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ダブル ホールズ1-4
4.呼び出し
赤ずきんちゃんにご用心
美希は、家に帰ったが、誰もいない。
いつものことだ。
いつも帰りの遅い父とは、休日以外に顔を合わすことはない。
母親は、最近、外出することが多くなった。
どこへ行ってるのか、美希は知らない。
どうでもいいことだった。
成績以外のことで母親と話をすることもない。
それも、したくてするのではない。
母親は、成績以外には興味がないようだ。
成績は悪くはないと思っているが、週に3回、塾に通わされている。
今日は、塾の日だ。
美希は、自分の部屋で、傷口を消毒して、メンディングテープを貼った。
着替えるつもりだったが、気が重い。
スカートを脱げば、裸だ。
ショーツを脱がされた・・・・・それが、悔しかった。
美希は、そのままベッドに横になった。
携帯が鳴っている。
優美だ。
3回・・・・4回・・・・
美希は、出た。
「美希?・・・」
「・・・はい」
「あのさ、ちょっと用があるから、出てきて・・・」
「いえ・・・今は・・・・」
「今じゃないわよ。7時に○○にいるから。そこに来て。場所はわかるわよね?」
「いえ・・・今日は、だめなんです。・・・塾なんです」
「塾?・・・あのさ、呼ばれたら来るんだよ。友達だって言っただろ・・・・」
「でも・・・・・」
「ごちゃごちゃ言ってないで、来ればいいんだよ。いいね、7時だよ」
「何だって?」
携帯をたたんだ優美に麻子が訊いた。
「塾だって・・・・」
「塾?・・・なに寝言いってんだか・・・。で?」
「来るわよ。来なきゃ、また・・・・」
優美が手を上下させ、地べたを這うまねをした。
「そうね・・・それでもいいけど・・・・」
麻子は、足を振った。お尻を蹴る真似なのだろう。
「ふーん、塾かぁ。・・・いいんじゃない」
里美が、何か思いついたように思わせぶりな言い方をする。
「なに?・・・・里美」
「塾なら、夜遅くてもいいってことよね」
「そうか・・・・そうだね。いいね。それ・・・」
優美は里美の意図を察したようだ。
「電話しとくわ」
優美は、さっそく携帯を開いた。
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