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真希の妹2-6
6.絶頂
それほど経験があるわけじゃないけど、女性に乳首を舐められるのは初めてだ。
何て言えばいいんだろう。
女性だと思ってるからなんだろうか?
何か違う。
舌の感じなのか唇の感じなのか、それともその両方なのか、男性の口とは何かが違って感じられた。
不意にモーター音が耳に入った。
「ちょっとくすぐったいかもしれないけど、がまんしてね」
振動する物体が脇の下、乳房の付け根あたりに押し付けられた。
おそらく電気マッサージ器だろう。
言われた通り、くすぐったい。
わたしは反射的に身をよじった。
振動する物体は、わたしの乳房の付け根の周辺から、乳房に向って移動した。
くすぐったいのは、脇の下のほんの一部分だけで、他はそうでもない。
「あっ…」
振動部が乳首に当たった。
偶然?
いや、意図的にやっている。
何度か乳首に触れた後、今度はぎゅっと乳首に押し付けられた。
「あああ…」
最初の一瞬は、痛い。
が…
「ああ…ああ、…レナさん、だめ…、レナさん」
くすぐったくはない。
別の刺激だが、続けられると、耐えられない。
また、脇に戻った。
ここは嫌いだ。
くすぐったいし、脂肪が揺さぶられているのがわかる。
脇からわたしのバストをゆっくりと這い上がり、再び乳首に押し付けられた。
「あああ」
乳房の振動で、声も震える。
それが何度か繰り返されて、振動部は、お腹のほうに降りていった。
おへその奥のほうにまでじわーと振動が伝わる。
「いやっ…」
振動部が、仰向けのわたしの足の付け根にそって斜めに股間へと下りていった。
これは、脇よりもくすぐったい。
わたしが腰をねじって逃げると、レナさんはわたしのお腹の上に馬乗りになった。
(動けない)
膝のちょっと上のあたりを上から押さえつけられて、足の付け根をマッサージ器で何往復もされる。
「ああああ。レナさん。くすぐったい。お願い、ねぇ、やめて…、もう、だめ。レナさん、ねぇ、お願い」
「あっ」
振動部が、足の付け根から、股の真ん中に移った。
すごい刺激に襲われる。
「ああ」
わたしは、歯を食いしばって声を殺した。
振動部がゆっくりとわたしの股間を上下し始めた。
身体をゆすって何とが逃れようとするが、レナさんがそうさせてはくれない。
「声出しなさい。がまんしないで、大声出していいのよ」
言われなくても、がまんも限界だった。
「ああああ…」
自分でも驚くほどの声だ。
(気持ちいい)
声を出すと…気持ちいい。
「もっと良くして欲しい?」
レナさんはそう言ったが、答えられる質問ではない。
「もっと良くして欲しい?」
また、聞かれた。
「どう?」
「して…」
「聞こえないわ。もっと大きな声で言って」
「して!」
「わかったわ」
お腹の上に乗っていたレナさんのお尻が、わたしの顔のほうに向ってせりあがってくる。
モーター音がやんで、冷たくて固かった物体が、温かい指に変わった。
(えっ…)
レナさんの舌がわたしの蕾を叩き、指がわたしの中に入ってきた。
(レナさん…)
ここを舐められたことは一度もない。
(気持ちいい)
気持ちよかった。
刺激は、じーんと奥のほうにまで浸透して、子宮の内壁をふるわせる。
「あっ、ああああ」
もう、ためらうことなく声が出た。
子宮がどんどん上へ上へと這い上がってくるみたい。
「ああ…ああああ」
きそうだった。
来る…来る…来る…
「あっ」
来たのは激痛だった。
足の裏に細い棒が押し当てられたのだ。
快感が逆に奥へと引いて行く。
「痛!」
痛いのだが、この前の痛みとはどこかが違う。
この前は、ぴくっと反射的に筋肉が収縮したのだが、今日は動かない。
痛さは同じだけど、からだの反応が鈍い。
神経も鈍くなっているのか、今日の激痛は、前よりもましだ。
痛みの合間を縫って、引いていた快感が奥から這い上がろうとしてくる。
(あああ、だめ…)
痛いはずなのに…
痛さが…
「ああああぁぁぁぁぁ…」
顔に冷たいタオルが置かれて気がついた。
失神していたらしい。
レナさんにそう言われた。
わたしは、裸のままバスルームに向った。
何かを着るということすら面倒なほど、身体が重くけだるい。
“へたな運動より…”
(そうね。へたな運動よりよっぽどいいかも…)
また、梓はいなくなっていた。
真希の妹3-1
第3章 明日香
1.女子店員
「真希ちゃん、ちょっと穂高君といっしょに配達に行ってくれない?」
「はい」
リカーショップ坂下。
わたしは、ここで週に3回バイトしている。
名の通り酒屋さんなのだが、他にお米も売っているし、クリーニングも花屋もやっている。
クリーニング店のカウンターとお花の水遣りがわたしの仕事。
わたしがここでバイトを始めたのは1ヶ月前。
美希がバイトをしてるのでわたしも探してたんだけど、男の仕事ってのは、…どうも…。
だからって、女の仕事にはつけないし…。
ここの求人の張り紙には、ただアルバイト募集(高校生も可)とだけ書いてあって、男とも女とも書いてなかったの。
わたしが、バイトのことを尋ねると…。
「なんなら今からやってみる?」って、言われて。
で、与えられた仕事がクリーニング店のカウンターとお花の水遣り。
「ねっ、簡単でしょ。どうする、やってみる?真希ちゃん」
仕事が終わって、奥さんに声をかけられた。
奥さん、最初からわたしを“真希ちゃん”て…。
そう。
女だと思われたみたい。
ジーンズにTシャツだったし…
サンダルは、美希のだったし…
ただ、尋ねに入っただけで、履歴書なんて書いてないし…
やってみる?って言われて…。
ここは、酒屋だし、クリーニングと花屋だから、まず高校生は来ない。
それに、お隣はホームセンターで、人の出入りは多いけど、高校生はそんなに来ない。
知ってる人に見られる可能性は、かなり低い。
だから…
やってみようかなって…
バイトって言うか、女の子をって言うか。
そう思ったわけ。
ここは制服はなくて、エプロンだけ貸してくれる。
服は自前。
バイト初日、わたしは初めて、スカートで人前に立った。
サイズが合わなくなった美希のスカート。
わたしの部屋は、美希の部屋より収納スペースが広く、美希の古い衣類は、衣装ケースに入れてわたしの部屋の押入れの中にある。
服は、いつでも自由に引っ張り出せるが、さすがに下着はない。
それで、美希の下着をこっそりつけているところを美希に見つかったってわけ。
今は、もうちゃんとショーツも女性のものだし、ブラだってしてる。
「穂高君、真希ちゃんと配達に行って」
奥さんが、お米の袋を車に載せている穂高君に呼びかけた。
杉原穂高。
二十歳くらいだろうか?
わたしよりも先からここで働いている。
彼もバイトだ。
クリーニングで預かった服、お米、お酒の配達が彼の主な仕事。
配達は、ほとんど彼が一人でするのだが、先週くらいからわたしもいっしょに行けと言われるようになった。
別に積み下ろしの手伝いってわけじゃなくて…。
配達と同時に注文を受けることもあるんだけど、彼は花のことも女性の服のことも詳しくない。
それに中には下着もクリーニングに出すお客さんもいて、穂高君じゃちょっと具合が悪い。
わたしは、けっこう花は詳しいし、それに、…女だから…ね。
「次は高島さんだ」
穂高君はハンドルを握って、前を向いたまま、ぼそっとつぶやいた。
高島さんと言うのは、下着もクリーニングに出すお客さんの一人。
これがまた、クリーニングに出すのもうなずけるような豪華って言うか、高そうな下着ばかり。
お酒も、けっこう注文がある。
これを一人で飲んでるんだとしたら、相当の酒豪だが、そんなふうには見えない。
たぶん、飲んでるのは別の人、あるいは、人たちだ。
奥さんは、穂高君じゃ高島さんが気まずいだろうと思ってわたしをつけたんだろうけど、高島さんが話すのはもっぱら、穂高君だ。
ブラもショーツもガーターも平気で穂高君に渡す。
気まずいのはわたしのほうだ。
「あっ、それから、これ、例のローション」
お客さんに頼まれたのか、穂高君が営業してるのか、お店の品物じゃないものも配達する。
「ありがとう。いくら?」
「8,500円です」
こっちは、現金だ。
いいのか悪いのかわからないが、穂高君は、わたしがいても平気だ。
「それから、これ、使ってみてください」
「何?」
「あのとき、痛いって言ってたでしょ」
「ええ。どうするの?塗るの?」
「ええ。とりあえず使ってみて、よさそうだったら…」
「わかったわ。ありがとう」
「あれ、何?」
車の中で、穂高君に聞いてみた。
「あれって?」
「高島さんに使ってみてくださいって…」
「ああ。あれね…」
しばらく間をおいて穂高君が話し出した。
「高島さんね、セックスするとき、痛いんだって…」
(なんか、まずいことを聞いたかも…)
「ローションっていう手もあるんだけど、あれは、濡れさせる薬」
「ふーん」
それ以上、言うことばがない。
「杉原さん、そういうの売ってるの?」
「商売かってこと?」
「うん」
「友達とね、エステっていうか健康サロンっていうか、そういうのをやってるんだ」
「そうなんだ」
初めて聞いた。
「高島さんは、エステのお客さんでね。だからついでに配達したってわけ」
「そうなの?奥さん、知ってるの?」
「知ってるよ。奥さんもローション使ってもらってるし…」
「奥さんも?」
「違うよ。お肌のケア用の普通のローション」
「あ、そう…」
なんか恥ずかしくて話題を変えた。
「エステって…杉原さんがやってるの?」
「俺もやるけど、レナっていう女の子がもっぱらかな。俺は、マッサージのほうが多い」
「マッサージ?」
「ってか、指圧って言うか…」
「そうなんだ…」
「真希ちゃんもやったげようか?」
「わたし?」
「足のツボ。痩せたいとか。特に下半身、痩せたいとか。おっぱいを大きくしたいとか」
「そんなことできるの?」
「できるよ。試してみる?」
「えっ、でも杉原さん、それお仕事なんでしょ」
「そうだけど…。無料体験ってのは、どこだってやってるだろ」
「いいの?」
痩せたいわけじゃない。
わたしが惹かれたのは、そう…おっぱいを大きくするっていう言葉。
「じゃ、後で、電話するよ。時間とか場所とか、そのとき話すから…」
車は店に戻った。
車から降りたとき、ふと視線を感じた。
…明日香
美希の友達の明日香がじっとわたしの方を見ていた。
真希の妹3-2
2.告白
(ばれたかも?)
そう思ったが、明日香は話しかけては来なかった。
それから3日、何事もなかったが、急に明日香からメールが入った。
“ねぇ、真希。相談ってか、話があるんだけど、真希んとこ行っていい?”
“俺に相談?”
俺なんて使ったことのない言葉だけど、なんとなく使ってみた。
“今、近くまで来てるんだけど…”
わたしが、家に帰ってすぐにメールが来たから、もしかしたら近くにいるかもって思ったんだけどその通りだった。
明日香は美希の友達だから、うちにはしょっちゅう来てる。
わたしの部屋に来ることもあったし、美希がいないときはわたしの部屋で美希を待ったりもした。
断る理由がなかった。
「真希の部屋は久しぶり」
「コーヒーは飲めるんだっけ?」
「ミルクがたっぷり入ってるやつなら…」
「わかった」
わたしが缶コーヒーを持っていくと、明日香は、わたしのベッドで寝転んでいた。
「話って?」
明日香は、身体を起こして缶コーヒーを受け取った。
「彼氏とね…別れたんだ」
「そう」
「わたしね。別にエッチはいいの。好きなんだから、それはそれでいいの。でもさ、だれとでもするわけじゃないよ」
何が言いたいのかわからない。
「彼氏が、そう言ったの?」
「ううん。そうさせるの」
「させるって…誰とでもさせるってこと?」
明日香はうなずいた。
「わたし、エッチが好きなわけじゃないんだ」
(何の相談なの?もしかして、愚痴?)
「ねぇ、真希。わたしのような女は軽蔑する?」
「なんで?」
「真希はわたしのこと、どう思ってる?」
「どうって…」
「わたしね、美希とは友達だけど、大の仲良しってわけでもないの」
(何が言いたいの?)
「わたしが、よくここに来るのは、本当は真希に会いたかったの」
(えっ?)
「でもね、なんか…、前はそうでもなかったんだけど、この頃、なんとなく、美希がね、わたしが真希に会うのをいやがってるような気がして…」
(だから…何が言いたいの?)
「真希、女は嫌い?」
明日香がわたしにもたれかかってきた。
「付き合ってなんて言わないから、安心して…」
わたしは、明日香の肩を抱いた。
相談といいながら、一方的にしゃべる明日香。
彼氏と別れたと言う
わたしのことが好きだと言う
自分がわたしに会うのを美希が嫌がると言う
わたしに女が嫌いかと訊く
いったいどこまで知ってるんだろう、わたしのこと、わたしと美希のこと?
「真希、わたしは嫌い?」
“女”が“わたし”に変わった。
「いや」
「嫌いじゃないのね」
「ああ」
「良かった」
「わたしが告白したこと、美希には言わないで」
「ああ」
どうやら、告白だったらしい。
「ねぇ、真希」
「うん?」
「キスして…だめ?」
明日香が肩をわたしに預けてきた。
(あっ)
小さいけど、わたしにも乳房はある。
(ばれちゃう)
わたしが明日香の肩を少し前に押しやると、明日香が向きを変えてわたしのほうを向いた。
(まずい…)
キスをするか、そのまま突き放すか
突き放すのはあまりに気の毒だし…。
わたしは、明日香にキスをした。
明日香の半開きの唇がわたしの舌を誘う。
ほんの少し差し入れたわたしの舌を明日香に吸われた。
明日香の手のひらがわたしの胸に当てられた。
(あっ、いや)
思わず明日香から身体を離して後ろに身体をそらすと、明日香の頭がわたしのお腹の上に乗った。
明日香の手がわたしのジーンズのボタンにかかった。
(違うのよ。明日香…)
違うけど、もう、今さら違うともいえない。
明日香の手でファスナーが下ろされた。
明日香がちらっとわたしを見る。
わたしは両手を後ろについて、身体を後ろにそらして、上を向いて明日香の視線を避けた。
ちっちゃいままのわたしのペニスを明日香が引っ張り出した。
(大きくなって…)
明日香の前では男でいなければいけない。
わたしのペニスが熱い粘膜に覆われる。
(エッチなこと…何か想像しなきゃ)
目を閉じた。
なぜか、穂高の顔が浮かんだ。
穂高に抱かれているわたし。
明日香を見た。
明日香の後頭部が右に左に動く。
わたしの横に座っていた明日香が、わたしの足の間の床にしゃがみこんだ。
見上げる明日香と目があった。
いっきに気持ちが昂ぶっていくのが自分でも分かる。
(わたしも…したい)
舐めたい。
舐めている自分を見てもらいたい。
わたしを見る明日香の目が、自分の目に変わった。
その視線の先は、やっぱり穂高だった。
(穂高なんだ、…わたし)
真希の妹3-3
3.ちっちゃいけど…
「出してもいいよ。飲むから…」
明日香がつぶやく。
明日香の目元が、どこか不安そうだ。
口にされるのもいいけど、犯されたい気分だった。
わたしがされるわけじゃないけど…。
明日香をベッドに上げてスカートをまくってショーツだけを脱がせた。
こんな格好で、犯されたかった。
恥ずかしい格好でされたかった。
明日香を四つんばいにして、わたしは、じっとお尻を眺めた。
(こんな格好でじっと見られたら…)
耐え切れなくなって明日香が、前のめりにベッドにうつぶせになろうとする。
わたしは、それを制した。
「だめ、じっとしてて」
「恥ずかしいよ、真希」
「だれとでもするわけじゃないって言ったよね」
「うん」
「じゃぁ、ぼく以外の男とはしないのか?」
「しないわ」
「でも、ぼくは、他の女とするかもしれないよ」
「いいの。ずっと片思いだったし…。ただ、わたしとしてるときは、わたしのことだけ考えて…」
わたしは、明日香の股間に舌を当てた。
前からお尻の穴まで強く舌を当てて舐め上げる。
「あっ真希、だめ」
明日香が前に寝そべった。
「ごめん。…シャワー浴びてもいい?」
(汚れてるから逃げたの?)
「ううん。後で…」
わたしは、もう一度明日香を四つんばいにさせて、後ろから挿入した。
明日香のそこは、もうじゅうぶんに潤っていて、まったく何の抵抗もない。
(こんなもの?)
セックスは初めてじゃないけど、最初のときはもっと興奮したと思う。
(初めてだったから?)
それもあるんだろうけど…
さっきまでは、明日香を見て、自分も同じ体験ができた。
明日香の恥ずかしさを自分のことのように体験できた。
でも、今は違う。
今、わたしは男で、明日香は女だ。
明日香の悦びはわたしにはわからない。
体験したことがないし、同じ体験は、わたしにはできない。
しぼみそうになる心を必死に支えた。
「あっ、…あああぁぁぁ」
明日香の声とはうらはらに、さっきまで感じていた下半身の張りが薄れていく。
(だめよ。がんばらないと…)
わたしは急いだ。
早すぎてもいい、途中で萎えてしまうよりは…。
昂ぶろうと、いろいろ想像してみるけどだめだ。
わたしが得たい快感は、射精とは結びつかないものらしい。
明日香には悪いけれど、わたしはただひたすら放出することだけを考えた。
“出してもいいよ。飲むから…”
明日香の言葉を思い出した。
(やっぱり、口にしよう)
口になら出せる。
美希にしてもらった。
わたしは、明日香から離れて、明日香の顔にペニスを当てた。
すぐに明日香がそれを咥えてくれた。
萎えかけていたものが、また張りを取り戻す。
ジーンとペニスの付け根が熱くなってきた。
「明日香、出してもいい?」
明日香の首が縦に動く。
わたしは、明日香の口に出した。
放出が終わって、明日香から離れようとすると、明日香がわたしの腰に抱きついて放さない。
明日香の口の中でわたしのものが力を失ってしぼんでいく。
ふにゃふにゃになったそれにさらに明日香の舌がまとわりついた。
なんて言ったらいいのか、くすぐったいわけじゃないけど…なんかそんな感じ。
「うっ、だめ、明日香。だめだってば…」
(やだ、わたし…)
遅かった。
明日香が起き上がってきた。
「真希」
(ああ、だめだ。完全にばれた)
「真希、このあいだ、お花屋さんで会ったよね」
(どうしよう。何て言えば…)
「あれ、真希だよね?」
「なんのこと?」
「やだ、本当のこと言ってよ」
(言えるはずがない)
「このあいだ、着てた服、お花屋さんで真希が…。あれ、美希のでしょ。去年、わたしといっしょに買ったんだよ、あれ。色違いでおそろなの。だから、最初、美希かと思って…」
(そうだったんだ…)
「でも、違ってて…。でも、あれ?って…。真希だと思ったけど。女の子だったし。もう、何がなんだかわかんなくて…」
(ああ、もう無理。絶対無理)
「さっき、さり気におっぱい触ったの、気づいた?なんで真希おっぱいあるの?」
「わかんないけど…」
もう隠しようがない。
「触っていい?」
明日香の手がわたしの胸に伸びた。
「柔らかい。おっぱいよね、これ。まじ、おっぱよね。見ていい?」
明日香がおっぱいを触ってきた。
手と同時に明日香の顔が寄る。
乳首を舐められた。
むずっとした舌先の感触。
(あっ…)
どこという場所じゃないけど、ときにずきんと強い刺激を感じる。
「ちっちゃいけどちゃんとおっぱいよね」
(ばか明日香。ちっちゃいは余計だ)
「真希って、本当に女の子なんだね」
「あっ…」
明日香に、這い上がるように密着されて、思わず、わたしは後ろに倒れた。
明日香が、倒れたわたしの上に乗って、じっとわたしを見つめる。
「真希、女の子は嫌い?」
明日香のこんな真剣な表情は初めて見る。
「そんなことないよ」
嘘じゃない。
「よかった」
明日香の顔がほころんだ。
わたしのおっぱいは本当にちっちゃくて、仰向けになるとなくなってしまう。
明日香が、わたしのおっぱいの周りの肉をかき集めるようにする。
(もっと大きくなるかな?…わたいのおっぱい)
なぜか、また穂高の顔が思い浮かんだ。
真希の妹3-4
4.体験
「ねぇ、聞いていい?」
明日香がわたしの胸の上に顔を載せた。
「何?」
「なんて言うんだっけ、こういうの?心は女なのに体が男っての…」
「性同一性障害」
「それって、なんか苦しかったりするの?」
「別に…」
「ふーん」
「どうしておっぱいがあるの?」
「さぁ」
「足ツボ?」
「えっ?」
明日香の意外な指摘に驚いた。
「先週?ん、もうちょっと前だったかな?…うちにね、エステのチラシが入ってたの。なんか手作りのちゃちなチラシだったんだけど…、そこにね、足ツボの無料出張体験ってのがあって…。なんかいかがわしい感じだけど…。ほら、無料体験って書いてあって、行くと、契約するまで帰れないってのあるじゃない。でもさ、無料出張体験って、家に来てくれるわけよ。それだったら、安心だって、お母さんが申し込んだの。お母さん、胃腸弱いし…」
明日香のお母さんは、夜の仕事だ。
胃腸が弱いなら大変だろう。
「でね、来たのが、若い人で、けっこう格好いいの。お母さん、はまっちゃって、さっそく申し込んだってわけ。真希、知ってるんでしょ?」
「何を?」
「知らないの?」
「だから何のこと?」
「真希がいた花屋さんに男の人いるでしょ。あの人だよ、たぶん。このあいだ、たまたま、見かけて、“あっ、あの人だ”って思って見てたら、今度は真希にそっくりな女の人がいて、もう、びっくり」
(なんだ、穂高を見てたのか)
「その彼が、家に来たとき、わたしもちょっとやってもらったの。でね。その人が言うには、おっぱいも大きくなるし、痩せられるって…」
「それで、わたしが彼にやってもらってるって?」
「ごめん。でもね、お母さんの話だとホントにバストアップするんだって…。わたしもやってもらおうかなって思ってたとこなの。ねぇ、よかったら、いっしょに行く?」
「ううん」
わたしは思わず首を振った。
行くなら一人でいく。
明日香が帰って、わたしは、穂高にメールを入れた。
「ここだよ」
ごくごく普通のマンション。
穂高に連れられて、着いてきたが、いかがわしいといえば、確かにいかがわしい。
「まだ、ひよこだからね、俺達は…」
穂高が言い訳のようにつぶやいてドアを開けた。
「さぁ、どうぞ」
外観どおり、中も普通のマンションだ。
「お客さん、いるみたいだ」
穂高の一言で、なぜか急に緊張した。
玄関に靴があった。
上がると、すぐにリビング。
たぶん、ここは待合室なのだろう。
ただ、誰もいない。
奥に部屋が二つあった。
お客は、もう、どちらかの部屋に入っているのだろう。
「さぁ、こっち」
穂高の後を追って、すぐに部屋に入った。
誰とも顔を合わしたくはない。
ベンチのような診察台とその横にリクライニングチェアが置かれている。
「座って…」
わたしは、リクライニングチェアに座った。
「始めるよ。まずは、健康チェックね」
(痛い)
わたしは肘掛を脇に抱えるようにしてがまんした。
隣の部屋で物音がしている。
誰かがいるのは間違いない。
声を聞かれるのは嫌だ。
「ここ痛い?」
わたしはうなずいた。
「ちょっと胃腸が弱ってるかな?でも、それくらいだね、ちょっと休憩な。コーヒーは飲める?」
「うん」
「じゃぁ、ちょっと待ってね」
「ねぇ、杉原さん」
コーヒーを入れてきた穂高に話しかけた。
「あのさ、杉原さんってのやめてよ。みんなに穂高って呼ばれてるから、杉原さんって呼ばれるとなんかしっくりこないんだ」
「じゃぁ、穂高…さん」
「“さん”も余計だけど…、まぁ、いいや。で、何?」
「あの、折原さんっていう人、来てる?」
「折原?」
「三十代、後半かな?きれいな人」
「折原…、ああ、碧(みどり)さん?来てるけど…知ってる人?」
「ええ、まぁ…」
「彼女から、なんか聞いたの?」
「ううん。そういうわけじゃぁ…」
「あっ、そう言えば、明後日、彼女の娘さんが来るって…。もしかしたら、そっちの知り合い?」
「あっ。えっ…、そうなんだけど、お願いがあるの。彼女、明日香って言うんだけど、もし、彼女が来てもわたしのことは言わないで…お願い」
「ああ、いいよ」
すんなりOKされて、急に恥ずかしくなった。
“おっぱいを大きくしたい”
穂高にそう伝えたのだ。
きっとそれを知られるのが恥ずかしいんだと思われたに違いない。
まぁ、実際、その通りなんだけど…
「そし、じゃぁ、ここからが本番ね」
穂高にかかとを持たれた。
「うっ…」
さっきとは比較にならない痛さ。
思わず、身体をねじって痛みをこらえた。
スカートがまくれたが、それどころではない。
「おかしいな。痛い場所じゃないんだけどな」
そんなこと言ったって…痛くて声にならない。
「ごめん、もうちょっとがまんして…」
そんなぁ…
終わっても、動けない。
ドアがノックされたようだが、目も開けられなかった。
何か話し声がしたが、それを聞くゆとりもない。
「ちょっと、交替するから…」
そう言って、穂高が出て行き、替わって女性が入ってきた。
「レナです」
彼女が蒸しタオルで顔を拭いてくれた。
「おっぱいのマッサージするけど、上脱いでくれる」
しごく当たり前のように言われた。
(え?)
「後ろ向いてるから、上半身、裸になって、これを胸の上に置いて…」
レナさんは、そう言って後ろを向いた。
問答無用だ。
言われた通りにするしかなかった。