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りんの挑戦2-5
5.目隠し
「りん・・・」
呼ばれてりんは、祐二のものを咥えたまま、祐二を見上げる。
「脱いで」
りんは、ためらうことなくその場で着ているものを脱いだ。
祐二は、いつの間にやってきたのか、傍らに立つ男性からアイマスクを受け取ると、それをりんにつけた。
男は、りんの脱いだ服を持って戻っていく。
「行こうか?」
りんは、祐二に引かれて、立ち上がった。
りんは、先ほどのステージの目隠しされた彼女のことを思い浮かべた。
(祐二さん、わたし、裸よ・・・・)
りんは、祐二に押され、ただ歩いた。
扉が開いた。
(外に出るの?)
りんは、入ってきたときのビルの様子を思い出していた。
真っ直ぐ歩いて、止まった。
(エレベーター?)
自分で外そうと思えば、外せるのだが、りんは、黙って目隠しをしたままエレベーターに乗った。
(誰か乗ってきたら・・・・・)
りんは、祐二の背中に隠れるように立ったが、後ろに人がいないとも限らない。
もしかしたら、すでに周りに何人か人がいるのかもしれない。
お尻に誰かの手が触れた。
「あっ・・・」
りんは、思わず声をあげた。
祐二は動かない。
男の手は、大胆にりんの太ももに割り込み、すでに何人もの男を受け入れたりんの中に侵入してくる。
「祐二・・・さん」
りんは、小さな声で祐二の名を呼んだが、やはり祐二は動かない。
エレベーターが止まって、男の手は消えた。
(1階は・・・・)
りんは、必死に思い出そうとした。
(まっすぐ歩けば・・・外だわ)
祐二は、ためらうことなく真っ直ぐ歩く。
(祐二さん・・・・外よ)
りんは、もう気が気ではない。全裸なのだ。
自動ドアが開いた。
「祐二さん」
とうとう、りんは祐二の名を呼んだ。
「車が来ている」
祐二は、ひとことそう言うと、りんの背中に手を回し、りんを前に押し出すように歩く。
りんは、もう息が止まりそうだった。
さっきの男だって、いっしょに降りたはずだ。
りんは、頭を押さえられ、車に乗せられた。
「○○まで・・・・」
隣に乗った祐二の声。
(タクシーなの?)
前屈みに身体をこわばらせたりんの肩にジャケットが掛けられた。
りんは、慌てて袖に手を通したが、下半身は裸のままだ。
「祐二さん・・・ティッシュか何か・・・・」
祐二の方に顔を近づけてりんは小さな声で言った。
車のシートを汚してしまいそうだったのだ。
車が祐二のマンションについた。
りんは、先に降りた祐二の懐に飛び込むようにタクシーを降りた。
着ているのは、ジャケットだけ。おそらく前も後ろも隠れてはいない。
エントランスでもエレベーターでも誰にも会わなかったが、会ったとしてももう平気だった。
慣れたわけではない。激しい緊張の連続で、感覚が麻痺してしまったのだ。
まっすぐ歩くことすらおぼつかなかった。
りんは、祐二に抱きかかえられるように、やっとの思いで祐二の部屋に帰った。
祐二は、りんをソファに寝かせると、キッチンに向った。
りんは、意識は、はっきりしているのだが、体が思うように動かない。
「アイスティーだが・・・飲めるか?」
祐二が、グラスにアイスティーを入れて持ってきた。
「ええ・・・」
ようやく上半身を起して、りんは、コップを受け取り、アイスティーをひと口、口に含んだ。
(冷たい・・・・)
冷たい液体が、咽をとおり、お腹に入っていくのがわかる。
ひと口のつもりだったが、りんは、いっきに全て飲み干した。
「立てるか?」
祐二が、空になったグラスを受け取りながら、訊いた。
「ええ」
さっきまでふわふわしていた足の裏の感覚が、少し元に戻った。
「シャワーでも浴びる?そのあいだに、コーヒーでも入れるよ」
「・・・・わたしがやります」
「いいんだ・・・シャワーを浴びといで・・・」
「・・・・・はい」
正直なところ、りんはシャワーを浴びたかった。
仕事がら、セックスで動揺することはない。
そう思っていた。
ただ、目隠しは・・・・・
不安感は予想以上だった。
(会場を知ってて、ああなんだから・・・どこだか知らされてなかったら・・・・)
想像するだけで、胸が不安で締め付けられた。
バスルームを出て、りんは、裸のまま、リビングに向った。
そうしろと言われたわけではないが、そうしたかった。
コーヒーのいい香りがする。
ソファに座った祐二の前にりんは、裸で立った。
「コーヒー・・・どうぞ」
祐二がテーブルの上のコーヒーをりんのほうに差し出す。
りんは、祐二の前の床に座った。
「ありがとう」
りんは、祐二のコーヒーをひと口、口に含んだ。
今度は、温かい。
「泊まるか?」
祐二の言葉にりんはうなずく。
「あのぉ・・・・祐二さん」
「何?」
「お腹・・・空いてるんじゃないですか?」
「そうだな・・・・そう言えば・・・何も食べてないな」
ショーが早く、祐二はお酒もほとんど飲んでいない。
「やっぱり・・・。何かありますか?なければ買ってきますけど・・・」
「冷蔵庫に何かあるだろう。作ってくれるの?」
「ええ・・・・女ですから・・・」
りんは、コーヒーのカップを置いて、キッチンに向った。
「祐二さん、このエプロン借りていいですか?」
意外にも、エプロンが、冷蔵庫にくっつけたマグネットのフックにひっかけられていた。
(祐二さん・・・自分で料理してるのかな?)
「祐二さん、料理されるんですか?」
りんが、振り返ると、ソファに座った祐二と目があった。
(祐二さん・・・・・見てる・・・・わたしを・・・・)
胸がきゅっと締め付けられた。
視線を強く意識したせいかもしれない。
りんは、いつのまにか視線をことさらに感じ、それに反応するようになっていた。
キッチンは、居間に向かって大きく開いている。
シンクの前に立つりんの後姿は、居間にいる祐二から丸見えだ。
背中に・・・お尻に・・・、りんは祐二の視線を感じた。祐二は、ずっとりんの後姿を見ている。
ときどき、確認したくてりんが振り返ると、必ず、祐二の視線にぶつかった。
慌てて目をそらすのは、りんのほうだ。
(見られてる・・・・わたしをずっと見てくれている・・・・・)
見られているだけで・・・・・・快感だった。
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