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沙希の悪戯2-1
第2章
1.目をつむって
優作は、1週間かけて4人のパートとアルバイト全員から話を聞いた。
それぞれの話をまとめると、予想通りの結論。
(この店は、静流の虚栄心と性欲を満足させるために存在しているということだ)
ばかばかしい限り。
優作には、この店を活かす気などさらさら涌いて来ない。
といって、潰してしまっては自分の落ち度を責められる。
それにただ潰すだけでは割が合わない。
全くの時間の浪費。
それなりの代償が必要だ。
(スカッとする潰し方か…)
「お先に失礼します」
店の前で突然声をかけられた。
美穂が帰るところだ。
「ああ、お疲れ様」
優作は反射的に優しい声で挨拶する。
“にこやかなヤツほど腹黒い”
商社マンの基本だ。
優作は、優しい笑みを浮かべて店のドアを開けた。
「いらっしゃいませ」
沙希の声がした。
「ごめん、俺だ」
「お疲れ様です」
「今日は沙希ちゃんか」
「木曜日ですから…」
火曜と木曜は沙希だ。
「店長は?」
「本社、らしいです」
「そう」
(やっぱ、あいつらにはそれなりの報いが必要だな…)
「カップル割引どう?」
「ぼちぼちらしいです。でも、美穂ちゃんが言ってたけど、カップルって言ってもほとんど夫婦だって…」
「いいんだよ、中年の夫婦でも…。お父さんが着いてきたら、お父さんの分も要るだろ」
「そっか。一個余分に売れますね」
「そういうこと」
「で、沙希ちゃんは、彼氏つれて来た?」
「彼氏いないですから」
「嘘着け。いるだろ?」
「えっ、ええ、まぁ。でも、わたしがこっそり思ってるだけだし…」
「あのさ、頼みがあるんだけど」
優作は、自分で振った話題をあっさり打ち切った。
「何ですか?」
「これといったいいプランが思いつかなくて、“カップル割引”、もう少し、利用者を増やしたいんだ」
沙希には、優作の言うことの意味がよく理解できない。
「要するに、次の手が思いつくまで、これをもう少しヒットさせてつなぎたいわけだ。そうしないとクビになる」
「えっ、マジですか?」
「すぐってわけじゃないけど、だんだん風あたりが強くなってくるわけよ」
「そうなんだ、大変ですね」
「そう、大変なんだよ。で、知り合いにケーキを頼まれたんだけど、沙希ちゃん、買ってくれないかな?」
「わたしがですか?」
「カップル割引ってことで」
「まさか、自腹で売上アップですか?」
「それが残念なことに、頼まれ物だから、自分の腹には入らないんだよね」
「自腹ってそういう意味なんですか?」
「違うよ」
沙希は、カードに名前を書き始めた。
男の欄に記入した名前は、片山研二。
「それが彼?」
「やだ。見ちゃだめですよ」
「わかった、見ない」
既に見ているが…。
「ケーキ、何にします?」
「沙希ちゃんが決めて」
「いくつくらい?」
「6個」
「高くてもいいですか?」
「いいよ」
沙希が、楽しそうにケーキを選んで箱に入れる。
優作は、それをずっと眺めていた。
「はい、どうぞ」
沙希が袋を差し出した。
「ありがと、ちょっとこっち来て」
優作は袋を受け取ると、入り口が見えない奥に沙希を誘った。
「ありがと、ちょっとまぁ、お礼ってほどのもんでもないけど…。手を出してくれる?」
わけがわからないが、言われたまま沙希は手を出した。
「目をつむって」
目を閉じた。
「手に何かを乗せてくれると思ってるだろ?」
優作の意外な言葉に沙希は目を開けた。
「ごめん、これね、俺が初めてキスしたときに使った手」
「はぁ?」
「バレンタインにチョコもらって、その何日か後が彼女の誕生日で…、その彼女の誕生日の前の日だったかな…“ケーキ頼まれたんだけど、俺よくわからないから選んで”って彼女を誘って…、彼女に選んでもらって、その帰りに…。最初は、ただケーキをわたして一日早いけど誕生日おめでとう、って言うつもりだったんだけど、彼女が目をつむって立ってると、キスしてもいいかな?…なんて思って…」
「しちゃったんですか?」
優作がうなずく。
「彼女は?」
「ずっと目を閉じたままで、目を開けないから、そのまま手にケーキを乗せた」
「そしたら?」
「やっと目を開けて、“ありがと”って…」
「マジですか?」
「ああ」
「ふーん、彼女、気づいてたのかな?期待してたとか?」
「さぁ。これ沙希にプレゼント」
優作は、沙希の手にケーキの袋を置いた。
「えっ、頼まれたんじゃないんですか?」
「悪い、同じものをもうワンセット買って」
「いいですよ。申し訳ないもの。このあいだも買ってもらったし…」
「そう言わずに受け取ってよ」
「すいません。じゃぁ、わたしもプレゼント」
沙希は、カウンターの下に押し込んだバッグを持ってきた。
「手を出して、目を閉じてください」
優作は、言われた通りに手を出して目を閉じた。
沙希の手が優作の肩にかかる。
軽く前に出した優作の手に沙希の乳房が押し付けられる。
優作の唇に沙希の唇が重なった。
(マジかよ…)
沙希の悪戯2-2
2.怒らない?
「バッグから何か取り出すんだと思ったでしょう?」
沙希は、にこっと笑った。
優作は、確かにそう思った。
「ああ」
「何かくれると思うから、素直に目をつむってくれるってわけだ」
「そうだ」
もうワンセット、沙希は同じケーキを箱に詰め始めた。
「突然、キスして怒られないですか?」
「俺は怒らない」
「“俺”じゃ、だめです。まだ16歳のちょっとオタクっぽい、女の子と付き合ったことなんか一度もないような男の子なんですけど…」
「でも、男なんだろ?」
「男です」
「キスされて怒る男はいない」
「相手がどんな女の子でも?」
「そうだな…めっちゃおばぁちゃんだったら、気色悪い」
48歳、独身、英語の教師の顔が浮かんだ。
おばぁちゃんと呼ぶには失礼だが…。
「だいしょうぶ?」
「だいじょぶだ」
「これもわたしですか?」
沙希は、これもカップル割引にするのかたずねた。
「いや、それはいいよ」
「割り引き、ないですよ」
「いいよ、そのかわり、さっきの分で抽選していいか?」
「えっ、やるんですか?」
「当たったら、山分け」
「それって、口封じ?」
「さっきお前もしたろ」
「さっき?口封じ…確かに…」
抽選と言っても簡単な三角くじ。
優作はこういうささいなくじでは、めっぽう運が強い。
「よし、当たった」
「ウソ、ホントだ」
沙希は、レジの下の小さな金庫から封筒に入った3千円を優作に渡した。
「よし、山分けだ」
「いいです、ホントに…」
沙希は、受け取らない。
「その代わりってわけじゃないんですけど…」
「何?」
「あの、中島さん、いつもカメラ持ってるじゃないですか、それからパソコンも…」
仕事がら、パソコンとカメラは常に持ち歩いている。
「ああ、仕事で必要だからね」
「画像やビデオの編集とかって出来ます?」
「まぁ、そこそこなら…」
「その子、そういうの趣味なんです」
「そうなんだ」
「なんか簡単に扱えるソフトとかってないですか?」
「簡単ってわけにはいかないな」
「ですよね」
「教えてやろうか?」
「えっ、いいんですか?」
「ああ、パソコン持ってる?」
「いえ、これから買うんですけど、どんなのがいいのか?」
「選んでやろうか?」
「いいんですか?」
「いいよ。いつ?」
「この土曜か日曜、だめですか?」
「土曜の昼からならOK」
「やった。ありがとうございます」
「あっ、お疲れ様です」
店長の久保が入ってきた。
相変わらず、覇気のない男だ。
挨拶をしただけで、優作の前を素通りして店の奥に入って行った。
「じゃ、土曜日に電話して、ちょっと店長と話があるから」
優作は、久保の後を追って店の奥に向った。
(さて、どう落とすかな…)
“スカッとする潰し方”
犬がいなくなれば、犬小屋はいらない。
えさも散歩も必要ない。
簡単な話だ。
愛するペットを失う悲しみってやつも小気味いい。
ただ、無理矢理どこかに連れて行くのはスマートなやり方ではないし、下手すれば犯罪だ。
ペットのほうが自分から出て行くってのがベスト。
(とりあえずは…脅してみるか?)
優作は、少しあごを引いて、ノックもせずにドアを開けた。
沙希の悪戯2-3
3.奉仕する男
持って帰って来た資料を整理していた久保は、振り向きもしない。
「社長は、今日から出張ですよね」
優作はわざと久保の背後に立って声をかけた。
今日から3日、静流は本部長といっしょに視察という名目の旅行に出る。
「はい」
久保は振り返ったが、視線は合わさない。
「で、出かける前にお呼びがかかったってことですか?」
久保は意図的に優作の質問を無視して、優作の脇をすりぬけるようにして自分の机に戻った。
「久保さん、あなたにひとつ大事なことをお話します」
久保は、意味のない作業をしながら、耳をほんの少し優作に向けた。
「もし自分の愛人が他に男を作ったら?」
「何がおっしゃりたいのですか?」
久保は勇気を振り絞って優作の話をさえぎる。
「おそらく、社長が勝手に言い寄ってきたんでしょうから、あなたにしてみれば、迷惑この上ない話でしょうが、世の中ってのは、そうはいかないんですよ。」
「だから、何が言いたいんですか?はっきり言ってください」
「じゃぁ、はっきり言いましょう。世の中ってやつは、理不尽なもので、愛人が他に男を作ったら、浮気した女ではなく、相手の男のほうが痛い目にあうんですよ」
「わたしは、違います」
久保がか細い声で反論した。
「違うって?社長の愛人じゃない、って言うことですか?」
「違います」
「そうですか、そりゃ、なおさら気の毒だ。あなたが社長とできているっていうのは、もっぱらの噂です。事実なんてどうでもいいんですよ。根も葉もない噂、単なる噂で十分。しかも、あんたの住んでるマンションの部屋のオーナーは社長だし、他にまだふたつ部屋を持っていて、そのうちの一個は、自分で使ってるらしい。状況証拠も十分だ」
優作の指摘に久保は黙り込んだ。
「制裁っていうやつは、陰湿なほど昂ぶるものでね。女が大事にしているものを無造作に一つずつ壊していく。物欲のかたまりみたいな女だから、持ち物を奪われていくのは耐えられないでしょうね。もちろん、あんたも彼女の持ち物のひとつですよ」
優作は、無造作に煙草に火をつけた。
ここは、厨房でもある。
煙草は厳禁だが、久保はそれを注意できない。
「早めに消えてしまうほうが身のためだと思いますよ」
「どういうことですか?」
「消される前に自分から消えることです」
優作は冗談ぽく言ってはいるが、顔は笑ってはいない。
久保の顔から血の気が引いていく。
まさか本当に“消される”とは思はないが、笑ってすませることではない。
「わたしは3週間、時間をもらっています。もう1週間過ぎましたけど…。わたしは、こう見えてもれっきとしたサラリーマンでやくざじゃありません。わたしがもらっている時間の内に決断したほうがあなたのためだと思います」
「ここを辞めろと?」
「できるだけ速やかに」
「でも、行くところが…」
「誰かに無理矢理、どこかに連れて行かれるほうがいいですか?」
久保は黙った。
「店を閉めてから、相談しましょうか?」
優作は笑って久保の肩をたたいた。
「あら、優作さん、お久しぶり」
店のカウンターの奥から、ちょっとかすれた声の女性が声をかけた。
「美沙ちゃん、これお土産」
優作は、沙希に買ってもらったケーキを美沙に渡した。
ショッピング街と歓楽街のちょうど境目にある雑居ビルの二階。
“美咲”という名のエステティックサロン。
同じフロアにエステとネイルと美容室が並んでいる。
オーナーは同じ、麻生美咲。
ニューハーフの元キャバ嬢だ。
「中に入って。真琴さんが奥で待ってるから」
「ありがと」
真琴もニューハーフ。
この店は、受付の美沙以外は、全員ニューハーフだ。
優作は久保を連れて、カウンターの脇から事務所に入った。
「優作、久しぶり」
優作が入ると大柄な真琴が近寄ってきた。
「そちらが…?」
「そう。どM男。探してただろ?ちょっと歳食ってるけど」
「そうみたいね。でも、まぁ、M男くんに年齢は関係ないから…。ちょっと試していい?」
「ああ」
久保の意向など全く無視して話は進む。
「名前は?」
真琴は、直接、久保に話しかけた。
「久保…陽一」
「ようち?」
「“よういち”、“太陽”の“陽”に漢数字の“一”」
真琴は、別に字を聞いたわけではないのだが、久保は律儀に答えた。
「ふーん、いかにも立派なものを持ってますっていう名前ね」
(そういえばそうだな)
さすが、接客業。
真琴の指摘に優作は思わず、感心した。
「じゃぁ、後で連絡するから」
真琴は、優作にそう告げて、陽一を奥の部屋に連れて行った。
ニューハーフだけのエステ、ネイル、美容室。
ここの店は、指名制。
ほんの数百円だが、指名料も取る。
外見は女性だ。
同性としての安心感がある。
しかし、仮に店の女性が気に入ったとしても、それは同性愛ではない。
彼女らは性器まではいじってはいない。
もちろん、セックスだってできる。
実際、そういう需要も少なくはない。
女性ならば、そういう客を何人か持ってもなんとかなるが、男の場合はそうはいかない。
単にセックスが目的の客には、安全な“男”を紹介する。
世の中に“やりたい男”はいくらでもいるが、“奉仕する男”はそうはいない。
久保は、顔も悪くはない。
ありがちな色白の脂ぎったデブでもない。
しかも、久保のものは相当だ。
「帰るんですか?」
帰ろうとする優作に美沙が声をかけた。
「ああ」
「まっすぐ、お宅に?」
「なんだ、それ?」
「いえ、別に…」
「何、隠してんだよ、はっきり言え」
「奥さんから電話があって、志保ちゃん、さっきお宅に向ったばかりなの」
この店には、見習いレベルのエステシャンを出張させるサービスがある。
「奈緒美が?」
美沙はうなずいた。
「2時間くらいどっかで時間つぶしてもらえると、終わると思うけど…」
「そう。わかった」
優作は足早に店を出た。
沙希の悪戯2-4
4.口内射精
めんどうくさい
それが正直な久保の心情だった。
(俺が、何をしたって言うんだ)
自分から望んで静流の男になったわけではない。
(M男、M男って、俺、別にMじゃねぇし…)
言われたことに逆らうより、従っているほうが楽だからそうしてきただけだ。
(ああ、めんどうくさい)
シャワーを浴びながら、久保はそれ以上の思考をやめた。
「さっ、ここにうつ伏せになって…」
シャワールームから出てきた久保を真琴は、マットの上に寝かせた。
「あら、けっこういい身体してるじゃない」
むきむきの筋肉質というわけではないが、横たわってだらっと流れる肉はついていない。
真琴は、うつむいた久保の両腕の肘を張らせ、首筋、から肘裏、腕の付け根へと軽く流し、久保の足方に移動する。
「ちょっと痛いかもしれないけど、がまんして」
指ではないもっと固いものが久保の足の裏に当てられた。
「うっ」
真琴の力の具合で、ほんの一瞬だが痛みが走る。
ただ、すぐに真琴が力を緩めるので耐えられた。
痛みによる緊張と弛緩。
それが巧に繰り返される。
真琴の手が足に移った。
マッサージする真琴の手が内から外、下から上へと動く。
久保は面食らった。
これでは客だ。
“試していい?”
確か、真琴はそう言ったはずだ。
(気持ちいい)
久保の警戒心が緩んでいく。
真琴の手は久保のお尻に移る。
緊張の緩んだ久保のお尻の肉は、女のそれのように柔らかく盛り上がった。
「あっ」
不意にお尻の穴の周辺に何かを塗られた。
じわーっと熱が浸透してくる。
皮膚にはちょうどいいが、穴の粘膜には刺激が強すぎる。
お尻の穴の部分だけは、かっと熱くなった。
「向きを変えて」
真琴に言われて、久保は仰向けに向きを変えた。
顔の上に蒸しタオルが置かれて視界がさえぎられる。
また真琴のマッサージが始まった。
足を下から上に…
ひんぱんにペニスの付け根まで手のひらが上がってくる。
久保のものがぐっと上に向く
「ほんとにおっきいわね」
いきなり真琴にぎゅっと握られた。
静流も握るが、男である真琴とは力も手の大きさも違う。
急な刺激に不意を突かれた久保は、下腹部に力を入れ、開きかけた道をぎゅっと閉ざした。
真琴が久保のものにちょっかいを出したのは、その一瞬だけで、すぐにまた足へのマッサージへともどった。
「ちょっとお尻を上げて」
久保がお尻を浮かせると、左右のお尻の肉の下に台が差し込まれた。
ほんの少しお尻が浮く。
真琴は、久保の足を持ち上げ、寝台の端にあるバーを引き寄せて、久保の足をそのバーの上に乗せた。
それは、洋服掛けのようなもので、下にキャスターがついて自由に動く。
真琴は、そのバーを寝台の中央に向って押していく。
バーは、上にあげた久保のふくらはぎに沿って、久保の足の膝の裏までくる。
さらに前に押すと、久保の膝を押し上げ背中が丸まっていく。
男を受け入れる女性の格好だ。
バーが止った。
(痛い…)
いや、痛いような気がしただけかもしれない。
久保のお尻の穴の中に何かが挿入された。
それは、ゆっくりと奥へ奥へと差し込まれる。
穴の部分は、強い刺激で熱くしびれて何も感じない。
奥に入ってくる感覚もシャープなものではなく、鈍い。
最初に感じた熱さは、だんだん掻痒感にかわっていた。
「ヴィーン」
小さな小さなモーター音がして、挿入されたものが微妙に振動し始めた。
“かゆさ”がまぎれて気持ちいい。
真琴に腕をとられた。
水平に肩の位置にまで引き上げられマットについたベルトで止められた。
動けない。
真琴は、久保の顔の上にまたがり、腰を振って股間を久保の顔にこすりつけながら、久保のものに手を伸ばした。
真琴の口が久保のものを咥える。
同時に真琴のものが久保の顔の上で久保の口を捕らえる。
久保はゲイではない。
いかつい男のものを咥えるなど到底できないが、このペニスの持ち主は真琴だ。
しかも真琴も自分のものを咥えてくれている。
真琴の舌使いは、自分勝手な静流のそれとは比べ物にならない。
すぐにでも開こうする道を必死に押さえるが、お尻の穴からくる刺激で力がうまく入らない。
持続力には自信があった。
静流にいかされたことなどない。
それは傲慢な静流に対する久保の唯一の反抗でもあった。
その自信が崩れていく。
久保は、真琴のそれに舌をあて、からませ、強く吸う。
できたら、真琴のほうを先にいかせたい。
無理だとは知りながら、けんめいにもがいたが、もう全く余裕がなくなっていた。
ペニスの付け根がジーンと熱くなってくる。
お尻の刺激とあわせて、腰から下にもう全く力が入らない。
久保は、背中を反らし、真琴のものをできるだけ強く吸いながら、下半身に入れていた力を抜いた。
とめどもなく溢れた。
どくっ…どくっ…
それを、真琴が口で受ける。
(えっ?)
今度は、久保の口に真琴のものが放出された。
久保もまたそれを口で受けた。
真琴が久保のアナルに挿入されたバイブのスイッチを切る。
時間が止ったように、静かだ。
久保の口から真琴のペニスが離れる。
そこに真琴の口がかぶさった。
真琴の精液と唾液、そして自分の精液。
それを久保はすべて飲み込んだ。
沙希の悪戯2-5
5. 初めて
「志保さん、いっしょにお風呂入ります?」
奈緒美が、志保に声をかけた。
「そうですね。マッサージは、お風呂でしましょうか?ここのお風呂は異常だし…」
奈緒美の家はかなりの広さだ。
ただし、優作のものではない。
キャバ嬢だった奈緒美の家だ。
バスルームもラブホ並だ。
エアマットまで置かれている。
バスルームをラブホ並みに改装したのは優作だ。
奈緒美は、先に身体を洗い、エアマットにうつ伏せに寝た。
「始めるわね」
志保は、少し熱めのシャワーを奈緒美の身体全体にかけた。
一箇所に集中しないように、小刻みに震わせながら…。
真っ白な奈緒美の肌が、みるみるピンク色に染まっていく。
男なら、きっとそそられる光景に違いない。
志保は、奈緒美の足元に座り、足の裏のツボを親指で強く押した。
痛いのか、時おり、奈緒美のお尻に力が入りきゅっと締まる。
奈緒美の体は、横幅はないが、前後の厚みはすごい。
うつ伏せになるとお尻がつんともちあがる。
足首からふくらはぎ、ふともも、そしてお尻。
「きれいなお尻」
志保は本当にうらやましそうにそう口にした。
男性器はついてはいるが、今まで女性を犯したいなんて思ったことは一度もなかった。
そんな志保でさえ、奈緒美のお尻を見ていると股間のものが立ち上がってくる。
志保が呼ばれたのは、今日が二度目。
最初は、思わず勃起した自分のものに困惑したが、今日は違う。
お尻のマッサージを終えた志保は、奈緒美の太ももを自分の太ももで挟むようにして奈緒美に馬乗りになる。
その格好で奈緒美の背中、脇をマッサージすると、奈緒美のお尻に勃起した性器が触れる。
前回は、そうならないように腰を浮かしたが、奈緒美に自分の上に座ってくれとお願いされた。
乗る側には、乗られる側の気持ちはわからない。
乗る側はどうということもないだろうが、乗られる側は、かなり重い。
相当の圧迫感を感じる。
この圧迫感を苦痛と思うか快感と感じるか。
奈緒美はそれを気持ちいいと感じる女だった。
「はい、じゃぁ今度は仰向けになってください」
志保は、奈緒美が仰向けになってから話しかけた。
「ご主人、優しくていい人ですね」
優作は決してイケメンではない。
単なるサラリーマンでお金があるわけでもない。
でもなぜかもてる。
それも特にプロの女性たちには評判がいい。
志保も元々ニューハーフバーにいたのだが、優作に紹介されて今の仕事に変わった。
奈緒美だって元はキャバ嬢だ。
「わたしね、セックスってあまり好きじゃなかったの」
奈緒美が唐突に話し出す。
「そうなんですか?」
志保は奈緒美の腰周りと脇を重点的にマッサージする。
「だって、仕事みたいなもんでしょ」
「まぁ、そうですね」
「わたし、お酒飲めないから、たいていは無理に飲まされて、いいようにされてたわけ。セックスも客も好きじゃなかったから、酔ったふりして寝てたらすむから、まぁ、それでもよかったんだけどね」
生々しい話だが、志保にしても同じようなものだ。
「でもさ、わたしが酔ってると思って、ひどいことするのよ。生で中に出したり、わざわざ人を呼んで大勢でやったり、ビデオ撮ったり…」
「ひどいわね」
志保の手が奈緒美の乳房に移った。
「しょせん、商売女だからね。でね、お店も流行ってなかったし、やめようと思ってたら、彼が来たの」
「ご主人?」
「そう。なんか突然やってきて、しばらくしたら、しゃきっとした黒服が入ってきて、お店ががらっと変わったの」
「へぇ」
「そうなると、なんか辞めにくくなっちゃって…」
「そりゃ、ナンバーワンが抜けたら大変でしょ」
「まさか、わたしなんか、ぜんぜんよ。そうね、後から数えたほうが早かったかな?」
「嘘、ナンバーワンだったって聞きましたけど」
「やめる最後の月だけね。店を移るわけじゃなくて引退だったから、みんなが盛り上げてくれて…」
「結婚?」
「そう。変わった人。ときどき、店長が、お店で彼を接待するの。店の子、誰でも選べるのに、わたしを指名するの。しかも指名料は自分で払うって」
「気に入ったんだ。奈緒美さんが…」
「違うわよ。わたしはあまり飲めないから、安上がりだし、人気もないから…。店に気を遣ったのよ」
「そんな…」
志保は、オイルを手にとって奈緒美の身体に塗り込んでいく。
「彼はすぐに帰ろうとするんだけど、店長が強引にわたしをいっしょに外に出すの」
「なんか、それってちょっと辛いですね」
「うん。でもね、外に出ると別人なの。豪華って言うわけじゃないけど食事して…。すっごいいろいろ話してくれて、楽しくて…。いっぱいかまってくれて、しかも口説くの。口説かなくたって、わたしはそう指示されてるのに…」
「わかります。そういうとこ、優作さんらしいです」
「わたしね、それまでは、男ってのは、女を使って勝手に好きなようにやりたいことをするものなんだって思ってたの。でも、彼ったら、いっしょうけんめいわたしを気持ちよくさせようとするの。わたしはセックス好きじゃないから、なかなか反応できなくて…。申し訳なくて、逆にこの人をいかせてあげようって思ったの。そんなこと思ったの、生まれて初めて」
「ふーん、なんかいい話ですね」
志保は、奈緒美の身体を数枚の大きなタオルで包んだ。
「上に乗っかってもいいですか?」
奈緒美はうなずいた。
「わたし、舐めるの好きなの」
志保に上に乗られて、志保の顔が見えなくなると奈緒美は、ひとり言のように語りだした。
「それまでは、舐めさせられてたの。口に出されるのなんて大嫌いだった」
それは志保にもわかる。
「彼をいかせたくて、舐めたの。ときどき彼の顔を見上げたわ。嬉しそうにわたしをずっと見てくれてるの。なんかこっちまで嬉しくなって…。男の人の上に乗ったのもその日が初めて。どうしてもわたしがいかせてあげたかったんだけど、結局、上下変わられて、わたしが先にいかされたわ。…いったのも、そのときが初めて」
「奈緒美さん」
「ん?」
「わたしも、生まれてはじめてのことがあるの」
「何?」
「奈緒美さんとしたい」
「わたしと?」
「わたしね、今まで自分の男の身体が嫌だったの。でも、今日は、これが嫌じゃない」
志保は、奈緒美の顔の前に固くなった男のものを突き出した。
「いいわよ」
奈緒美が口を開いて待った。
廊下を歩く足音が聞こえた。
「ひとり増えたけど…いい?」
奈緒美の問いに志保は楽しそうにうなずいた。
テーマ : セクシーなランジェリー - ジャンル : アダルト