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菜穂子の憧憬4-5
5.見て欲しい
「だめぇー。撮っちゃダメ」
菜穂子は、大きな声をあげると慌ててエアーマットから起き上がった。
「ばれちゃったみたいだね。ごめん、ごめん」
雅紀は、全く悪びれたようすもなく、鏡の横にうずくまっている菜穂子に優しい声で話しかけた。
「菜穂子ね、すごくきれいだよ、かわいいよ、本当」
菜穂子は、半べそ状態で、うつむいたまま顔も上げない。
「菜穂子、こっちを見て」
雅紀は一回だけシャッターを切ると、カメラをテーブルの上におき、菜穂子の前に立って、かがみこみ目の高さを菜穂子とあわせて小さな子供に言うように話した。
「お願いがあるんだけど、膝を立ててもらえないかな?」
そう言いながら、菜穂子の両方の足の足首を菜穂子の方に押す。
なぜか、菜穂子は逆らえなかった。
膝を立ててれば、足は自然と開く。
雅紀は、少し下がり、床に直接膝をついて立った。
「菜穂子、写真は撮らないから、ゆっくり、足を広げてくれない?」
「えっ、だめ…です。恥かしいから…だめです」
菜穂子は拒否したが、雅紀は少し微笑んだ表情のまま、じっと待ってなにも言わない。
重苦しい空気に居たたまれなくなった菜穂子は少しだけ足を開いた。
「これで、…いい…ですか?」
「ううん、もっと」
雅紀はゆっくり応えた。
菜穂子は、もう少しだけ足を開いた。
「菜穂子、僕を見て」
雅紀が菜穂子の顔を覗き込みながら、話しかけた。
「顔をあげて、僕を見て…そう、で、ゆっくり足を開いて…恥ずかしくないだろ…僕は菜穂子を見てるもの」
そういう雅紀の声に、まるで催眠術にでもかかったかのように菜穂子は徐々に足を開いていく。
股間は完全に雅紀の前に晒されていた。
「手で触ってごらん、どうなってる?」
菜穂子は、雅紀に言われるままに自分の秘所に手を当てた。
言われるまでもなく、そこがぐしょぐしょになってることはわかっている。
そこを、初対面の人に撮影でもないのに晒しているのだ。
「雅紀さん、ひどいです」
そう言うと、菜穂子は本当に泣き出した。
雅紀は、菜穂子の肩を抱くようにしてあやまった。
「ごめん、ごめんね」
そう言うと、うつむいて泣いている菜穂子のあごに雅紀の手がそえられ、菜穂子は顔を上げさせられた。
(えっ?)
菜穂子の唇に雅紀の唇が重ねられた。
下唇を吸われ、雅紀の舌が入ってきた。
(えっ、なに?どうゆうこと?)
菜穂子は突然のことに驚いたが、体に力が入らずなにも出来ない。
雅紀の左手は菜穂子の背中越しに前に回り、むきだしになっている菜穂子の乳房をなで、乳首を弄んだ。
(あっ、そこは…乳首は、乳首はだめ、だめ…ああああ)
雅紀の右手は、菜穂子の股間を覆う薄い布地の横から秘部に侵入し、菜穂子の小さな突起に触れた。
「ああ…」
菜穂子に正常な思考はなくなっていた。
「だめ、だめ、だめぇ…ああ…ああああ…あああああああ」
菜穂子は、雅紀の腕の中でガクンと体を揺らしてのぼりつめてしまった。
雅紀はそのまましばらく菜穂子を抱きかかえた。
「さぁ、行こうか。着替える?」
おもむろに雅紀は菜穂子に声をかけ、促した。
菜穂子はまだ、放心状態が抜けず、ぼんやりしたままだったが、雅紀の声で我に返り、カーテンの奥で服を着替えた。
着替え終わった菜穂子は雅紀に言った。
「あのう、これ、ちょっと…持って帰っていいですか?洗ってきますから…」
「あっ、水着ね。それは、菜穂子にあげる。って言っても他じゃ着られないと思うけど、また、撮影に使うかもしれないし。持ってて、記念に…。じゃぁ、下に行こうか」
事務所に戻って雅紀は真希に知美のことをきいた。
「知美は?」
「さっき、撮影が終わってすぐ帰ったわ。バイトがあるんですって・・・」
「かけもちか。がんばるね。真希、悪いけどコーヒー入れてくれない?」
「はい、あっ、菜穂子さん、ここにかけてね。」
菜穂子にイスをすすめながら、菜穂子の目が真っ赤なのを見た真希は
「雅紀、何したの?雅紀にいじめられたの?かわいそうに…だめじゃない、はじめてなのに」
「いいえ、違うんです。ちょっと、ただ…あの、ちょっと…」
菜穂子はなんて言っていいのか言葉が見つからなかったが、真希はさっさとコーヒーを入れに行ってしまっていた。
真希がいなくなると、雅紀は真希に小さな声で話しかけた。
「そこの紙に電話番号、できれば携帯ね。それと名前書いといてくれる?」
菜穂子は、まだ、少しぼーっとしていたが、言われたとおりにした。
「はい、どうぞ。」
真希は、テーブルに雅紀と菜穂子のコーヒーを置くと、自分の分を持って隣りの部屋に行った。
「カップはお粗末だけど、コーヒーはなかなかのもんだから」
雅紀はそう言って、菜穂子にコーヒーを勧めた。
菜穂子はコーヒーの香りが好きだった。
香りだけで少し心が落ち着いた。
「はい、終わったよ。」
ここ入るなり、パソコンに向かっていた雅紀が、菜穂子にCDを1枚手渡した。
「さっき、撮影した分は全部これに入ってるから。カメラのデータは、もう消したし、こっちのデータも削除するからね」
「えっ、消しちゃうんですか?」
「そういう約束だったし、置いといてもいいの?」
菜穂子は、返事に迷った。
「あのさ、お願いがあるんだけど、俺が気に入ったの何枚か貰っていいかな?見て。」
ずらっと並んだサムネイルの中から雅紀は何枚かピックアップして菜穂子に見せた。
雅紀が選んだのは、意外にも最初に撮ったごく普通の制服姿の菜穂子だ。
次もその次も、水着の写真もあったが、まっすぐ立っている正面からのもの。
(こんなのでいいの?もっと、すごいのがいっぱいあるのに…すごくないってこと?魅力ないの、わたし?)
菜穂子は複雑な心境だった。
「ねぇ、いい?」
雅紀は菜穂子に確認した。
「はい。いいです。どうぞ」
菜穂子は応えた。
「そう、ありがとう。ああ、それともう一枚、これもいい?」
雅紀が選んだもう一枚は、最後に撮った一枚。
マットの上で、ペタンと座って膝を立て、うつむいて、泣き出す寸前の絵だった。
「それは…」
「俺が、泣かしちゃったとこ。持っときたいんだけど…だめかなぁ」
(持っときたい?これを、持っときたいの?)
「いえ、いいです。持っててもいいです」
恥ずかしいけど、顔が写ってるわけでも、むき出しのおっぱいやお尻やあそこが写ってるわけでもなかった。
「ありがと。じゃぁ、残りは消しとくね」
そう言うと、雅紀は残りの全ての画像を消去した。
たとえ、それがどんな画像であれ、自分の絵が消えるのは、見ていていい気持ちはしない。
菜穂子がうつむいた。
「菜穂子、時間ある?よかったら、食事でもどう?」
高校生の菜穂子には、こんな誘われ方の経験はない。
「い、いえ、もう帰らないと」
「そう、わかった。じゃぁ、また今度ね。ここはこんな感じだから、仕事しようかなっていう気になったら連絡ちょうだい。こっちからも連絡するけどね。」
雅紀は、菜穂子を送り出しながら名刺に自分の携帯番号を書き込み手渡した。
“NOAhプランニング 専務取締役 田山 雅紀”
そこには、そう書かれてあった。
スタジオを出て、菜穂子は、重い気持ちを持て余した。
(なにも、見てる前で消さなくてもいいじゃない)
消したことを確認してもらうために見てる前で消したのだ。
菜穂子もそれが理解できないわけではなかったが、ただ、すごく恥かしい思いをしたのに、あっさりそれを消されたことが悲しかった。
もちろん、撮った画像を自分は持っている。
でも、自分が見てもしょうがない。
(見て欲しい…)
菜穂子は、雅紀の顔を思い浮かべた。
(やだ、わたし、ばか、何考えてんの)
そう思い直しても雅紀の顔は頭から消えなかった。
相変わらず、読み応えたっぷりどころかズッシリの内容だなぁー
読むのにダイブ時間かかりそう(笑