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被虐(1)
被虐(1)
(ここが家?)
ビジネス街の真ん中にポツンと建ったマンション。
外観は、マンションというより、ビジネスホテルのようだった。
千夏は、黙ったまま建物の中に入っていく薫の背中を眺めた。
逃げようと思えば逃げられた。
簡単なことだ。
外に向って走ればいいのだ。
薫は振り向こうともしない。
千夏は、ほんの一瞬立ち止まっただけで、すぐに薫の後ろについて歩いた。
9階建てのマンションの最上階。
通路を挟んで両側に扉がある。
ホテルと同じだが、扉と扉の間隔が長かった。
通路の一番奥まで歩いた。
なんの変哲もない、ごく普通の部屋。
入ってすぐ右に洗面所とトイレとバスルーム。
左側には小さな部屋。
まっすぐ通路を通ってリビングとキッチン、その奥に部屋が二つ。
千夏が去年まで住んでいたマンションと変わらない。
去年の夏、千夏の両親は離婚した。
父親の会社が思わしくなく、病弱な母親の気苦労を見かねてのことだ。
母親は実家に帰り、千夏はアパートを借りた。
その後、父親とは会っていない。
「脱げ」
居間に入るとすぐに服を脱がされた。
「座れ」
千夏は裸のままダイニングのイスに座った。
「首輪だ」
薫は千夏の首に皮の首輪を巻いて止め金具に鍵をつけた。
「腕もだ」
手首にも足首にも革のベルトが巻かれ、それぞれ外せないように鍵がつけられた。
「鍵は、ここに置いておく。いやなら外してもかまわん」
薫は、居間のサイドボードの引き出しに鍵をしまった。
「コーヒーでも飲むか?」
千夏は黙ってうなずいた。
薫がコーヒーを入れる間、千夏はじっと椅子に座ってただ、キッチンの薫を見ていた。
時おり、薫と視線があったが、薫はないも言わない。
コーヒーの香りが漂ってきた。
「ミルクはいるか?」
キッチンから薫が訊く。
千夏は薫に向って首を振った。
薫は、千夏の座っているダイニングテーブルではなく、その横に置かれた低い小さなテーブルにコーヒーを置いた。
「こっちに来い」
薫に呼ばれて、千夏はようやく動いた。
絨毯の上に無造作にクッションがいくつか置かれている。
千夏は、テーブルを挟んで薫の前にすわった。
「膝を立てて足を開け」
千夏は、言われたとおり、膝を立てて、足を開いた。
恥ずかしくないわけではない。
ただ、命令されることに慣れてしまっていた。
「コーヒー、飲んでいい?」
「ああ」
千夏は、入れたてのコーヒーをすすった。
「千夏は、料理はできるか?」
料理は苦手というか、作ったことがほとんどない。
千夏は首を振った。
「そうか…」
それっきり薫が黙ってしまった。
沈黙が続いた。
千夏が首を振ったことを後悔し始めたとき、薫が口を開いた。
「セックスはできるか?」
うなずくしかなかった。
「おいで」
千夏は薫の横に座った。
「舐めろ」
仰向けに寝そべった薫のズボンのベルトを外し、ファスナーを下ろす。
「脱がせろ」
薫がお尻をあげた。
千夏は、ズボンとトランクスを膝まで下ろす。
薫が今度は足を浮かせる。
千夏は、ズボンとトランクスを足から抜いた。
「靴下もだ」
言われるままに靴下を脱がせた。
「足からだ」
千夏は、薫の足の指を口に入れた。
指の間に舌を入れる。
薫がその足の指を千夏の股間に当てた。
「それを、あそこにこすりつけろ」
千夏は、薫の足の親指に自分の花芯を当てた。
足の指の爪が当たらないように指をそらして、ぽってりした親指の腹にこすりつける。
千夏が腰を上下させるたびに、少し前かがみになった千夏の乳房が揺れた。
薫のペニスがじわじわと大きくなっていくのが見えた。
被虐(2)
被虐(2)
千夏は、足から順に上へと舐めあがっていった。
太ももを舐めながら、手でぎゅっと薫のペニスを握り締める。
もうがちがちに固まっている。
足の付け根からペニスの根元へ、そして裏を這って先端をすっぽりと口に入れた。
口をすぼめ吸い上げる。
舌に力を入れて、押し下げる。
薫が膝を立てて太ももで千夏の頭を挟みつけた。
喉に来る。
千夏は大きく息を吸って身構えた。
薫の手が千夏の後頭部を押さえた。
強い力で引き寄せられる。
千夏は、体の力を抜いた。
息を止め、力を入れるとよけいにむせる。
鼻がつぶれるほど引き寄せられて、両足で挟まれた。
苦しいが、まだ耐えられる。
薫の力が緩む。
「ぷはーっ」
その瞬間に息を吐き、また吸い込む。
すぐにまた引き寄せられる。
薫は向きを変えて、千夏を下にした。
薫は、仰向けの千夏とは逆向きになって、千夏の顔の上に乗った。
玄関で物音がした。
「あら、連れて来たの?」
女の声だ。
薫に顔の上に乗られて、千夏には女の顔は見えないが、聞き覚えはある。
毎日、食事を持ってきた女の声だ。
「ああ」
薫は、千夏の口を使いながら、返事をした。
「店は?」
「斉藤君が来たから、交替したわ」
「そうか」
「食事はどうするの?作っとこうか?」
「いい」
「そう。じゃぁ、帰るわね」
「ああ、それを取ってくれ」
「使うの?」
「ああ」
「おもしろそう。わたし、やっていい?」
「ああ、好きにしろ」
薫は千夏の足を左右に大きく広げた。
大きなモーター音が部屋中に響いた。
(あああ)
おそらく電気マッサージ器だろう。
千夏の股間を激しい振動が襲った。
なんとか保っていた千夏の余裕がいっぺんになくなった。
千夏が手を突っ張って、薫の腰を押し上げようとするのを、薫が押さえつける。
「ぐふぉぁああああ」
薫のペニスを咥えたまま千夏が絶叫するが、おかまいなしに薫は、また喉の奥深く差し入れる。
「ぐふぉっ…」
薫の動きが早まっていく。
振動はクリトリスから、下の穴の周辺へと上下する。
千夏のそこはぐしょぐしょに濡れて、大きな電気マッサージ器の頭すら咥え込めそうだ。
(はあぁぁぁぁあああああ)
千夏の背中が反りあがるのと同時に薫が千夏の口の中に放出した。
「いっちゃった?」
女も電気マッサージ器のスイッチを切った。
「はぁ、はぁ、はぁ」
急に静かになった部屋に千夏が息をする音だけが響く。
薫のものが口いっぱいに溢れそうだが、すぐには飲み込めそうにない。
「じゃぁ、帰るね」
「ああ」
「明日の朝は?」
「いい」
「そう。じゃぁ」
女の足音が遠のいていく。
玄関のドアが閉まった。
ごくん
ようやく千夏は薫のものを飲み込んだ。
被虐(3)
被虐(3)
薫の携帯がなった。
「千夏、仕事だ」
電話を切った薫にそう告げられた。
「シャワー浴びて来い」
やっぱり、そういう仕事だ。
(ばか…)
涙が出た。
もうあんなことはしなくていいんだと、勝手に思い込んでいた。
薫といっしょに暮らすんだと思い込んでいた。
(ばか…)
千夏がシャワーを浴びてバスルームを出ると、男がいた。
「そのまま来い」
男は、千夏が身体に巻いたバスタオルを剥ぎ取って腕を引っぱる。
千夏は薫のほうを見たが、薫は、また別の電話に出ていた。
玄関で首輪をされて、鎖をつけられた。
そのまま、ドアから外に出る。
千夏は裸のまま、男の後を歩く。
通路を歩き、階段を下りた。
誰にも会わない。
会ったからといって、どうということもない。
もうあらがう気力も、恥ずかしいと思う心もなくなっている。
泣いているのだが、涙も出ない。
607号室。
男は、そこの鍵を開けて、千夏を中に入れた。
例によって、また目隠しだ。
「そのまま待ってろ」
男が出て行った。
すぐにまた玄関が開く。
足音がふたつ近づいてきて千夏の前で止った。
服を脱いでいる。
男は腕をとって千夏を立たせた。
前と後ろの穴、両方に別々の男の指が入ってくる。
後ろの男が、手を回して乳房をつかむ。
前の男の舌が、千夏の口の中に入ってくる。
前の男のものと後ろの男のものを握らされた。
「うっ」
千夏のみけんにしわがよる。
お尻に入れられた指が二本になった。
千夏は、少しお尻を後ろに引いて、痛みをこらえた。
前の男に両腕を引かれて、千夏はよろけながら歩いた。
それでも後ろの男の指はアナルに入ったままだ。
さらに強く引かれて、前に倒れたところがベッドだった。
足を開いて座った男の股間に顔を引き寄せられる。
男のペニスを口に含んだとたんに、頭を押さえつけられた。
「ぐふぉぇっ」
いきなりペニスが喉の奥にまで飛び込んでくる。
千夏は腕を突っ張って、顔を離そうとするが、押さえつけられて、しかも足で挟みつけられる。
千夏は抵抗をやめた。
抵抗しなければ、頭を強く押さえつけられることはない。
力まなければ、息は鼻でできる。
後ろの男に乳房を鷲づかみにされた。
指をぐいぐい突き立ててくる。
「ああーっ」
前の男が力をゆるめると、千夏は、顔を上げ、大声をあげた。
声は出すが、痛いとは言わない。
痛いと言ってもやめてはくれない。
痛いと言ったら、もっと強く指を立てられる。
前の男が千夏の下で仰向けになった。
いきりたつ男のペニスの上に腰を下ろさせられる。
千夏は、下の男にぴったりと身体をくっつけてうつ伏せになり、なるべくお尻を水平にする。
どうせ、後ろの男はお尻に入れてくる。
なるべく入りやすい角度にしないと、痛い。
後ろの男に尻の肉をつかまれて左右に広げられた。
また指が食い込む。
男の肉棒がアナルに入ってきた。
千夏は歯を食いしばった。
両方を使われるのにも慣れた。
もう最初のときほど痛くはない。
ただ、痛くなくなっていくのが辛いだけだ。
下の男の手が千夏の顔をつかむ。
千夏は男の顔の横に自分の顔をくっつけた。
唇を合わされるのは嫌いだ。
舌を舐めるくらいなら、ちんぽを舐めるほうがましだ。
つばを飲まされるくらいなら、精子を飲むほうがましだ。
千夏は、さらに下の男に抱きついて男を動けなくする。
上下両方で動かれるのは耐えられない。
後ろの男が、千夏のお尻の中に放出すると、下の男は、千夏を横に倒し、身体を入れ替えた。
足を大きく左右に広げられる。
「あああぁぁぁ」
嫌でも、感じるものは感じる。
感じるまいと抵抗する気力はない。
自分に抵抗するのをやめた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
男の息があがる。
男はデブだ。
ゆっさゆっさと肉が揺れるのを感じる。
男の体温がどんどん上がっていく。
この二人組みは初めてではない。
記憶があった。
お尻の男は、いつもお尻だ。
そしてこのデブ男は、口に出す。
男が離れて、千夏の顔に乗った。
これで終わりだ。
男は、突然、千夏の目隠しを外して、肉棒を千夏の顔にこすりつけ始めた。
目隠しを外されても、目は開けられない。
男の肉棒が顔を這っている。
「口をあけろ」
初めて男の声を聞いた。
千夏のあけた口に男の精液が飛び込んできた。
被虐(4)
被虐(4)
千夏は、顔にかかった男の精液をティッシュでふき取った。
「君、中沢君だよね」
(えっ)
突然、名前を呼ばれた。
(まさか…専務?)
男は、千夏の勤めていた会社の専務の高木だ。
千夏は、振り返って背後にいる、今、千夏の口の中に出した男を見た。
(社長)
まぎれもなく社長の及川だ。
千夏の会社は、IT関連で、役員は皆若い。
社長と専務は大学時代からの友人で、まだ30代半ばだ。
「君、突然、休んで…、連絡もつかないし…、こんなところで…」
高木は、千夏の所属する総務部の担当役員だ。
「違います」
千夏は、うつむいて小声で否定した。
「違わないよ。どうしたんだ?お金が必要だったのか?お父さんの会社のせいか?」
「違います」
こんどは、もっと大きな声で否定したが、その否定は、自分が千夏であることの肯定だ。
「まぁ、なんだ、どんな事情かは知らないが、とにかく一度、会社に顔を出しなさい。辞めるのしても、なんにしてもちゃんと手続きってもんがあるんだから…」
及川が口を挟んだ。
千夏は、黙って小さくうなずいた。
男達が帰ってしばらくすると、今度は別の男が迎えに来た。
また、裸で連れ出される。
今度は、男の真後ろに隠れて歩いた。
部屋に戻ると、薫がパソコンに向っていた。
「お帰り」
薫の声は、いつもやさしく響く。
「ただいま」
自分の家に帰ってきたみたいだ。
千夏は、会社の上司に知られたことを薫に告げた。
「そうか…」
薫はパソコンを閉じると、千夏をベッドに寝かせ、自分も横に並んだ。
「どうする?」
「どうするって?」
「会社に戻るか?」
(えっ?)
予想外の言葉だった。
「戻れないわ。きっとくびよ」
「そうかもな、でも、社長に会ったんなら、一度会社に行ったほうがいいだろう?」
「いいの?」
千夏は半信半疑で訊いた。
「ああ。かまわんぞ」
(外に出てもいいの?どういうこと?)
理由もわからず、つれて来られて、今は、出ていってもいいと言う。
それは、うれしいことのはずなのに、心が弾まない。
薫が立ち上がり、デスクの引き出しの中から何か取り出した。
「お前のアパートの鍵だ。会社に行くなら、部屋に戻ったほうがいいだろう」
「今から、戻っていい?」
「ああ。誰かに送らせるよ」
「ありがとう」
なぜか涙が出た。
アパートは、何も変わっていなかった。
突然、連れ出されて3週間。
わずか3週間なのに、ここに居たのは、ずいぶんと昔のような気がする。
「ばか」
千夏は、ひとことだけつぶやいた。
涙が止らない。
翌日、昼近くになって、千夏は出社した。
誰がそう言ったのかはわからないが、千夏は病気ということになっていて、千夏の顔を見るなり、課長が“もう、いいのか?”と近寄ってきた。
「ええ、…はい、まぁ…。ちょっとお話が…」
辞めるつもりだった。
「ちょっと待って、専務に連絡するから…」
課長が電話をしている間、千夏は多くの視線を感じた。
誰もがただじっと千夏を観察している。
きっと、いろいろな噂があったに違いない。
「専務が呼んでいる。すぐ行きなさい」
「はい」
千夏は、すぐに高木の部屋に向った。
千夏が部屋を出て行くと、とたんに背中で話し声が聞こえた。
高木の部屋に社長の及川までいた。
「こっちに座って…」
腰をかけた千夏の前に二人が並んで座る。
千夏は緊張した。
「一応、病気ということで休職扱いにしておいた。いつでも復帰できるぞ」
高木のほうから先に切り出した。
「ありがとうございます」
だが、今さら復帰する気もない。
「せっかくなんですが、辞めさせていただこうかと…」
千夏は、バッグから退職願を取り出して高木に渡した。
「辞めるのか?どうして…。理由はなんだ?よかったら話してくれないか?」
「いえ、すいません。個人的なことなので…」
「あそこに勤めるのか?」
千夏は、もう何度か高木と及川の相手をしたことを知っているが、高木は知らないようだ。
「お金で困ってるんなら、言ってごらん」
高木が、千夏の横に座りなおした。
被虐(5)
被虐(5)
「いえ、そういうわけでは…」
「お父さんの話は聞いている。相当厳しいらしいね」
「父とは関係ありません」
実際、父親のことは何も知らない。
「あそこだと、月にどのくらいになるんだ?」
「…」
あそこで働いていたわけではない。
ただ、突然、襲われて、監禁されていたのだと言って、信じてもらえるだろうか?
千夏は、昨日、助けを求めなかった。
高木に“中沢君”と呼ばれて、それを否定した。
あそこで働いていると思われても仕方がない。
「君にやってもらいたい仕事があるんだが…」
今度は及川が口を開いた。
「はい?」
「ここもそうだが、わたしのところも、それから常務の石橋のところも、資料の山だ」
高木の部屋は、いたるところに資料やファイルが山積みになっていた。
「極秘の資料もあって、本来なら自分で整理しなくてはならんのだが、君にたのめないかな?」
「わたしに…ですか?」
「ああ。君にだ。あの店とは、どういう契約なんだ?辞めると違約金とか発生するのか?」
「いえ、勤めてるわけじゃ…」
「バイトって言うことか?」
千夏は、問い詰められても答えようがない。
「実は、君には、わたしが代表をしている子会社のほうに移ってもらいたいんだが…」
「どういうことですか?」
「あの店がいくら出すのかは知らないが、相応の手当てはつけさせてもらうつもりだ。うちの社員だと、他の社員とのバランスもあって、そう高くは出せないからね」
「どうして、わたしに…」
「極秘の資料もあると言っただろ」
「はい」
「会社の秘密事項も我々個人個人の秘密もある」
(個人の秘密?…昨日のこと?)
「昨日のことを言ってるんですか?」
「昨日のこと?…ああ、昨日のことね。あれも秘密の中のひとつだな。言いふらす気かね?」
「いえ、そんなつもりは…」
「我々よりも先に君が目を通す資料も出てくる。いちいち全部に目を通してから君に渡すわけじゃないから、まぁ、他人には知られたくない個人的なことも君の目に入るかもしれないということだ」
(だから…何?)
高木は微妙な言い回しをしたが、それでも千夏にはぴんとこない。
「君のプライベートを少し管理させてもらうということだ」
代わりに及川が答えた。
「うちが所有しているマンションに引っ越してもらうつもりだ。もちろん、家賃から何から引越しの費用もすべて会社で持つ。どうかな?」
(そういうことか…)
ようやく千夏にも理解できた。
「考えさせてもらってもいいですか?」
「今、考えてくれないか。君のお父さんの会社に出資を検討しているところなんだ」
(それって…)
「お話はわかりました。で、給与は?」
「月、60万のつもりだ。車も会社のものを使っていい」
「そうですか」
「それでどうかな?」
「はい、それでかまいません。今日は、アパートに帰ってもいいですか?洗濯物とかそのままなので…」
「ああ。かまわんよ。移籍の手続きはこちらでやっておく」
「お願いします」
「いや、こちらこそだ。引き受けてもらってうれしいよ」
高木の手が、千夏の肩に回され、千夏は高木の胸にひきよせられた。
「正直言うとね、君が気に入ったんだよ」
高木の口からようやく本音が飛び出した。
「ここの奥の部屋が役員専用の資料室だ。明日からそこが君の仕事場だ」
千夏は、高木に抱きかかえられるようにして奥の資料室に連れて行かれた。