スポンサーサイト
新しい記事を書く事で広告が消せます。
亜希の反抗2-3
3.慌て者
「あつっ」
亜希が声を上げた。
「どうした…だいじょうぶ?」
俊哉が、後ろから覗き込むと、亜希は背中を丸めて太ももを押さえていた
ドライヤーを太ももの上に落としたようだ。
スカートを乾かすために長時間ドライヤーを使っていたので、かなり高温なはずだ。
亜希は、立てている足の太ももの内側を両腕で抱え込むようにして熱さに耐えている。
俊哉は、すぐに冷蔵庫から缶コーラを持って来た。
「先生、見せて」
俊哉は、足を抱えている亜希の両手をどけた。
赤くなって多少、火傷しているが、たいしたことはなさそうだ。
「これ、押し付けて冷やして。下に行って薬とって来るから…」
俊哉は、そう言うと、よく冷えた缶コーラを、赤くなっている場所に押し付け、亜希に持たせた
「ごめん。だいじょうぶよ」
「大丈夫みたいだけど、念のためにね…待ってて」
そう言って、俊哉は部屋を出て行った。
「ばか…本当にそそっかしいわね、全く」
独り言をつぶやきながら、亜希は、コーラをどけて、赤くなっているところをじっと見た。
「えっ…」
患部を覗き込むと、ノーパンの股間に、他の人よりちょっと薄めのヘアが丸見えだ。
(見えてた…工藤君?…)
上から覗き込む自分よりも、前に座って太ももに缶コーラを押し付けた工藤の位置のほうが、はるかに見やすい。さっきは、痛みのせいでそこまで気が回らなかった。
(でも、工藤君、覗いてたようじゃなかったし、見えなかったのかなぁ…見慣れてるとか?)
亜希は、そんなばかなと思ったが、すぐに撤回した。
(ほんとに見慣れてるのかもねぇ…)
亜希の視線が、収納ボックスに向いた。
真っ白な自分の太ももが赤くなっているのを見て、先ほどの縛られて変色した乳房のイメージが蘇ってきた。
亜希は、立ち上がって、収納ボックスの横に立った。
(どうしよう…見なかったことにするって…)
亜希は、しばらく悩んだが、見たい衝動を抑えられず、再び、その箱を開けた。
いつでもすぐに元に戻せるように注意を入り口に向けながら、亜希は、写真を見た。
亜希と同じくらいの年齢の女性だった。
清楚なワンピースを着た写真を見る限り、亜希のほうが、胸もお尻も大きいと思った。
(私のほうが…)
しかし、縛られた写真を見ると、これが同じ女性の体なのかと、亜希は、何度も見比べた。
乳房の根元をぎゅっときつく縛られて、乳房が強調されて盛り上がっている。
太ももの付け根に巻かれたロープのせいでお尻も強調されていた。
苦痛にゆがんでいるはずのその女性の表情は、亜希には納得のいくものではない。
どこかが違った。
それがどこというわけではないが、眉間にしわを寄せて、痛みをこらえていた自分の表情とは、違うような気がしてならなかった。
バタン
ドアが開いた。
亜希は、急いで写真をしまうと、収納ボックスの蓋を閉めたが、慌てものというのは、慌てたときになにか失敗をする者のことだ。
亜希は、慌てて小指をはさんだ。
うっ、声を殺して、指を引いたが、そこを工藤に見られた。
「せんせい」
工藤は、まるでいたずらをした子供をたしなめるように、短く一音一音区切って、呼びかけた。
(見つかったわ…あーあ)
亜希は、絶望的な気持ちになった。
小指にうっすら血がにじんだ。
近寄ってきた工藤は、小さなため息をつくと
「見ない…って」
「ごめんなさい…誰にも言わないわ。それは約束したとおりよ」
生徒に弁解している自分が、情けなかった。
「ちょっと見せて」
工藤は、そう言うと、亜希の腕を取り、血のにじんだ小指を見た。
傷口を丹念に眺めると、引き出しの中からバンドエイドを取り出し、傷口にまいた。
「座って」
今度は、火傷の治療のため、亜希を椅子に座らせた。
いたずらを咎められた子供のように亜希は、黙って、俊哉に従う。
亜希が椅子に深めに座ったため、俊哉は、亜希の太ももを持って自分の手元に引き寄せた。
亜希のジャージが大きく捲れ、真っ白な大腿が付け根まであらわだ。
(ああ。また見えちゃう)
亜希の心配をよそに、俊哉は、手早く火傷用の塗り薬を塗って、患部以外のところについた薬をティッシュでふき取った。
「痛いですか?」
「ううん。もう大丈夫。ありがとう…ごめんね」
亜希は、素直に礼を言った。
« 亜希の反抗2-2 l Home l 亜希の反抗2-4 »