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晴美の就活1-1
晴美の就活
「ああ、だめ、だめ…奥様。やめて下さい、お願いです」
美代子は、紅茶を運んできた晴美の腕を引っ張って、晴美のエプロンを胸の前でぎゅっと握った。。
晴美は裸にエプロンだけという格好だ。
小ぶりだが形のいい晴美の乳房がエプロンの左右からぷるんと外に飛び出した。
エプロンを引っ張られ、前かがみになった晴美のお尻が、義男の目の前に晒された。
「おやおや、子供のくせに一人前のいやらしいおまんこだな」
22歳の晴美は、けっして子供ではないが、童顔のせいで夫婦は晴美を子ども扱いしている。
義男はリモコン式のローターを晴美の肉壺に差し込んで、受信機とバッテリーを太ももに赤いビニルテープで止めた。
「あなたもここでいっしょに飲みましょ」
美代子が晴美を強引に横に座らせる。
乳房がエプロンから左右にこぼれたままだ。
義男は晴美の正面に座りなおした。
「さぁ、飲みましょ」
美代子の言葉はやさしいが、それは命令に違いない。
「はい」
晴美が、カップを持って、口元に運んだ時に、義男がローターのスイッチを入れた。
「うう・・・」
晴美は、お腹のあたりを押さえて背中を丸めて耐えるが、カップをテーブルに下ろすときに少し紅茶をこぼした。
「こぼしちゃだめでしょ。拭いて」
晴美は、なんとか立ち上がり、布巾を持ってきてテーブルを拭こうとするが、横から義男の手が晴美の乳房に伸びた。
義男だけではない。
美千代の手も伸びてくる。
お尻、左右の乳房、太もも…晴美は左右から弄られた。
「ああ…お願い…やめて下さい」
義男がバスローブの前をはだけ、大きくなったペニスを誇示するかのようにソファに座った。
「舐めてくれるかな」
「はい」
晴美は、義男の前に座り、ペニスを裏から舐め上げる。
「お尻をこっちに…」
美千代が晴美のお尻を自分のほうに向けた。
晴美の股間にはローターが入っている。
美千代の指は、晴海のアナルに侵入してくる。
「あああー…あ、うっ」
思わず、男のものから口をはずし、晴美は声をあげた。
井上晴美、22歳。
私立明星(めいせい)大学の4年生だ。
晴美が、田所家に来たのは、メイドとしてではない。
晴美の卒論担当教授、西崎の勧めで高校1年の長男健作の家庭教師としてだ。
1.紹介
「井上君は、たしか教員志望だったね」
晴美は、卒論を担当する西崎教授のゼミの後で教授に声をかけられた。
「はい」
「君は、アルバイトかなにかやってるかね?」
「ええ、まぁ」
晴美は、メイド喫茶でバイトをしていた。
「そうか。実は、知り合いに家庭教師を頼まれて、君なら優秀だしどうかなと思ったんだが…」
晴美は、教授の優秀という言葉を疑った。
けっして成績は良くない。
バイトの関係で授業をサボることもしばしばだ。
「家庭教師…ですか?」
「うちの付属の高校の理事長のお子さんなんだけど、成績が芳しくないらしくてね。どうだ?」
「はぁ」
「理事長のご子息だから、もし理事長が気に入られたら、まぁ…なんだ、もしかしたらの話だが、教員になれる可能性が広がるかもしれん。教員じゃなくても職員という道もあるし…」
「そうですか?」
「いや、約束なんかはできないよ。あくまでもしかしたらの話だ」
バイトが忙しく、これといった就活もしていない晴美にはおいしい話だ。
「でも、わたしできるかしら、家庭教師なんて…」
「おいおい、教員志望がそんなことでどうするんだ。自分勉強にもなるし、考えてみてくれんか?」
「あっ、はっ…はい」
「ああ、それと卒論だが、バイトで時間をとられるようなら、それなりに考慮しておくから…」
「そうですか」
「いや、家庭教師が決まって、忙しくなるようだったらの話だ」
「やります。紹介してください。お願いします」
晴美は、一も二もなく頭を下げた。
晴美の就活1-2
2.健作
「はじめまして。西崎先生から家庭教師を依頼された井上晴美と申します」
玄関で晴美は深々と頭を下げた。
「どうぞ、お上がりください。わたし、健作の母で美代子といいます。」
高校生の子供がいるとは思えない若々しい女性だ。
晴美は、居間に通された。
「今まで教えてくださってた先生が、急に都合が悪くなって先週いっぱいで辞めてしまったもので、急な話でご迷惑じゃなったかしら?」
「いえ、そんなことは…」
「西崎先生からお聞きしたんですが、英語の先生を目指してらっしゃるとか…」
「はい。まぁ、できれば…ですけど」
「うちの主人は明星大付属の理事長ですので、もし、うちの学校の採用試験を受験なさるおつもりがあるんでしたら、早めにおっしゃってくださいね」
「はい。ありがとうございます」
別に、何か便宜を図ると言われたわけではないが、晴美は礼を言った。
「じゃぁ、さっそくですが、健作の勉強見てやっていただけますか?教材はこれです」
美代子が差し出したのは、某予備校のテキストだ。
「健作。家庭教師の先生がみえたわ。入るわよ」
晴美は、美代子の後から健作の部屋に入った。
健作は、晴美を見ると立ち上がっておじぎをした。
高1の男の子にしては、ちょっと小柄か?
やせぎみで、おとなしそうな感じだ。
「じゃぁ、お願いしますね」
美代子が出て行った。
「井上晴美です。よろしく」
晴美も挨拶をした。
家庭教師の経験の無い晴美は、家庭教師をやっている友人にどうしたらいいのか訊いてきた。
とりあえず、生徒と打ちとけることが先決なのだそうだ。
(まずは、コミニケーション)
「座って」
晴美は相変わらず立ったままの健作を座らせ、自分も用意されたあった椅子に座った。
「テキストもらったけど、これをやっていくの?」
健作はうなずいた。
見れば、机の上にすでにそのテキストが開かれている。
「これって、○○予備校のテキストでしょ」
「そこに通ってるんだ」
「予備校にも行ってるの?」
健作はうなずいた。
「じゃぁ、予備校の授業のための家庭教師ってこと?」
「学校の授業じゃ力がつかないからって…」
(自分の学校でしょうに…ひどいわね)
「ふーん。大変ねぇ。予備校は、週に何回通ってるの?」
「2回」
晴美は、家庭教師を週に2回依頼されている。
「数学も来てもらってる」
「数学の家庭教師もいるの?」
健作はうなずいた。
「それも2回?」
健作は、またうなずいた。
「じゃぁ、家庭教師と予備校で週に6日?」
健作は、面倒くさそうに机の上のテキストに目をやった。
(余計なお世話ってことか…)
晴美は、授業に入ることにした。
「どこからやるの?」
「比較」
ぶっきらぼうな返事だ。
ひととおり比較の文を説明したが、健作はすでに知っていた。
中学で教わっている文法事項だし当然といえば当然だが、成績が悪いという感じは受けない。
「ねぇ、訊いていい?」
健作が顔を上げた。
「成績があまりよくない的に言われたんだけど、それって何の成績?学校の成績のこと?予備校の成績のこと?」
「予備校。学校はそんなに悪くない。クラスで5番くらい」
(予備校の成績を上げろっての。ここの予備校の?)
健作が通う予備校は、難関大学の合格者数でトップランクの予備校だ。
(うーわぁ、そんなの無理でしょ)
晴美は危うく、それを声に出すところだった。
健作は、黙って問題を解いていく。
高1のテキストでありながら、すべての問題に何年、どこそこ大学のクレジットが入っている。
晴美も、問題を見ていく。
早くも4問目で答えがわからない。
答えを見る。
(へぇ、そうなんだ)
感心している場合でもなかった。
健作よりも先に問題を解き、わからないところは解説を読まなければならない。
健作は一問も間違えずに解いたが、晴美は15問の問題のうち4問答えを見た。
(こりゃ、大変だわ)
自分よりも優秀かもしれない生徒の成績を上げなければならないのだ。
しかも、その結果が自分の就職を左右する。
(まいったな)
ふと、机の横のストッカーにゲームのCDが置かれているのが目に付いた。
「あっ、三国志」
晴美が数年前にしばらくはまっていたゲームだ。
「見ていい?」
健作がうなずいたので、晴美はそれを手に取った。
「これ、やってるの?」
「うん。たまに…」
「三国志、好き?」
「けっこう…」
「誰のファン?」
「曹操」
「曹操かぁ」
「先生もやるの?」
「ええ。昔、はまってた」
「先生は、誰のファン?」
「やっぱ、孔明でしょ」
「孔明か」
健作が、笑った。
(いけるかも…)
晴美は、健作とうまくやっていけそうな気がした。
「ごめん、さぁ、問題の続きやろうか」
晴美は持っていた三国志のゲームを元に戻したが、すばやく他のゲームCDにも目をやった。
(何だぁ、これ?)
乙女チックなカバーが目に付いた。
“THE メイド服と機関銃”
晴美はしっかりとそのタイトルを記憶した。
晴美の就活1-3
3.慎吾
「奥さん、また派手に痕が残ってますね」
今西慎吾は、美代子のブラをはずしながらわざと大げさに言う。
「そんなに?」
「ええ、腕にくっきりと縄の痕が残ってますよ」
二の腕に縄の痕が赤くくっきりと残っていた。
慎吾はそこにわざとらしく舌を這わすと、今度は美代子の前に回った。
「おっぱいだってすごいじゃないですか…」
腕の比ではない。
赤い線が二本乳房の上を走っていた。
美代子の乳房は豊満で、歳のせいか、いくぶん垂れ下がり始めていて、慎吾は少しもちあげて下側を見たが、そこにも同じような赤い線が走っていた。
上下にきつく絞られたのだろう。
「恵子さんがいなくなったでしょ。だから、いつも縛られるのよ。きついわ」
堀越恵子、晴美の前に英語の家庭教師をしていた。
「留学なんかさせるからですよ」
明星大学には付属の高校を含めて、留学生を支援する制度がある。
その制度を利用して毎年数人がカナダの姉妹高・大学に留学しているのだが、美代子の夫、田所義男がその選考員をしているのだ。
「だってそういう約束で引き入れたんだから…。ちゃんと約束は守らないと訴えられたら大変ですからね」
「どこかにそういう理事長がいましたね」
「そうよ。そうなったら、あなただって笑ってられないわよ」
留学にあこがれていた恵子に家庭教師の話を持ちかけたのは慎吾だ。
「そりゃ、大変だ」
慎吾は、美代子の乳房を左右から両手で絞り、乳首を舌でたたいた。
「あんっ…」
美代子は乳首を弄られるとむずむずしてじっとしていられなくなる。
美代子が背中を反らして悶え始めた。
「で、井上君はもう来たんですか?」
慎吾は、乳首を吸いながら、指を美代子の股間へと降ろしていく。
「ええ…。昨日…、会ったわ」
「どうでした?」
「健作は、気に入ってたみたいよ」
「健作君もですが…奥さんは?」
美代子は立っていられず、慎吾の首に手を掛けたまま、ベッドに腰を掛けて、後ろに倒れこんだ。
慎吾が美代子に乗りかかる。
「かわいくていいわね。恵子さんは気が強くて、わたしの手には余ったけど、晴美さんならだいじょうぶかも」
「でしょ」
「あなたも次々によく見つけてくるわね。あっ…」
慎吾はベッドから外に出ていた美代子の脚をベッドに乗せ、大きく足を開かせて、股間をまじまじと見つめた。
「いえ、彼女はよく知らないんです。向こうもわたしのことは知らないと思います」
「そうなの?知らないのに西崎先生に推薦したの?」
「彼女、メイド喫茶でバイトしてるんですよ」
「メイド喫茶?」
「ご主人様…ってやつです」
「あなた、そんなとこに行ってるの?」
「まさか。僕は行かないですけど、後輩で好きなのがいて、そいつが彼女を見かけて、写真撮ったんですよ。見ます?」
「ええ」
慎吾は携帯を取り出して、メイド姿の晴美の写真を美代子に見せた。
「あら、かわいい」
「西崎先生にその写真見せたら、この子でいいんじゃないかって」
「西崎先生も好きね」
「理事長といい勝負ですか?」
「同じよ」
慎吾は、ぐっと下までさがり、美代子の股間を大きく舌を出して舐め上げる。
「ああん。あっ…あああ」
「西崎先生ともしたんですか?」
慎吾は今度は美代子の上に乗り、首筋に舌を這わせた。
「したわ。先生の奥さんが若いのよ。わたしより8歳くらい下だから先生とは15歳も違う」
「じゃぁ、30そこそこですか?」
「31。教え子よ」
「でしょうね」
慎吾が美代子の顔をまたぐと、それを待っていたかのように美代子は口をあけてそれを咥えた。
「理事長もこういうの好きですか?」
美代子が慎吾のものを口に含んだままうなずく。
「僕と会ってる日は、彼女をメイドに雇ったらどうですか?」
「そうね。そうしたら、急いで帰らなくてもいいわね」
「僕も奥さんを縛れるし…」
「あら、いいのよ。縛っても…」
「こんなに痕が残ってたら気がひけますよ」
「気にしてくれてたの?」
「そりゃ、気にしますよ」
「ありがとう」
「奥さん、お尻にしますよ。いいですか?」
「いいわ。どこでも、好きに使って…」
美代子はうつ伏せになり、お尻を高く突き出した。
「すけべなお尻だ」
慎吾はパンと大きな音を立てて美代子のお尻を叩いた。
「あん」
美代子がお尻を左右に振る。
「入れて」
慎吾は美代子のお尻の肉を左右にぐっと押し開き、自分の肉棒を美代子のお尻の穴に突き立てた。
「ああん。あっ…ぐっと突いて」
慎吾は美代子のような大きなお尻が好きだ。
晴美も慎吾好みの大きなお尻をしていた。
(突きますよ。いくらでも…)
慎吾は、美代子のお尻に晴美のお尻をだぶらせていた。
晴美の就活1-4
4.単語テスト
「菜月(なつき)」
晴美は、言語学の講義が終わって教室を出ようとする菜月を呼び止めた。
「何?」
「ちょっと相談なんだけど…」
「何?また、カテキョーのこと?」
菜月も教員志望で、価値教師の他に塾でも教えている。
「そう。いい?」
「いいけど…、何?」
「単語を知らないのよ。どうしたらいいかわからなくて…」
健作は文法事項は強いのだが、長文になるとまったく意味が取れない。
ほとんど、一行ごとに単語の意味を晴美に聞いてきた。
「ただ、教えるだけじゃダメよ。覚えさせなきゃ…」
「そうなんだけど…。覚えてって言っても、なかなか覚えてくれなくて…」
「ばかね。生徒にお願いしてどうするのよ。もっと強気で、覚えろって…」
「でも…」
「何言ってんの。ガツンと行かなきゃ。生徒に気に入られても成績が上がんなきゃくびよ」
確かに菜月の言うとおりだ。
「やっぱ、テストかなぁ」
「そう。毎回、最初の5分でテスト」
「合格しなかったらどうするの?再テストするの?」
「あのさ、晴美」
菜月は、できの悪い生徒に言い聞かせるような口調で話し始めた。
「不合格っていうことは、やれと言った事をやらなかったっていうことでしょ」
「そうね」
「再テストして、まただめだったらどうするの?」
「どうしよう?」
「授業の時間つぶして単語覚えさせる?」
「そうしようかと思ってたんだけど…」
「じゃぁ、あなた、生徒に単語を覚えさせて、それを横で監督するつもりなの?そんなことしてるのが親に知れたらくびよ」
「そうか…そうだよね。わざわざ、家庭教師雇って単語の勉強じゃね」
「テストをするなら、生徒が絶対に合格するようにしむけるの」
「どうやって?」
「生徒さん、男の子なんでしょ」
「そうだけど…」
「じゃぁ、こうしたら…」
菜月は、晴美の耳元に口を寄せて小声で囁いた。
「そんなぁ。うそ?菜月そんなことしてんの?」
「できなかった生徒を残すの。晴美、立ってみて…」
晴美は言われたとおり、席に座った菜月の横に立った。
「もうちょっと後ろから、机の上のこの紙を覗き込んで…」
座った夏樹の少し後ろに立って、机の上の紙を覗き込むと、菜月の胸元が覗ける。
「谷間が見えるわよ」
「見せるのよ」
「でも、それじゃ、みんな不合格を取っちゃうじゃない」
「そうよ。最初はね。でも、何回も不合格してると、おっぱいを覗きたくてわざと不合格になってると思われる」
「そうね」
「そうすると、みんな他の子に悟られないように、不合格が連続しないように勉強するわ。絶対に覚えさせたいことをテストする日は、胸元が覗けないような服を着ていくのよ。そしたらその日は全員合格」
「考えてるんだね」
「当たり前でしょ」
(当たり前か…)
晴美は、昨日の菜月の当然でしょといった表情を思い浮かべていた。
「先生」
「何?」
「これ、どういう意味?」
健作は、また単語の意味を聞いてきた。
「健作」
「ん?」
「はっきり言って、単語覚えないとダメでしょ」
健作の顔がにわかに曇った。
本人もそれはわかってはいるのだ。
「そうなんだけどね…」
健作は、器用に指先でペンをくるくる回転させながら晴美のほうを見た。
「1行に2つも3つも単語がわからないんじゃ、長文読解は難しいわね」
単語を知っていても文章自体が難解な内容で理解するのに一苦労なのだ。
「単語のテストしようか?」
「いやですよ。数学もやらなきゃなんないし…」
確かにそうだ。
数学は圧倒的に時間が掛かる。
それは晴美にもわからないではないが、だからと言って、英語より数学が大事とも言えない。
晴美だって就職がかかっている。
英語の10点も数学の10点も同じだ。
「健作」
健作は晴美のほうを見た。
「ここだけの話、誰にも言っちゃだめだよ」
晴美は、健作の耳元に口を近づけた。
「わたし、メイド喫茶でバイトしてたの」
「へぇ」
健作がわざわざ晴美の顔を覗きこんだ。
「見たい?」
「何を?」
「コスプレ」
「見れるの?」
晴美は携帯を取り出し、自分のメイド服姿の写真を見せた。
「へぇ、本当だ」
「かわいいでしょ」
「それを自分で言うか?」
「まぁ、まぁ」
健作はじっと穴が開くほどその画像を見ている。
「欲しい?」
「この写真をってこと?」
「他にもあるけど…」
「なるほどね。そういうことか」
「何が?」
「もしかして、単語のテストで合格したらとかって言うんじゃない?」
見透かされた。
「ばれた?」
「ばればれ」
「だめ?」
「断ったら失礼だよね」
「何よ。その言い方。断ってもいいわよ」
「うそ。わかった。やるよ。でもさ…」
「何?」
「例えばさ、2回連続とか3連続とかって合格したら、ポーズとか、コスチュームとか、僕の希望を聞いてくれる?」
「いいけど、わたしができることならね」
「そんなのだめだよ。そっちは出題するわけだから、いくらでも難しくできるじゃないか。それ相応の見返りがないとなぁ」
(そうか。やばくなったら、めっちゃ難しくすればいいんだ。なるほど)
「わかったわ。じゃぁ、そうね。じゃぁ、授業は、ひと月8回だから、8回が区切りでどう?」
「いいよ」
「8回連続合格したら、健作の希望のコスプレ画像をプレゼントするってのでいい?」
「僕が撮っていい?」
「健作が?」
「だって、どんなポーズかって口で伝えるの大変じゃん」
「そりゃそうだけど、でも、どこで撮るの?まさか、ここ?」
「まさか。レンタルスタジオだよ」
「そんなのあるの?」
「ああ」
「わかった。じゃぁ、そこで…」
「じゃぁ、これ。予備校で買わされた単語の本なんだけど…。」
健作は全く折り目のついていない単語のテキストを晴美に渡した。
(ぜんぜんやってないじゃない)
「範囲は先生が決めてよ」
「いいわ。じゃぁ、動詞からね。毎回4ページずつ。いい?」
「いいよ」
健作は単語のテキストを2冊持っていた。
もう1冊は、カバンの中。
あまりにぼろぼろになったので新しいのを買ったばかりだった。
晴美の就活1-5
「これ、西崎先生が貸してくれるそうだ」
慎吾は、そう言って菜月のテーブルの上に分厚い資料の束を置いた。
「ありがとう。予備校のバイトが忙しくて、卒論、手付かずなんだ。助かったわ」
「就職口も紹介できるけどって言ってたぞ」
「危ない、危ない。そんなこと頼んだら何されるかわかったもんじゃない」
「何されるかはわかってるけどな…」
慎吾が笑った。
「確かに…」
菜月は、ふっと鼻で笑って、資料をバッグにしまった。
「で、晴美はその後どんな感じ?」
「単語テストを始めたみたいだ」
「そうなの。もしかしてご褒美付き?」
「らしいな」
「恵子と同じね」
菜月は、晴美の前に健作に英語を教えていた恵子とも親しかった。
「ああ、でも、恵子は、自分から言い出したんだけどな」
「恵子、坊やを弄るのが趣味だったし…」
「今回は、あいつ、わざと単語を知らない振りしたらしい」
「あんたの入れ知恵じゃないの?」
「俺は、何も言って無いよ」
「そう。じゃぁ、その子が自分で?」
「ああ」
「優秀ね。ちゃんと学習してるってわけだ」
「実際、けっこう頭いいからな。あいつ…」
「あーあ、かわいそうに晴美。…騙されちゃって」
菜月は上目づかいに慎吾を見た。
「何だよ、その目は…。家庭教師を晴美に振ったのはお前だろ」
「だって恵子の後だよ。しかも、その恵子の紹介ときたら、誰だって恵子と同じだと思うに決まってるわ。わたしはそうまでして留学しようとも就職しようとも思わないもの」
恵子は、留学が決まって家庭教師を辞めるとき、西崎教授に菜月を推薦したのだ。
「西崎に呼ばれたときは、本当にどうしようかと思ったわ。断るに断れないし…。晴美がいて助かったわ」
「かわいそうに晴美…」
慎吾が、菜月のセリフを取った。
「よく言うわ。断るなら、他の子を紹介しろって言ったくせに…。それに、実際、晴美を紹介したのは慎吾でしょ」
「お前が、自分からは言えないって言うから…」
「共犯よ」
「犯罪なのか?」
「未必の故意」
「そうだな」
「資料、ありがとうね」
菜月は、さっさと席を立った。
(見返りを受け取ったら、未必じゃないだろ)
慎吾は、テーブルに載った伝票を持ってレジに向った。
晴美は、西崎の講義をそっちのけで、今日の単語テストの問題を考えていた。
テストを始めて、健作は前回までで7回連続合格点を取った。
後1回で、約束の8連続ということになる。
「すごいわね。次もがんばってね」
晴美は、そう言ってにこやかに健作を励ましたが、笑いごとではなかった。
だんだん出題範囲を広げるが、健作はそれでも合格していく。
長文読解での単語の質問も少しだが減ってきていた。
喜んでいいのか悪いのか。
(どうしよう。次も合格したら?まさか、できないとは言えないし…)
「井上君」
講義が終わって、教室を出たところで教授の西崎に呼び止められた。
「はい」
「ちょっと来てくれるか?」
「あっ…はい」
晴美は、教授室に一緒に入った。
「あのぅ、何でしょう?」
西崎は、自分だけ椅子に座った。
「君、メイド喫茶でアルバイトをしてるって?」
「はい。ああ、でも、もう辞めました」
西崎は、眉間にしわを寄せて困ったような表情だ。
(やっぱり、まずかったかな?)
「それが…何か?」
晴美は、平静を保ってわざとそう聞いた。
「何かって…君。どんなバイトをしていようと君の自由だが…」
「でも、メイド喫茶って、喫茶店ですよ」
「そんなことはわかってる」
西崎が少し声を荒げた。
「ダメなんですか?」
「ふーっ」
西崎が呆れ顔でため息をついた。
「ダメかどうかは、理事長のほうで判断する。一応、伝えておいたので、今日は少し早めに行ってくれないか?奥さんから話があるそうだ」
(何よ。メイド喫茶よ。風俗じゃないんだから…。そんな大騒ぎするようなこと?それに何もすぐに伝えなくってもいいじゃない)
晴美は腹が立ったが、心の中で、まずかったかなと思う気持ちもないではなかった。
言われたとおり、授業の時間よりも1時間ほど早く出向いた。
「ごめんなさいね。わざわざ早く来てもらって…」
美代子は、普段どおりの表情で晴美を迎えた。
「いいえ」
「西崎先生から聞いたんですけど…」
晴美は、身構えた。
「メイド喫茶でアルバイトをなさってたとかって…」
「はい。でも、もう辞めましたけど…」
「そう。辞めたのは、うちで家庭教師を頼んだから?」
「えっ、ええ、まぁ」
晴美は美代子が何を言いたいのかわからず、どう答えていいのかわからなかった。
「うちの家庭教師だけなら、あなたがどんなバイトをしてても問題ないの。ただ、あなた、教員志望でしょ。明星学園は女性とのしつけが厳しいの、知ってるかしら?」
晴美は、明星学園のことなどほとんど知らなかったが、まさか知らないともいえないので、うなずいた。
「特に新任の先生は、いろいろ情報が飛び交うの。そんなことが保護者の間に知れたら…」
美代子は、少し間を置いた。
「すいません」
晴美は、教師として採用するという話が消えたのだと思った。
教師になれないのなら、ここで家庭教師のバイトを続ける意味も無い。
「ううん。謝らなくてもいいの。さっき健作の部屋を覗いたんだけど、帰ってくるなり、あの子ずっと英語の勉強してるのよ。最近はずっとそう。あなたのおかげだわ」
「そう…なんですか…」
「メイド喫茶のことは、主人と相談してみます。悪いようにはしないから。健作のことをよろしくお願いします」
美代子が晴美に頭を下げた。
「いえ、こちらこそ…」
クビにならずにはすみそうだ。
教員の道も閉ざされずにすむかもしれない。
晴美は、ほっとして少し早いが健作の部屋に入った。
「ちょっと早いけど、テスト始める?」
「待ってよ。まだ、早いじゃない。ちゃんと時間になってから…」
健作の意気込みはかなりのものだ。
健作は、顔も上げずに机に向って一生懸命単語を覚えている。
(クビがつながってるのはコスプレ写真のおかげか…)
晴美は、健作との約束を破るわけにはいかなくなった。