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真希の妹2-1
第2章 美希
1.明日香
「ねぇ、どう思う?」
明日香の話は、きまって“どう思う?”から始まる。
「何が?」
「雄介なんだけど…」
斉藤雄介、明日香の彼氏だ。
「どうかしたの?」
「あいつ、やっぱ、変態だよ」
何をいまさらとは思うが、それは口にしない。
「カラオケ行ったんだ」
「いつ?」
「土曜日」
「で?」
「雄介と琢磨と黒石の3人にわたしの4人だったの」
雄介と他の2人は、バンドをやっている仲間でしょっちゅう3人いっしょにいる。
明日香といる時間より、その二人といっしょにいる時間のほうが長いかもしれない。
「あいつ、そこでわたしにさせようとするの」
「何を?」
明日香が、あれを握って口に入れる格好をした。
「うそ、カラオケボックスで?」
「琢磨と黒石が見てるその前だよ」
「まじ?」
「まじよ」
「で、明日香、…まさか」
「だって、頭を押さえつけられたんだもの」
(やったのかい!)
「で、琢磨と黒石は?」
「見てたわ。…最初は…」
「“最初は”って…?」
「たぶん、最初から企んでたのよ」
「えっ…何?どういうこと?」
「最初は、雄介が座ってて、わたしは頭を押さえつけられてたんだけど、無理矢理寝かされて、あいつ、わたしの顔をまたいで、わたしの顔の上に乗ってきたのよ。そしたら、あいつら、わたしのスカートまくって…」
「やられたの?」
「やられたってか…。わたしは顔の上に乗られてるから、何にもできないじゃない。パンツも脱がされて、触られて…、指とか入れられて…、写真も撮られた」
「雄介は?」
「あいつがさせたんだよ。あいつそっち向きだったし、“いいぞ、撮っちゃえ”とかって言ってたし…」
「ひどい」
「でしょ。まっぱにされて、おっぱいも触られて、写真撮られて…」
「で?」
明日香の話は長い。
たぶん、このへんはまだ入り口に違いない。
「雄介に入れられて、黒石はわたしのおっぱいいじってたんだけど、あれを口に突っ込んできたの。それがさ、黒石、彼女に振られたんだけど、彼女がフェラしてくれないんで、無理矢理やったらしくて、それで振られたんだって…」
「明日香、どうしてそんなこと?」
「雄介がそう言ったのよ。そのとき」
「だから、“舐めてやれ”ってこと?」
「たぶん」
(あんたって人は…)
「よつんばいになって、口とあそこ同時よ。どう思う?」
(どう思うって…どう思わせたいのよ)
「でね、黒石に口の中に出されて、そしたら、すぐに雄介が、またわたしの口に入れてきたの。で、聞いてよ。今度は琢磨もよ」
(3人いたんだから、それは、そうでしょ)
「そのとき、雄介、なんて言ったと思う」
(知らないわよ、そんなこと)
「お尻にしろって言ったのよ」
「お尻?」
「雄介、変態だから、お尻にしたがるのよ。中に出せるからいいんだって…。だから、何度かやったことはあるんだけど、そんなつもりじゃないから、準備してないじゃない」
「準備?」
「だから、うんち出しとかないとだめでしょ」
「そうなんだ?」
「そりゃそうよ」
(なにいばってんのよ。こいつ)
「で、たまってたの?」
「ううん。そのときは大丈夫だったんだけど…」
(なんなのよ、いったい)
「だから、あそこに入れられたわけじゃないんだけどね」
「同じでしょ」
「同じか?そうだよね」
「れっきとしたレイプだよ」
「だよね。黒石はともかく、琢磨だよ。ひどいよね」
(何それ、黒石はいいの?)
琢磨は、声は透き通った高音で、歌わせたら抜群なんだけど、背が低くて、小太りで、ぶさいくで、髪が長いんだけど、それがまた不潔で…、
「今思っても、ぞっとする」
ばかばかしくなった。
どうやら琢磨がいやだったっていうことのようだ。
「雄介、明日香のことどう思ってんの?」
「どうって?」
「ただ、やりたいだけなんじゃないの」
「だと思うよ」
明日香は平然と答える。
「いいの、それで?」
「ねぇ、美希」
「ん?」
「男って、たいてい、やりたいんだよ」
どきっとした。
「好きだの愛してるだのって言うけど、セックスするでしょ」
「えっ、まぁ…」
「女だって、キスされたいし、抱きしめられたい。…違う?」
「そ、そうねぇ」
「いっしょでしょ」
そうかもしれなかった。
わたしも真希のを舐めた。
真希を愛しているわけじゃない。
やりたいんだ。
「ねぇ、明日香」
「うん」
「いっぺんに3人って、どんな気分だった?」
「ねぇ、明日香」
「うん」
「いっぺんに3人って、どんな気分だった?」
「気分?気分どころじゃないわね。あっちからもこっちからも手が伸びてきて…」
明日香は、少し沈黙した。
「わたしね、本当は、ずっと好きな人がいるんだ」
明日香の表情が変わった。
「そうなの?誰?」
「片思いだし…。いつかそのうち話すよ」
セックスの話は平気でする明日香が、照れたように、恥ずかしそうに微笑んだ。
真希の妹2-2
2.エステシャン
明日香と話し込んで、バイトにギリギリの時間で駆け込んだ。
わたしは、週に3回、夕方の6時から夜10時までピザ屋でバイトをしている。
お金が欲しいのはもちろんだけど、なんていうか自分だけの世界というのが持ちたいと言うか…。
同じ学校の同じ学年に兄妹がいるというのは、けっこう気になるんだな。
例えば、同級生とかで彼氏ができると、当然、真希に知られるわけで…
真希が女だったらそうでもなかったんだろうけど、相手も兄が同学年にいるとなると、それだけで引いたりする。
だから、高校生になるとすぐにわたしはバイトを始めた。
ここは、真希が知らないわたしだけの空間。
わたしがバイトを始めると、真希もすぐにバイトを始めた。
真希も同じ思いをしていたのかもしれない。
結果的に家ではほとんど顔を合わさなくなってしまった。
別に真希を嫌っているわけじゃないけど、中学になって少し遠ざかっていた真希との距離が、このことでさらに遠くなってしまった。
「ただいま、戻りました」
配達に行っていた梓が帰って来た。
杉原梓
半年くらい前に入ってきた。
まだ、10代だとは思うけど、歳は知らない。
「梓、次、2軒だ。大至急」
配達は30分以内。
配達員には休む暇はない。
「了解」
梓は、いつも明るい返事を返す。
目が合うと必ず、にこっと微笑む。
わたしだけに…ではなくて、誰にもみな同じ微笑だけど…
電話だ。
わたしもようやく、注文を受けられるようになった。
電話はヘッドセット。
お客の注文をきいているわたしの横を配達用の保温バッグを持って梓がまた配達に出て行った。
平日の6時から10時というのは、手ごろに忙しい時間帯だ。
暇を持て余すこともなければ、忙しすぎて目を回すこともない。
わたしの4時間は、いつもあっという間に過ぎていく。
「お先に失礼します」
「俺もあがります。お疲れ様でした」
帰ろうとするわたしの後ろに、いつもは24時までの勤務で、わたしと同じ時間には帰らない梓がついてきた。
「あれ、梓、今日は早いのね」
あきらかに梓のほうが年上なのだが、みんなが呼び捨てにするのでわたしもつい、そう呼んでいる。
「ああ。ちょっと本業がきつくなって、早めにあがらせてもらうようにしたんだ」
「本業って?」
手ごろな忙しさの中で、話をする時間もなく、半年も経つが、わたしは彼のことをほとんど何も知らない。
「学校」
微妙な返事だ。
高校なのか大学なのか、専門学校なのかわからない。
「どこの学校なの?」
あいまいに聞き返した。
「専門学校。エステの…」
「エステ?」
「そう」
「ふーん、エステシャンの学校ってあるんだ?」
「あるよ」
「そうなんだぁ」
「何感心してんだよ」
「ううん」
わたしもエステには関心があった。
エステシャンになりたいわけではない。
ちょっと…太ったのだ。
中学時代は、別にこれといった運動をしたわけでもないのに、けっこう身長が伸びて、体重も増えたが、太りはしなかった。
ところが、高校生になって、ここ一年、身長は8ミリしか伸びていない。
だけど
体重は、6kg増えた。
慌てて食事を減らしたのだが、増加の速度が鈍っただけ。
「エステかぁ…」
思わず口に出てしまった。
「お前も興味あるのか?」
「うん。まぁ…」
「パンフとかもらってきてやろうか?」
「ううん。そっちじゃなくて…。ちょっと太ったんだ」
「ああ、そっちね」
「なによ」
「別に太ってないだろ」
「見かけはね」
「そうかぁ。あんまり痩せてるのって、俺はいやだけどなぁ」
「学校って、教えるだけ?やってないの?」
「一応、店もあるよ。生徒が実習したりしてる」
「そういうのって安くならない?」
「本気で言ってる?」
「うん、けっこうマジ」
「そうか。なら、紹介してやろうか?生徒の中で内緒でバイトしてるやついるから…」
「大丈夫なの?」
「最初の1回はタダ。やってみてお前がいいなって思ったら、後は2時間、3千円」
そのくらいのお金ならバイト代で払える。
「いつでもいいの?」
「いつがいいんだ?」
「バイトのない日」
「明日でもいいのか?」
「明日?いいの?」
「聞いてやるよ」
梓が携帯を取り出して立ち止まった。
「明日の6時から8時ってのはどうだ?」
「いいけど…」
「じゃぁ、そういうことで…」
「えっ、決めちゃったの?」
「ああ。あっ、友達っての…女だから、一応…。神崎レナ」
「そう」
女性だと聞いて、ほっとした。
「場所は、どこなの」
「すぐ近くだけど。寄っていく?」
「えっ、ええ」
なんか急な話だけど、自分から言い出したことなので、嫌ともいえなかった。
真希の妹2-3
3.レナ
昨日、場所は、梓に教わった。
3階でエレベーターを降り、右にまっすぐ歩いて4つ目の部屋、318号室。
(ここ?)
そこは、ごく普通のマンション。
恐る恐るインターホンを押した。
“はい”
ちょっと低いが女性の声だ。
「あのぅ、加藤美希って言います。梓さんに紹介されて…」
“ちょっと待って”
しばらくしてドアが開いた。
「いらっしゃい」
さすがにまだ卵とはいえエステシャン。
すらっとした体型で、しかも…美人だ。
「加藤美希です」
「美希ちゃん。レナです」
「さぁ、どうぞ」
中に案内された。
入ってすぐが、リビングとダイニングキッチン
奥に部屋が二つあった。
「冷たい紅茶飲む?」
「えっ」
わたしが答える前に、レナさんはもう冷蔵庫を開けてペットボトルを取り出していた。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
「高校生なんだって?」
「はい」
「梓とは、どういう?」
「バイト先が同じなんです」
「じゃぁ、あんたもピザ屋でバイトしてるの?」
「はい」
「ふーん」
「あのね。ここだけの話なんだけど…いい?」
(初対面の人に“ここだけの話”を切り出すって…どんな?)
「梓がなんでピザ屋でバイトしてるか教えてあげる」
(いいの?そんなことを誰かれなく話して…)
「彼ね、ピザ配達して、そこにねチラシ配ってるのよ」
「チラシ?」
「これ。彼が自分で作ったのよ」
レナさんが、小さなチラシを見せてくれた。
ここのエステの募集チラシだ。
「配達して、相手がちょっと太ってる女性だとこっそり郵便受けにチラシを入れてくるの」
「そうなんですか?」
(そりゃ、知られちゃまずいでしょ)
「内緒よ。でね、このチラシを見て来てくれたり、彼の紹介で来てくれたときは、1回分の代金は彼に入るの」
(そりゃ、よけいにまずいでしょ)
「美希ちゃん、最初はタダだって彼に言われたんでしょ?」
「は、はい」
「それはね、彼が自分の分を要らないからって…」
「そうなんですか?」
「同じところでバイトしてる仲間じゃ、お金取れないわよね。それとも、あなたに気があるのかな?」
「まさか…」
「そうよね。気があられても迷惑だね」
「いえ、そういうことじゃ…」
「ごめんなさい。余計な話して、先にシャワー浴びてもらえる?」
「あっ…はい」
「これに着替えてね」
バスローブを渡された。
「下着はつけないで、…それだけね」
「は、はい」
わたしは、それを持ってバスルームに入った。
実は、ここに来る前に家でもシャワーを浴びて身体を洗ってきたのだが、それでも、さらに念入りに身体を洗った。
(何もつけないで、これだけか…)
シャワーを浴びて、身体を拭いて、言われた通り裸の上にバスローブを羽織った。
緊張している。
そのせいか、乳首がとんがっている。
そこにバスローブが直接当たって痛い。
バスルームを出ると、奥にある二つの部屋の右側に通され、バスタオルを二つ渡された。
「そっちの部屋に入って、ベッドに横になって。裸になって、胸と下半身をこれで覆ってね」
そう言って、レナさんは部屋を出て行った。
ベッドというよりは、診察台といった感じの台だ。
わたしは、バスローブを脱いでそこに横になり、胸と下半身をバスタオルで隠した。
しばらくして、ドアがノックされた。
「いい?」
「どうぞ」
レナさんが、トレイにいろいろ載せて入って来た。
「始めるわよ」
「お願いします」
「緊張しないで、力を抜いて…。今日はお腹と太もも…いい?」
「はい」
レナさんの手がわたしの脇腹に置かれた。
手のひらがすでに温かかった。
真希の妹2-4
4.サービス
「どう?」
「気持ちいいです」
太ももはそうでもなかったが、脇とお腹は、最初は少し痛かった。
でも、今は気持ちいい。
たぶん、今も痛いんだろうけど、痛みに慣れたのか、痛みが気持ちいいのか?
話しかけられなかったら、眠ってしまうところだった。
「普段はね、1時間なのよ。今日は特別…」
「すいません」
「あなたが謝ることじゃないわよ」
「高1だっけ?」
「はい」
「じゃぁ、16歳?」
「はい」
「ふーん。おっぱい、おっきいわね」
「えっ…」
カップはちょっと自慢のCだ。
でも、こんなとき、どう、返事していいのかわからない。
まさか、“はい”とも言えないし…。
「運動は、してないの?」
「はい」
「そっかー。仰向けになると、ちょっと左右に流れちゃうわね」
(流れる?)
「寄せてあげようか?」
「おっぱいですか?」
「あなた、肩幅も狭いし、ちょっと筋肉も少ないから、おっぱいが垂れちゃうかも…」
(垂れる?…やだ…)
そんなこと考えたこともなかった。
「筋肉ないと垂れるんですか?」
「そうよ。乳房はね、脂肪のかたまりだから、自分で形を維持することはできないのよ。あなたのおっきなおっぱいは、ここの筋肉が垂れないようにひっぱってるの」
レナさんがわたしの脇の下から肩甲骨のあたりを撫でた。
触られて痛感した。
胸の筋肉はかなり薄い。
レナさんの手のひらを直接骨で感じた。
「どんな運動したら…」
「手を上に伸ばしてそこをつかんで…」
わたしは、手を頭の上に伸ばして、診察台についているパイプを握った。
寝たまま“伸び”をした感じだ。
おっぱいが左右に広がるのがわかる。
「ずっと、そこを力いっぱいぎゅっとつかんでてね。それも運動よ」
レナさんの手が、わたしの脇の下に入り、そこからぎゅっと脂肪をおっぱいのほうに引っ張り上げてくる。
(うっ…)
これはけっこう痛いが…、この痛みも悪くはない。
わたしの胸を覆っていたバスタオルがどけられたが、別に気にならなかった。
「あっ、そうだ。蒸しタオル、顔に乗せてあげるね」
レナさんが、部屋を出て行った。
(…エステシャンって大変…)
わたしは、いい気持ちだが、レナさんはかなりの重労働だ。
器具を使ってるときは、休めるが、それでも、もう30分以上、わたしの脂肪と戦ってくれている。
「顔もね、痩せられるのよ。そういう器具があるんだけど、ごめんね、ここにはないの。高いのよ。代わりといっちゃなんだけど…。蒸しタオル。気持ちいいでしょ?」
蒸しタオルを顔にかぶせてくれた。
器用に鼻だけを開けて…。
また、おっぱいへのマッサージが始まった。
「ねぇ」
「はい?」
「サービスついでって言っちゃなんだけど…」
(まだ、何かしてくれるの?)
「足の裏のツボってやってみる?」
(ツボ?)
「身体の内側から代謝をよくするわけ。そうすれば、効果は確実なのよ。ただ、“痛い”ってみんな嫌がるんだけど…」
(ああ、あれね)
やっとわかった。
足の裏を押されて、芸人さんがのた打ち回るのをテレビで見たことがある。
「でもね、痛いのって…気持ちよくない?」
もちろん、痛みにもよるんだろうけど、確かに今のところは、痛いのも気持ちいい。
「気持ちいい…です」
「でしょ。じゃぁ、やってみる?」
「えっ、あっ、はい」
話の流れで、嫌とは言えなかった。
レナさんが部屋を出て行って、すぐに戻ってきた。
「タオル替えるわね」
冷たくなったタオルを取り替えてくれた。
「じゃぁ、また始めるわね」
わたしは、てっきり足の裏だと思っていたのだが、レナさんは、またわたしの乳房を揉み始めた。
しかも今度は、あきらかに乳房を揉んでいる。
時おり、レナさんの手のひらがわたしの乳首を撫でた。
(これも…エステ?)
(えっ、誰?)
誰かに足を持たれた。
「始めるわよ」
レナさんは、そう言うと、診察台の横から、わたしの顔に覆いかぶさるよう上体を押し付けてきて、わたしの頭は、上に伸ばした腕ごとぎゅっとレナさんに抱え込まれた。
(えっ、どういうこと?)
わたしの顔にレナさんの乳房が押し付けられた。
いきなり来た。
「痛い」
細い固い棒のようなもので、ぐいぐい足の裏を突いてくる。
(痛い、痛い、痛い、痛い、痛い)
やっとわかった。
レナさんは、わたしが暴れないようにわたしを押さえつけているのだ。
それでもわたしは暴れた。
しっかりつかまれた左足はしょうがない。
動く右足をばたつかせ、腰を引き、身体をねじった。
下半身を覆っていたバスタオルもどこかにとんでいってしまったが、痛くて、そんなことにかまっていられない。
「いた、いた、いた、痛い」
叫んで、叫んで、暴れて、暴れた。
「終わったわよ」
わずか数分だったのだろうが、永遠とも思われる苦しみからようやく解放された。
「痛かったわね。ごめんね」
わたしの顔は涙でぐちょぐちょに違いない。
レナさんが、わたしの顔をタオルで拭いてくれた。
(そのためのタオル?)
何もかも予定の行動。
終わってもわたしはすぐには動けなかった。
痛みはもうない。
ただ、身体に力が入らない。
下半身はジーンとしびれた感じで、足は、とても動きそうにない。
どんどんどんどん身体が熱くなってきた。
汗が次から次へとふき出してきた。
「もう一度、シャワー浴びる?」
「はい」
わたしは、ゆっくり一歩ずつ足に体重をかけながらバスルームに向った。
リビングには、誰もいなかった。
(さっき、誰だったんだろう?)
もう一方の部屋で人の声がした。
男の人の声だ。
足をつかまれたときに男だとは思ったけど…。
おっぱいは、レナさんに揉まれてたし、暴れたから、下半身も丸出し。
(あまりに痛すぎてそれどころじゃなかったわ)
「次、どうする?」
「また、来てもいいですか?」
「もちろんよ。でも、次からは、お金もらうわよ」
「はい。それはもう…」
「次はいつ?」
「明後日は?」
「8時~9時なら?」
「はい、じゃぁ、それでお願いします」
「足の裏はどうする?」
「それは…」
別にいやではなかったが…
「それは、そのときでいいか?じゃぁ、また、明後日ね」
「はい」
わたしが、リビングを出ようとしたとき、奥の部屋が開いてちらっと人が見えた。
そこにいたのは、梓だった。
真希の妹2-5
5.身体にいいのよ
あり得ない話ではない。
梓は、知り合いがバイトをしていると言っただけで、自分はやっていないとは言ってない。
(梓…、わたし、まっぱだったし、それどころか…)
キャスターのついた姿見をベッドの足のほうに置いてみた。
裸になって、ベッドに寝て足を広げてみる。
(あああああ…)
この格好を見られた。
今さらながらに恥ずかしさがこみ上げてきた。
レナさんがわたしの顔にタオルを置いたのは、目隠しのため?
(でも、どうして?)
どうして、目隠しまでして足のツボの指圧をしたんだろう?
(わたしが拒否するから?)
梓が来て、“足を出して”って言ったら、まぁ、しないわね。
裸なんだもの。
あの格好で、足のほうから覗かれるなんて…。
(でも、どうして、裸だったんだろう?)
おっぱいは、しょうがないけど、下は下着をつけてても問題ないじゃない。
ショーツをつけてても、見られたくはないけど…。
でも、なんで裸?
みんなそうなのかな?
まさか、わたしだけ…?
わたしだけだったとしたら…なぜ?
(梓に見せるため?)
「梓…」
ふと、梓の名前を口に出していた。
次の日、バイト先で梓に会ったが、勤務中は、梓はほとんど配達に出ているので話す時間はない。
「美希、待って、俺も帰るから…」
わたしが帰ろうとすると、配達から帰って来た梓が追いかけてきた。
「昨日、行った?」
「うん」
(知ってるくせに…)
「どうだった?」
「痛かったわ」
「痛かった?痛いってレナに言った?」
わたしは、足の裏の指圧のことを言ったのだが、梓はそれを聞いたのではなさそうだ。
「えっ、ううん。最初、ちょっと痛かっただけ。後は気持ちよかった」
「そうか。最初はね…」
「で、どうするの?続ける?」
(えっ、それだけ?足の裏は?)
梓は、足の裏のことには全く触れない。
「ええ。続けるけど…」
「けど…何?」
「わたし、料金のことよくわからないんだけど、いいの?」
「何が?」
「最初はタダなのは、梓が紹介料を取らなかったからって…レナさんが…」
「レナ、そんなこと言ったのか?」
「うん」
「だって、そりゃそうだろ。まさか、紹介料なんかもらうわけにはいかないだろ」
「どうして?」
「どうしてって…。お前、知り合いだし…」
「知り合いからは、紹介料はもらわないの?」
「ああ。ってか、知り合いを紹介したのは初めてなんだよ」
「そうなの?で、どうしてわたしを?」
「おいおい、お前が言い出したんだろ。痩せたいって…」
「あっ、そっかー」
そう言えば、わたしのほうから言ったんだった。
何、問い詰めてんのよ、ばか。
結局、梓は、足の裏のことには触れなかった。
もしかしたら、わたしに気がある?
そんな素振りもなかった。
単に、わたしの裸を見たかっただけの変態野郎?
わたしが恥ずかしいだろうと思って気を遣って黙っている?
それとも、わたしのことが好きで恥ずかしくって切り出せない?
…それはないか。
あってもいいけど…。
次、どうしよう?
また、足、やってもらおうかな?
やだ、わたし、変態。
「ねぇ、今日もおっぱいやったげようか?」
前回と同様のメニューが終わって、レナさんが聞いてきた。
所定の時間は終わっている。
「お金はいいのよ。前と同じ、サービスだから」
「いいんですか?」
「やる?」
わたしはうなずいた。
「じゃぁ、手を伸ばして」
前回と同じだ。
「ねぇ、腕、固定していい?」
(固定?)
「今日は、ちょっともぞもぞすると思うんだけど、我慢して欲しいの」
「はぁ…」
何のことだかわからなかったが、レナさんは、わたしの返事を待たずに、わたしの手首にベルトを巻きつけた。
わたしが、診察台の頭の方にあるパイプを握ると、手首のベルトをパイプについていた短い鎖に引っ掛けた。
「ちょっと待っててね」
これも前回と同様、レナさんは蒸しタオルを持って来た。
(タオルは、おっぱいとセットなの?)
「始めるわよ」
今日は、足の裏は勧めなかった。
レナさんは脇の下の脂肪をぐいぐいとおっぱいのほうに集めていく。
これは、本当に脇のたるみが消えていくのが実感できる。
ここまでは前回と同じ。
(えっ)
不意に生温かく柔らかいものがわたしの乳首を覆った。
(レナさん…)
それはまぎれもない、レナさんの口だし、舌だ。
「美希ちゃん、オナニーってする?」
いきなりの質問。
「えっ」
どう答えていいのかわからない。
「あれってね。いいのよ。下手な運動するより、よっぽどいいわよ。気持ちいいし…違う?」
「は…はい」
腕を固定された意味がやっとわかった。