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続・亜希の反抗1-3
3.千春
「明日の用意はできてるか?」
誠は、明日から視察という名目でしばらく旅行に出る。
「はい、そこに…」
亜希はもう寝るつもりで、わかりやすく居間のテーブルの上にスーツケースを置いておいた。
「ゴルフバッグは?」
「もう送っておきました」
視察2日目には、もうゴルフの予定が組まれていた。
「わたしは、拳人を連れて、ちょっと実家に行ってますから…」
そう言って、亜希は寝室に入った。
子供ができてから亜希は、ずっと息子の拳人と同じ部屋で寝ている。
亜希は結婚と同時に妊娠した。
正確には結婚以前に妊娠していたのだが、対外的にはハネムーンベビーということになっている。
誠の浮気は知っていた。
結婚する以前からの関係で、相手は水商売の女らしい。
他人の不幸は自分の幸せなのだろう。
近所には、わざわざそういうことを亜希に知らせてくれるご親切な人たちがいっぱいいた。
それが耳障りで、亜希は、妊娠6ヶ月になると実家に戻った。
亜希には夫の浮気をとがめる気はない。
いや、むしろそれを歓迎した。
亜希の子は、誠の子ではないかもしれない。
亜希自身は誠の子供でないことを確信していたが、誠の浮気のおかげで、誠に対する後ろめたさを感じずにすんだ。
亜希は、息子には拳人という名前を付けた。
誠は反対したが、亜希は、誠の浮気をちらつかせながら押し切った。
無理をして仲のよい夫婦を演じる必要はない。
亜希は、誠とのセックスも拒否した。
亜希には、拳人がいる。
亜希が本当に愛した男の子供。
亜希にはそれでじゅうぶんだった。
次の日、拳人を実家に置いて、亜希は、最近通い始めた絵画教室に足を運んだ。
花村絵画教室。
生徒は亜希を含めてたったの7人。
教室と言うよりはサークルという雰囲気で、学生時代に油絵を描いた経験のある亜希は、別にこれといった指導を受けるわけでもなく、入ったその日から、花村が決めた題材を他の人たちに混じって描いていた。
「先週お伝えした通り、今日は、モデルさんに来てもらってヌードを描きますから…」
生徒にそう伝えながら、花村は、また時計を見た。
(なんとか、間に合った)
千春は、ようやく絵画教室の看板を目にして、とりあえずほっとした。
まさか駅からこんなに遠いとは思わなかった。
予定時刻の5分前。
ぎりぎりだ。
千春は、弾んでいた息を大急ぎで整えてから教室の扉を開けた。
時間が無い。
責任者を探してあいさつしている余裕は無い。
「モデル事務所から来ました。よろしくお願いします」
千春は、とりあえずあいさつをした。
「ああ、遅かったね」
神経質そうな顔の男が一人、千春のほうに寄ってきた。
「花村先生ですか?今日は、よろしくお願いします」
遅いと言われても、遅刻したわけではないので、あやまらない。
「奥に更衣室を準備したけど…」
「いえ、別に着替えるわけじゃないので、ここでいいです。荷物だけ置かせていただければ…」
後3分。
謝らない以上、予定の時間には仕事を始めなければいけない。
千春は、部屋の隅に行くとすぐに服を脱ぎ始めた。
描く側の8人は、男女が半々で、花村を含め4人の男性は、こちらに背中を向けて服を脱ぐ千春を見ていたが、女性達は、何かしらこまごまとした作業をして、そちらを見ないようにしている。
ただ、一人だけ、男達と同じように風を脱ぐ千春を眺めている女性がいた。
裸を見られるより、脱ぐところを見られるほうが恥ずかしい。
少なくとも亜希はそうだった。
亜希もモデルをしたことがある。
絵のモデルの経験もあるが、思い浮かべたのは俊哉のカメラの前に立った自分だ。
工藤俊哉。
10年前に亜希が受け持った生徒。
亜希は、その俊哉のカメラの前に裸体をさらしたことがあった。
亜希の胸に久しく忘れていた感覚がよみがえってきて、きゅっと胸が痛んだ。
そんな亜希の思いとはうらはらに、千春はあっけらかんとしたものだ。
なんの躊躇もなくブラをはずし、パンティーも脱いだ。
(ヌードモデルだもの。いちいち恥ずかしがってたんじゃ仕事にならないわよね…)
亜希は、我に返ると他の女性達が誰も千春を見ていないことに気づいて慌てて目をそらした。
年末の挨拶
ごぶさたしてます
来年も、そんな感じです。
このままこうやって年をとっていくんでしょうね
慶輔さんも無理をなさらぬように…
よいお年をお迎えください
早いもので月日はあっという間に過ぎていきますね(^^ゞ
美菜子さんにとって、今年はどんな一年だったでしょうか?
僕はとにかくバタバタの一年でした。
ただいま厄年真っ只中。
来年まで慎重にやろうと思ってます(^_^;)
時節柄、大変ご多忙のことだと存じます。
くれぐれもご自愛くださりますよう、お祈り申し上げますm(_ _)m