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樹奈の憂鬱1-6
人妻☆じゅなの秘密日記
6.浮気?
「いっしょにいい?」
樹奈がシャワーを浴びているところに瑞樹が入ってきた。
「樹奈ちゃんの肌、つるつる。うらやましいわ」
瑞樹が樹奈の腕を撫でる。
「瑞樹さん・・・それ」
瑞樹の脇に縄の痕が赤く残っていた。
「昨日の・・・かな」
「いつも縛るの?」
「まさか・・・昨日は突然、そういう気分だったんじゃない?」
「ふーん」
最初、樹奈は竹内とホテルで会っていた。
セクシーな下着をつけさせられたりはしたが、セックス自体は、いたってノーマルだった。
それが、妻の瑞樹を相手にした竹内は、別人に変わった。
樹奈の前で、瑞樹は縛られ、首をされ、床を四つんばいで這わされた。
四つんばいで竹内に後ろから突かれながら、椅子に座った樹奈の股間を舐めたこともある。
逆さに吊られて、竹内のものを口に含まされたことも、樹奈にお尻を向けて、バケツの中におしっこをしたこともある。
いつかは自分もと樹奈は覚悟をしたが、竹内はなぜが、樹奈は縛らなかった。
縛られたいわけではなかったし、瑞樹から竹内を奪おうと思ったわけでもないが、樹奈は、瑞樹と3人でプレイするたびに瑞樹と自分との距離を感じずにはいられない。
瑞樹のために自分は呼ばれている、そう感じた。
瑞樹との距離は永遠に縮まらない。
瑞樹は、避妊の手術をしている。
子供を欲しがらない竹内の望みに応じたのだ。
3人でするときは、竹内は必ず、瑞樹の中に出した。
最後に絶頂を迎えるのは、いつも瑞樹で、樹奈は毎回、ただ、それを見ているだけだった。
竹内の家で3人でプレイするようになって、3ヶ月目、樹奈は竹内と別れ、邦彦と結婚した
「わたし、そろそろ帰ろうかな」
樹奈が時計を見た。
「あら、もう帰るの。もうすぐ竹内も帰ってくるわよ」
「でも・・・・」
「ご主人、遅いんでしょ」
邦彦は、このところ、ずっと残業で帰りは10時を過ぎている。
今日も遅くなると言って出て行った。
「ええ。ここんとこずっと・・・・10時前に帰ってきたことはないわ」
「毎日、残業?」
「ええ」
そう思っていた樹奈だが、瑞樹の“ご主人、浮気でもしてるの?”という言葉がよみがえってきた。
(浮気・・・・・・なのか?)
浮気をカモフラージュするために残業をしている、何かの雑誌でそんな記事を読んだことがある。
ベッドの横のテーブルに置いた樹奈の携帯が鳴った。
邦彦からのメールだ。
「メール?」
瑞樹は、樹奈が携帯を見る邪魔にならないように少し樹奈から離れた。
「ええ。主人から・・・・。飲んで帰るから遅くなるって・・・・」
「そう。じゃぁ、もう少し、ゆっくりしていけば・・・」
「えっ・・・・ええ」
邦彦の帰宅は、このところ毎日10時を過ぎているが、メールをしてきたことはない。
今朝も遅くなるから、食事はいらないと言って出かけたのだ。
(どうして・・・・メールなんか?・・・・・)
浮気なのかもしれない。
漠然とした思いが樹奈の中で一つの形になろうとしていた。
樹奈の憂鬱1-7
人妻☆じゅなの秘密日記
7.だいじょうぶ・・・中に・・・
「どうしたの、考え事?」
瑞樹が樹奈の背中から手を回してくる。
「ううん。なんでもない」
樹奈は、瑞樹の手を自分の乳房の上に置いた。
瑞樹の指が樹奈の乳首を探り当てる。
(・・・わたしだけ、ほったらかされるなんて・・・冗談じゃないわ・・・)
樹奈の思いを察したのか瑞樹は、うつ伏せになった樹奈の背中に舌を這わせる。
バタンっと居間の扉が開く音がした。
「主人だわ」
夫の竹内が帰ってきたようだ。
「このままここでじっとしてて・・・」
瑞樹は、うつ伏せの樹奈を隠すようにすっぽりとシーツで覆った。
「おかえりなさい」
全裸で寝室から出てきた瑞樹は、エプロンだけをつけてキッチンに向かった。
「お客さんが来てるわ」
瑞樹は、竹内に目で寝室に行くように合図した。
「・・・すぐ夕飯、用意するから・・・・」
二人の会話は、樹奈の耳にも入った。
(来る。竹内さんがここに・・・・・)
足音が近づいてきて、ベッドの横で止まった。
竹内は、樹奈を覆ったシーツを足のほうから、少しずつ剥がしていく。
樹奈の足が現れた。
竹内は、樹奈の足を少し広げると、その間に入っていく。
竹内の手が、太ももを這い上がって・・・・お尻の上で止まった。
左右のお尻の肉を竹内が軽くつかんで左右に広げる。
お尻の穴が顔を出す。
樹奈は、それでもじっとしていた。
(わたしだと、わかってるのかしら?)
一瞬、そんなことを考えたが、それもどうでもよかった。
瑞樹との行為で、眠っていたものが目を覚ました。
このまま、竹内に入れて欲しかった。
後ろから、深く・・・中まで・・・。
竹内が、ベッドを降りた。
服を脱ぐ音がする。
(来て・・・・早く・・・・)
竹内は、今度は樹奈の頭の方に回り、シーツを少しだけあげて、樹奈の頭の横に座った。
竹内は、わざと、樹奈の顔を見ない。
樹奈はシーツをかぶったまま、もそもそと這って、竹内のものに口に含む。
少しお尻を上げて這ったため、シーツが腰のあたりまでまくれ、お尻が完全に外に出た。
竹内は、シーツ越しに樹奈の頭を撫でながら、樹奈の形のいいお尻に目をやった。
そのお尻が誰のものかは、とっくにわかっている。
だから、顔を見ない。
顔を会わすのは後がいい。
竹内が、樹奈の後ろに回って樹奈のお尻を高く上げる。
さらにシーツは、背中の半分までまくれあがる。
竹内が入ってきた。
「あん・・・・・」
樹奈は、自分の出した声に驚いて、枕に顔を押し付けて、声を殺す。
竹内のリズムだ。
早くはない。
ゆっくり伸びてきて、当たって止まる、そこから、くいっともう一回伸びる。
「ああ・・・・ああ・・・・・」
瑞樹とでも、十分に感じたのだが、子宮の奥の奥での快感は望むすべもない。
2ヶ月ぶりの感覚に樹奈は、われを忘れて、竹内の動きに腰を合わせた。
「ああ・・ああ・・・・・・」
樹奈はすぐに達したが、竹内は、四つんばいの姿勢でいられず、前に突っ伏した樹奈のお尻にまたがり、今度は小刻みに突いてくる。
2回目が来た。
「ああああ・・あ・ああ・・・・・」
竹内は、樹奈を横向きにして、片足を高く持ち上げ、さらに奥へと入ってきた。
「ああ・あああ・・・・」
3回目なのか4回目なのか・・・
竹内の動きが早くなる。
「出して・・・出して・・・中に・・だいじょうぶ・・・中に・・・・」
竹内が中に出した。
樹奈は、最初から、こうなることを期待して、大丈夫な日を選んでいた。
竹内のものが脈打っているのがわかる。
瑞樹にできて、樹奈にできなかったこと。
樹奈にはしてもらえなかったこと。
樹奈は、竹内が離れないように、竹内に抱きついた。
竹内は、樹奈の中に入ったまま、ようやく、樹奈のシーツを全部はぐった。
「樹奈、久しぶり・・・」
「お邪魔してます」
ずいぶん遅れた挨拶に樹奈が笑った。
「お風呂はいる?」
瑞樹の声が聞こえた。
「ちょっと風呂に入ってくる」
竹内は、裸のまま出て行った。
遠かった竹内との距離。
その距離が、いっぺんに縮まったように樹奈は感じていた。
樹奈の憂鬱1-8
人妻☆じゅなの秘密日記
8.邦彦
「そろそろ、帰ろうか?」
「はい」
美香は、立ち上がると同時によろけて邦彦にしがみついた。
「おい、だいじょうぶか?」
「すいません。だいじょうぶです」
とてもそうは見えない。
美香は、自分で酔っているのは知っていたが、止められなかった。
邦彦は、思っていた以上に優しくてストイックでかっこよかった。
自分に気を遣って、話が途切れないように、邦彦がいろいろ話を振ってくれるのだが、途中から自分で何をしゃべったのか覚えていない。
「タクシーで送るから・・・」
邦彦にそう言われたのは覚えているが、美香の記憶はここまでだ。
(おいおい・・・・)
美香は、駅名を言っただけで眠ってしまった。
邦彦は、タクシーの中からホテルを予約した。
「運転手さん、悪いけど、エクセルホテルに行ってくれる?」
シングルは満室。
しかたなくツインにして、ほとんど眠っている美香をなんとか部屋まで連れて行った。
(どうしたものか・・・・)
このまま帰るか、自分もここに泊まるか。
樹奈には、会社を出るときに、飲んで帰るので遅くなるとメールはしてあるが・・・・。
邦彦は、ふとホテルの部屋から、家に電話を入れてみた。
7回、8回・・・10回、留守電に切り替わった。
(・・・・・樹奈がいない・・・・)
10時30分。
30分ほどしてもう一度入れたが、やはりいない。
邦彦は、携帯から樹奈に、遅くなったので、ホテルに泊まるとメールを入れた。
“わかりました”
返信は、すぐに来た。
樹奈が家に帰ったのは10時半を過ぎていた。
真っ暗な部屋。
邦彦が、まだ帰っていないことにほっとした。
久々のセックス、その余韻が体中に残っている。
樹奈は、服を脱いで裸になった。
竹内のところで食事をごちそうになったが、そのときもずっと裸だった。
裸のまま食卓についた瑞樹に樹奈もあわせたのだ。
裸で食事をし、裸でお茶を飲んだ。
樹奈は、裸で居間のソファに寝転がった。
自然と手が股間に伸びる。
足を立てた。
もう一方の足は、大きく開いてテーブルの上に・・・。
強くクリを指で挟む。
乳首も痛いほど強くつまむ。
(・・・ああ・・強く・・・強く・・・もっと・・・・欲しい・・・)
満たされれば、さらにもっと満たされたいと願う。
樹奈は、起き上がり、バスルームに向かった。
思い出していた。
瑞樹が、バスルームで立ったままおしっこさせられる姿を・・・。
「樹奈に恥ずかしいところを見てもらえ」
竹内はそう言って、瑞樹におしっこをさせた。
樹奈の見ている前で・・・・。
樹奈は、バスルームに立った。
瑞樹がしたように、バスタブに手をつき、足を開いてお尻を突き出す。
(見て・・・わたしも見て・・・・)
シャーっと勢いよくおしっこが流れ出す。
体中の血液が顔に逆流してきたようだ。
顔が熱い。
まだ、おしっこの途中だったが、樹奈はがまんできずに、指で強くクリをこすった。
しぶきが手にも太ももにもはねる。
電話の音でわれに返ったが、電話には出られない。
樹奈は、シャワーを浴びてバスルームから出た。
携帯に邦彦からのメールが入っていた。
“明日、朝が早いので、今日は、泊まる”
(女といっしょ・・・・かも・・・?)
ふと、電話してみようかと思ったが、邦彦の浮気をとがめられる樹奈でもない。
(あなたが悪いのよ・・・・)
樹奈はドレッサーの引き出しからバイブを取り出し、裸のままベッドに入った。
「おい、服、着たまま寝たら、しわになるぞ」
邦彦は、そう言ってから、ベッドに横になっている美香の服を脱がし始めた。
起きているのか寝ているのかわからないが、勘違いされては面倒だ。
「服を脱いで寝ろ」
邦彦は、もう一度、美香の耳元で言った。
「はあぁ・・・い」
返事はするが、美香の目は開いていない。
たぶん、寝ているのだろう。
きっと覚えてはいないに違いない。
邦彦は、少し胸が騒いだ。
服を脱がすのは、久しぶりだ。
(スカートは?)
(しわになっても具合が悪い)
自分で自分に説明する。
スカートも脱がした。
美香は胸の豊かさに比べて、ウエストもお尻も小ぶりだった。
邦彦は、豊満な樹奈の体を思い浮かべた。
その樹奈が、他の男に抱かれているのかもしれない。
胸が苦しい。
眠れそうにもなかった。
朝、6時15分。
なかなか寝付けなかったにもかかわらず、朝、早く邦彦は、目が覚め、シャワーを浴びた。
樹奈のことが気になって仕方がない。
(電話をしようか?)
(もし、いなかったら?)
(いや、いたらなんて言う?)
言葉が見つからない。
バスルームを出ると、美香はまだ眠っている。
(そろそろ起こしたほうがいいか?)
そうは思ったが、下手に起こして、驚かしても面倒だ。
邦彦は、窓辺に行き、とりあえず、カーテンを開けた。
レースのカーテン越しに朝の光が差し込んできた。
かすかにカーテンを開けるような音がしたような・・・。
(まぶしい・・・)
美香は、朝が苦手だ。
それでも、ぼんやりした意識が、だんだんはっきりし始める。
一人暮らしの美香の部屋のカーテンが勝手に開いたりはしない。
(誰?・・・・誰かいる)
ようやく美香は目を開けた。
「主任?」
「ああ、おはよう」
「ここは?」
「ホテルだ。お前、タクシーに乗るなりいきなり眠ったもんだから、家はわからないし・・・で、ここで泊まりだ」
「寝ちゃったんですか?わたし・・・」
「ああ、重かったぞ」
美香は、なんともいえない表情で邦彦を見ている。
「悪いが、しわになるといけないんで、服は脱がせた。ごめんな」
「主任、わざわざいっしょに泊まってくれたんですか?」
「ああ。けっこう呑んでたから・・・・まぁ、なんだ、ちょっと心配だったし・・・」
「すいません」
美香は、起き上がって下着姿のまま邦彦に頭を下げた。
「いいから・・・気にしなくても・・・。ちょっと、コーヒーでも飲んでくるから、着替えてくれるか?」
「は・・・・はい。すいません」
酔ってはいたが、脱がされた記憶はあった。
(優しいんだ・・・・邦彦)
美香は、心の中で邦彦の名前を呼んだ。
樹奈の憂鬱2-1
人妻☆じゅなの秘密日記
第2章
1.信じてる?
「あなた、食事は?」
邦彦の帰りは、今日も10時を過ぎていた。
「いい。帰りに食べてきた」
「そう」
樹奈は料理は得意ではないが、それでもがんばってきたつもりだった。
ここ2ヶ月、邦彦が樹奈の料理を食べるのは、ほとんど休日の夜だけになっていた。
「風呂に入るよ」
会話もない。
風呂から出ると、邦彦は、自分の机でパソコンに向かう。
そして、樹奈が先に寝る。
昨日までは、そうした邦彦の態度にイラついていた樹奈だが、今日は違った。
無造作にテーブルに置かれた邦彦の携帯。
(どうしよう?・・・・・)
邦彦の風呂は長い。
樹奈は、携帯を手に取った。
着信履歴・・・メール・・・何もない。
樹奈は、邦彦のスーツを探った。
内ポケットから、ホテルの領収書が出てきた。
樹奈も知っているホテルだ。
(だよね。ラブホの領収書なんて・・・あるわけない)
(1万6000円?・・・高すぎない?・・・・シングルじゃないんだ、きっと・・・)
邦彦の浮気を疑っていた樹奈だが、それはある意味、自分の行為を正当化するために作り上げた嘘であり、樹奈自身、心のどこかではありえないと思っていた。
(まさか・・・本当に・・・?)
心臓が慌しく鼓動を急ぎ始める。
邦彦は、どう切り出そうかと考えていた。
浮気の確証はない。
浮気してるだろうと訊いて、はいと答えるやつはいない。
ここのところ、家に帰ると毎日そればかり考えている。
考えて考えて、結局言い出せない。
もういいかげんうんざりだった。
(そろそろ、けりをつけないと・・・・)
邦彦は、お風呂からあがると、居間でテレビを見ている樹奈の横に座った。
珍しく邦彦が横に座ったが、何も言わない。
邦彦は素人が出演する番組が好きではない。
テレビは、わけありの夫に不満な妻が、別の夫婦とパートナーをチェンジするという番組だ。
邦彦が見るような番組ではない。
かまわれないのもいやだが、こんなふうにただ横に座られるのも息が詰まる。
「チャンネル変えようか?」
樹奈がリモコンを手に取った。
「いや、いい。見てる」
「これって、同じ部屋で寝るのよね。どきどきしないかしら・・・」
樹奈は話しかけてみた。
「どきどきもなにも・・・・、テレビが入ってるんだろ。何もできないだろ」
「でも、夜中はテレビ入ってないし・・・しちゃった人っていないのかしら?」
「お前なら・・・するか?」
「かっこいい人なら・・・わかんないわね」
樹奈は、冗談のつもりだった。
「俺はしない」
邦彦は、きつい調子できっぱりと言った。
「何よ?突然・・・・しないわよ。わたしだって・・・そんなマジに受けないでよ」
「俺は、浮気はしない」
(何なのこの人?・・・・どういうつもり?)
「わたしは浮気をするって言いたいの?」
「お前、昨日の夜、どこにいた?」
「どこって?・・・ここよ。うちにいたわ」
「家の電話に電話したんだが、出なかった」
樹奈は、バスルームにいて出られなかった電話のことを思い出した。
「お風呂に入ってたわ。11時頃でしょ。電話が鳴ったけど、出られなかった」
(わたしを疑ってるの?・・・・自分だって・・・・)
「でも、どうして家の電話に・・・・。携帯にかければいいじゃない」
「バッテリーが少なくて、充電できないから、ホテルの電話でかけた」
邦彦が想定していた問答だ。
「それまでどこにいた?」
「何よ、まるでわたしが浮気してるみたいな言い方。家にいたわよ。ずっと・・・」
邦彦は、電話を2本入れたことは言わない。
ほとんどシャワーですます樹奈が30分もお風呂に入っているはずがないが、入っていたと言い張られたらそれまでだ。
「ねぇ、あなた、さっきね、スーツをクリーニングに出そうと思って、ポケット見たの。そしたら、ホテルの領収書があったわ」
「昨日、泊まったから・・・・」
「1万6000円って、シングルにしては高すぎない?」
「ツインしか空いてなかった」
「だって、11時頃でしょ。ツインでもシングルの料金で泊まれるんじゃないの?」
「連れがいたんだよ。そいつが酔っ払って帰れなくなったんだ」
「女性じゃないの?」
邦彦は、むっとした。
(自分のことは棚に上げて、俺の浮気を疑うのか)
「男だよ。俺は浮気はしないって言っただろ」
何もしなかったのだから、相手が男だろうと女だろうと関係ない。
誤解されないように男だといっただけで、嘘をついているというやましさは邦彦にはない。
「たとえ、女だったとしても、俺は何もしない。浮気はしない」
「ほんとにしない?」
「ああ、本当だ」
むきになって言い張る邦彦に樹奈はだんだん腹が立ってきた。
(浮気しなけりゃ、妻をほったらかしといていいの?自分だけいい子のつもり?)
「絶対にしないのね」
「くどいなぁ。しないって言ってるだろ」
「さっきの番組みたいに、一晩、よその奥さんといっしょに寝ても、それでも何にもしないのね?」
「何?」
突拍子もないことを言い出した。
「何もしないって言ったわ」
「ああ」
「じゃぁ、やってみる?・・・・いい?」
「お前は、どうするんだ?」
「わたしだって浮気しないって言ったわ、さっき・・・。信じられないの?」
「お前こそ、俺を信じてないだろ」
「そんなことないわ。信じてるから、できるのよ。何にもしないんでしょ?」
邦彦は言い返す言葉がなくなった。
樹奈の憂鬱2-2
人妻☆じゅなの秘密日記
2.相談
次の日の朝、樹奈は起きなかった。
起きないことは、今までにもあったし、邦彦はそれをとがめたこともない。
朝食もとらず、会社に行った。
邦彦は、勢いで、ああいう話になっただけで、まさか、樹奈が本気だとは思っていなかった。
ところが、樹奈は、話を決めてきたのだ。
「昨日の話だけど・・・知り合いの奥さんに話したの」
次の日の夜、樹奈がそう切り出した。
「竹内さんって言うんだけど・・・・」
(竹内?・・・こいつ・・・・)
「そしたら、やってもいいって・・・・」
「やってもいい?・・・・何を?」
邦彦は、わざととぼけた。
「入れ替わるのよ。昨日、そう言ったでしょ」
「言ったのはお前で、俺はやるとは言ってない」
「同じ部屋で寝ても何もしないって断言したじゃない」
「言ったけど・・・」
「けど、何?」
(お前の浮気相手だろう!)
邦彦は、問い詰めるチャンスだと思った。
「いや・・・。で、その人とはどういう知り合いなんだ?」
「前の会社の先輩」
竹内の妻が、樹奈と同じ会社にいたかどうかは聞いていない。
「旦那は?」
「前の会社の上司。職場結婚なの、そこは・・・。結婚式にも呼ばれたわ」
「で、どんなふうに話したんだ?」
「どんなって?普通よ。ホテルかどっかで、一晩入れ替わりましょって」
「そんなことを言ったのか?」
「先に言ったのは、向こうなの。入れ替わってみないって言われてたの。いやよって断ってたんだけど、昨日の話しで、・・・OKしちゃったの」
「やるって言ったのか?」
「ええ、言ったわ。どうしたの?できないの?昨日、言ったのは、あれ嘘?魅力的な奥さんよ。あんた絶対、その気になるわ」
「ならないって言ってるだろ」
「そう。じゃぁ、何も問題ないじゃない」
邦彦は、樹奈が他の男に抱かれるのは耐えられないのだが、こういう状況でそれを口にするのは愉快ではない。
(こいつ、俺ができないと思ってるな)
「ああ、わかった。いいぞ、やっても・・・」
「そう。じゃぁ、話し進めるわよ。後でやっぱりできないとかって泣き言、言わないでよ」
樹奈は、ひとり先に寝室に入った。
「ふーっ」
(まいったな・・・・)
問い詰めるつもりで乗った会話だったのだが、結局うまく乗せられてしまった。
(どうすんだよ・・・全く・・・・)
邦彦は、寝室に向かう気にもならない。
携帯を握って、外に出た。
「あら、出かけるの?」
亜希がお風呂から上がると、俊哉がジャケットをはおって出かけようとしていた。
「ああ」
「美菜子さんとこ?」
「いや、大学の後輩。なんか、近くに来たんで会えないかって・・・」
「そう・・・」
邦彦とは、最近会っていない。
電話の声は心なしかうわずっていた。
(なんかやらかしたか?)
「俊哉さん、すいません。こんな時間に呼び出して」
座ったばかりの俊哉に邦彦が、落ち着きなく話し出した。
「ああ。・・・なんだ?」
「いえ・・・まぁ、あの・・・ちょっと相談なんですけど・・・・?」
「相談?・・・で、何?」
「あのぉ・・・。スワッピングって経験ありますか?」
「なんだ?急に・・・・」
「いや、ちょっと・・・・」
邦彦は、なにやらことばを探しあぐねているようで、続きが出てこない。
「スワッピングか?・・・それに近いことなら・・・ないわけじゃないが・・・・」
俊哉は、美菜子のことを思い浮かべた。
美菜子を他の男に抱かせたことはある。
ただ、スワッピングとは違う。
美菜子は、いつも自分の身を削るようなぎりぎりのセックスをする。
俊哉はそうしたぎりぎりの美菜子が見たかっただけだ。
それに美菜子の前で俊哉は他の女を抱かない。
それは、美菜子がいやがる。
美菜子の前で抱いていいのは、亜希だけだ。
亜希も美菜子のことは何も言わない。
「で、それがどうかしたのか?」
「えっ・・・ええ、・・・・するかもしれないんです」
「・・・かもしれないって・・・?お前がか?」
邦彦は、学生時代、スポーツ関係のマスコミを目指していた男で、同じ大学ということもあって、アマのボクサーからプロに転向した俊哉の試合には必ず来ていた。
とにかく、おそろしくまじめな男だった。
とてもスワッピングなどを好むようには思えない。
今も本人はそれを楽しんでいるようには見えない。
「どういうことだ?詳しく話せ」
邦彦は、俊哉に全てを打ち明けた。