れる」
あらためて、近くによると・・・・祐二は大きかった。
180cmは越えてるだろう、りんも女性としては、小さくはないが、頭ひとつ違った。
太い腕をしている。胸も結構厚い。
(何をしている人なんだろう?)
ふとそんなことを思ったが、それ以上は考えない。
必要以上に詮索しないことにしている。
ただ、りんは、太い腕と厚い胸の脇の上のちょっとくぼんだところに頭を乗っけて寝るのが好きだった。
「コーヒーでいいか?」
祐二が、わざわざコーヒーを運んでくれた。
「はい」
りんは、にっこり微笑んでコーヒーを両手で受け取った。
「明日の予定は?」
祐二が、唐突に訊いた。
「明日は、わたしは・・・お休みです」
明日は、新しい派遣先の会社のガイダンスに出なければならない。
「そうか・・・」
それっきり、祐二は黙った。
気まずい雰囲気だ。
りんは不安にかられて、だいぶ間があいたが、言い直した。
「でも・・・今日のような時間なら、大丈夫です」
「ああ。同じ時間でいいんだ」
「そうですか?・・・すいませんが・・・一応・・・」
りんは、店に話を通して欲しいと言おうとしたが、祐二はすでに携帯を握っている。
すぐにりんの携帯がなる。
「啓太だけど…。聞いたよ。この分は、別途支払うから、なるべく彼の言うとおりにあわしてくれない?」
啓太の声は、いかにも申し訳ないといった感じだった。
「はい・・・・夜なら、だいじょうぶです」
「そう・・・ありがとう。じゃぁ・・・」
(啓太が、こんなに気を遣ってるって、どういう人なんだろう?)
りんは、やはり、それ以上は考えない。
りんが顔を上げると、祐二が立っていた。
「ありがとうございます。それでは、明日・・・同じ時間に・・・・」
「ああ、お願いするよ」
祐二は、玄関までりんについて来た。
「失礼します」
りんが、振り返り、祐二にお辞儀をしてドアを開けようとしたとき、背後から祐二に抱きしめられた。
(えっ・・・・・・・・?)
祐二にキスをされた。
あり得ないことだった。
もう、仕事は終わっている。
帰りがけの玄関でキスなどされたことは一度もない。
正直なところ、玄関まで見送られることもまれだ。
(恋人に抱かれたみたい・・・・・)
予想外のことに、胸がときめいた。
りんの挑戦2-1
第2章
1.派遣先
次の日、りんは、自分の派遣先の会社の担当者に簡単な仕事の内容をきいた。
仕事自体は、特にどうということはない。
ただのデータチェックなのだが、どうも企業秘密事項のようで、何枚かの誓約書にサインをさせられた。
煩わしい手続きの後、担当者から勤務先のデータセンターの地図を受け取り、場所の説明を聞いて驚いた。
(そこって・・・・・)
昨夜、祐二に呼ばれたマンションの向かいのビル。
男がずっと覗いていたビル。
そこが、りんの新しい派遣先だった。
祐二のいるマンションの前を横切って、データセンターに入ったりんは、用意されていたIDカードを受け取り、オフィスに案内された。
7階のカスタマーサポートという部署がりんの配属先である。
20名くらいのオペレーターが、それぞれのブースで端末に向っていた。
ブースは、それぞれ150cmくらいのパーティションで仕切られている。
その部屋を通り過ぎ、さらに奥の部屋が女性用の更衣室。
りんも、制服を支給されるらしい。
仕事の説明を受けた時に服のサイズを聞かれた。
入ると、間仕切りでドアが開いても中を覗けないようにしてある更衣室。
「ここで、制服に着替えてください。オフィスには、何一つ私物を持ち込まないようにしてください。私物は、すべてここのロッカーに入れて、部屋の中には持ち込まないように・・・。携帯は絶対にだめです」
人事部の黒川という女性が、抑揚のない声で、りんに事務的に伝える。
りんは、言われたとおり、全ての持ち物をロッカーにしまって鍵をかけた。
「聞いていると思いますが、作業指示は、すべて端末で行われますから、とりあえず自分のデスクで、端末を起動してください」
黒川は、そう言うと、りんをデスクへと案内した。
パーティションで区切られたブースは、横を通らない限り、そこにいる人を見ることはできない。
しかも、りん達が横を通っても、だれもりんのほうを見ない。
(なるほど・・・・)
この部署は、全員派遣社員だと聞かされている。
(誰が来ようと無関心ってことね)
りんはそれでもよかった。
りんは、あまり社交的ではないというか好き嫌いがはっきりしている。
上司や会社の批判ばかりしている男性社員は、はっきり嫌いだ。
給湯室での、「ねぇ、見た?○○課長・・・昨日と同じ服よ」「A子もね・・・」みたいな女性の会話は、するのはもちろん聞くのもいやだ。
りんが短期の派遣の仕事を嫌がらないのは、人間関係を作らなくてもいいからでもあった。
「ここよ」
黒川は、そう言うと、すぐにいなくなった。
(ここ・・・?)
窓際の席・・・りんは、すぐに窓に近寄った。
隣は、昨日のマンション。
ちょっと見上げたところが、たぶん昨夜、自分が呼ばれた8階。
(・・・ここだわ・・・)
りんが通された部屋は、昨夜、誰かがりんを覗いていたまさにその部屋だった。
窓から少し離れた位置にデスクとその上にパソコン。
(ここにいたんだ・・・わたしが、今日から使うから・・・準備をしてたのかしら?・・・・・)
暗いし、遠くて、表情ははっきりとはわからなかったが、昨日、男がこのデスクにすわり、自分を覗いていたのはたぶん、間違いない。
(どんな人だろう・・・・でも、もし、わたしって、わかったら・・・・)
りんは、少し不安になったが、相手がわからないのだ、どうなるものでもない。
りんは、指示されていたとおり、デスク上のパソコンに自分のIDを入力した。
パソコンと言うよりは、ただの端末機なのだろう。
外部記憶装置のスロットはない。
りんは、早速端末を起動させた。
今日は、実際の業務ではなく、慣れるためのテスト業務だと言われている。
立ち上げると、作業の指示が表示された。
と同時にデスクの横の受信専用と書かれた電話がなった。
どうやら、電話サポートを受けながら、作業を教わるようだ。
(なんか・・・無人契約機みたい・・・・)
電話の男は、風間幸一と名乗った。
「さっそくですが、画面右下のSTARTをクリックしてください」
画面に、日付の入った番号がずらっと並んだ。
「プレスブログってわかりますか?企業が自社商品の紹介記事を書いてもらうっていう、まぁ、ブログを使った記事広告なんですが、その記事チェックというのがここの主たる業務なんですけど・・・・、画面の番号をクリックすれば、記事に移動します」
一番上の番号をクリックしてみた。
確かに、ブログの記事へと移動する。
多くの企業が、自社商品のPR記事を一般のブロガーに依頼している。
そのオーダーに対し、記事を書いてくれれば、一件いくらという原稿料を支払うシステムだ。
当然ながら、一般ブロガーから申請のあがった、ブログの記事をチェックしなければならない。
不当な記事は、原稿料を払わないだけでなく、ひどい場合は、不当な部分の記事削除を依頼しなければならない。
こういう不当なものをチェックするほかに、有効なものは最大限に活用する。
商品ページへの誘導の多い記事を分析して、今後に活かさなければならない。
りんの仕事は、マニュアルに従って、不当だと思われるものをチェックして担当部署に送ること。
さらに、データ分析会社に基礎データを抽出処理して送ること。
こういう口コミPR形式の販促活動は、けっこう多いが、相手が特に有効な人気ブロガーの場合、一般のブロガーとは違った料金体系であることは言うまでもないが、それは超極秘事項でもある。
お金を受け取ったPR記事だとばれた場合、逆に大きなマイナス要因になりかねない。
りんには、画面上の整理番号だけで、そのブログのURLはわからない。
ただし、記事の中には、それを知る手がかりはいくらでもあるので、私物の持込が禁止され、業務上知り得た情報を口外しないことを誓約させられたのだ。
とはいえ、いくらURLを隠し、さらにデータの持ち出しが出来ないように管理されていても、人間の脳だってじゅうぶんに記憶装置なのである。生の記事を直接目にするりんは、それを推測することも、その記事を検索することもできないわけではない。
「ああ、それから、あなたにはちょっと違った仕事も入ります。デスクの引き出しに冊子が入ってるんですけど、ちょっとそれを見てください」
引き出しの中にクリアファイルが2つ入っていた。
「それは、あるSNSの投稿規定です。ここは、アダルトは禁止。アダルトなサイトへの誘導も禁止です。そこのブログを巡回して、規定違反がないかどうかをチェックするのもあなたの仕事です。違反例というところをクリックすれば、過去削除になったブログの記事を見られます。とりあえず、規定と違反例をよく見てください。そっちの仕事は、たぶん、明後日くらいから入ります。・・・・・それから公にはできないので、そこには書かれてはいませんが、内部事情を公開している記事もチェックです」
「内部事情?」
「ええ、例えば、こういうチェックを他の会社に出しているとか、作業をしているのが派遣社員だとか・・・。仮にその記事を書いた方が、実際にそういう仕事をしていた人であった場合、それも業務上知り得た情報ですので、公開はできません。・・・・と、先方は言ってました」
「都合が悪い記事は削除っていうことですか?」
「さぁ、どうでしょう?」
風間は言葉を濁した。
「何か、質問は?」
「いえ、別に・・・・」
「作業中にわからないことがあったら、問い合わせっていうところをクリックしてください。こっちから電話をかけます。では・・・・」
「はい」
風間は、電話を切った。
りんは、ふと疑問がわいた。
(でも・・・・どうして、わたしに・・・・・)
りんは、オペレーターの職歴はない。
それに・・・こういう仕事は、信用できる人とかっている条件がついているんじゃないだろうか?
(調べたのかな?わたしのこと・・・・まぁ、いいか・・・もう、ここにいるんだし・・・・)
りんは、考えるのをやめた。
どんどん送られてくる記事データに、他のことを考えている余裕がなくなった。
りんの挑戦2-2
2.派遣社員
向かいのビルで仕事を終え、りんはその足で祐二のマンションに向った。
部屋に入ると、コーヒーのいい香りがした。
「コーヒーでも飲んでてくれ」
「はい」
祐二は、りんを迎えた後、またデスクでパソコンに向った。
りんは、コーヒーをカップに注いで、奥の窓のある部屋に行き、外を眺めた。
隣のビルの7階の窓、昨日男が、ここを覗いていた窓。
そしてつい数時間前、自分がそこで仕事をしていた窓。
暗い窓に小さな明かりがともった。
わざわざりんに見せるための合図のように、灯りがついて・・・消えた。
(今日もいるの?・・・・わたしを待ってたの?・・・・でも、どうして来るってわかるの?・・・・)
りんは、しばらくその窓を眺めていた。
祐二が、毎日のように、この窓辺で女性を抱いていたとしたら・・・・
それに隣のビルの社員が気づいたとしたら・・・・
(そうか。わたしが来るからっていうわけじゃないんだ。毎日、誰かが覗きに来てるのかも、そうね、きっと・・・・)
オフィスビルと1階がテナントのマンションでは、多少各階の高さが違う。
祐二のこの部屋は、隣のビルの7階と8階のちょうど中間だ。
覗くには、もちろん8階のほうが覗きやすいが、8階は、たしか役員室と会議室だと説明を受けた。
(役員室の下は覗き部屋・・・・隣のビルを見てないで、上を目指しなさい。覗きやさん)
「それに着替えてくれないか?」
背中で祐二の声がした。
振り返ると、部屋の入り口に祐二が立っていた。
祐二の視線の先、窓の横に置いてあるイスの上に服が置かれている。
「はい」
りんは、置かれた服を手に取ってみる。下着もある。
(全部・・・脱がなきゃだめみたいね)
祐二は、コーヒーを片手に、壁際のイスに座った。
りんは、上着を脱ぐと、祐二に背中を向け、窓に向ってスカートを降ろした。
わざとお尻を後ろに突き出すようにして脱ぐ。丸く張りのあるりんの双丘が露わになる。
パンストをお尻の下までおろし、今度は祐二のほうを向き、窓にもたれてストッキングを片足ずつ抜いていく。ショーツは淡いピンクのTバック。お尻が直接窓に触れる。
祐二は、ただ、黙ってじっと見ている。
りんは、祐二のほうを見ながら、今度は、ブラウスのボタンを外し、また背中を向けてブラウスを脱ぐ。
手を背中に回し、ブラのホックをはずす。ブラは、淡いピンクのハーフカップ。
また振り返り、祐二に見えるように、ブラをとり、乳房を晒す。
用意されていたのは、真っ赤なシースルーのブラ。カップの下にワイヤーが入って乳房を下から持ち上げるように支える。りんは、前屈みになって、乳房を中に寄せた。乳首が固く尖っている。
祐二の視線も刺激的だが、誰だかわからない視線もりんを興奮させる。
(見られてる。・・・・感じる。・・・・乳首が痛いわ)
真っ赤なストッキングとガーターベルトが用意されていたが、ショーツは用意されていない。
それでも、りんは、躊躇なくショーツを脱いだ。
全裸に真っ赤なシースルーブラだけの格好で、りんはイスに座った。
片足ずつ、ストッキングを持ち上げると、立ち上がり、横を向いてガーターベルトに留める。
白のブラウスに濃紺というよりは紫に近いスーツ。
タイトスカートは、少し短めで、後ろにお尻が見えるほどの深いスリットが入っていた。
「祐二さん」
着替え終わったりんが、祐二に呼びかけた。
「どうして・・・これを?」
「そういう趣味なんだ」
「OLが好きですか?」
祐二が用意したのは、いわゆるOLのユニフォームで、しかもりんが派遣された隣の会社の制服と同じだった。明日には、りんにも支給されるはずだ。
「ここは、わたしのオフィスなんでね」
「じゃぁ、わたしは派遣社員…ですか?」
「派遣社員か?…なるほど、それは、いいねぇ」
「祐二さん」
「なんだ?」
「昼間もここで仕事をなさってらっしゃるんですか?」
「しばらくは、そうだね。ここで仕事していることのほうが多いねぇ」
「あのぉ…そこの窓」
りんが、そう言って隣のビルに視線を移すと、祐二が隣にやってきた。
「昼間にときどき、そこの7階の窓を覗いてみてください」
「そこを…?」
「ええ・・・きっと、同じ格好をした女性がいますから・・・」
「ほう・・・・」
りんは、横に立った祐二の股間に手をやり、祐二の唇を求めた。