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沙耶の倒錯1-4
二人は、帰る方向もいっしょだ。
また、駅に向かった。
今度は、二人で並んで…。
ホームで電車を待っている間、信也はときどき周りを気にした。
沙耶も横に並んで入るが、他人の振りだ。
電車が入って、ドアが開いた。
さっと見る限り、信也と同じ学校の制服の子はいない。
沙耶は、いつものように信也の前に立ったが、今度は振り返った。
沙耶に振り向かれて信也は驚いて後ずさったが、後ろから押されて、結局、沙耶を真正面から抱く格好だ。
信也の腕が沙耶の腰に回る。
胸の前で両腕を合わせていた沙耶の右手が下にさがった。
信也のものは、ズボンの左側に折れて窮屈そうに収まっていた。
沙耶は、信也のズボンの上から、それを握り、まっすぐ上に向ける。
窮屈な位置から開放されて、信也のものは、まっすぐお腹のほうに向かって伸びていく。
(ときどき会える…)
信也がそれをどう受け取ったかは知らないが、それは、ときどきセックスしようということだ。
少なくとも沙耶はそのつもりで言ったことばだ。
沙耶の手の中で信也のそれは、どんどん体積を増す。
(舐めてあげたいけど…ここじゃ無理だし…)
電車は、すぐに二人の駅に着いた。
扉が開いて電車を降りると、沙耶は一定の距離を置いて信也の後ろを歩いた。
改札口は線路を挟んで左右2ヶ所
信也は、立ち止まった。
「どっち?」
後ろから沙耶が小さな声で聞いた。
信也は、沙耶とは反対側の出口に身体を向けた。
遠回りだが沙耶は、信也について改札を出た。
沙耶は、信也の横に並んだ。
「沙耶さん」
急に信也が口を開いた。
「すぐ帰らないとまずいですか?」
「ううん。別にすぐじゃなくてもいいけど…」
「ちょっといっしょに…いいですか?」
沙耶はうなずいた。
信也から誘ってくれるなんて願っても無いことだ。
沙耶は、信也の後ろをついて歩く。
ここは住宅街だ。
駅前の通りを抜ければ、古くからの住宅が立ち並ぶ。
沙耶の住んでいる側は、開発され高層のマンションもいくつか建ち並んでいるが、こちら側は、頑として開発を拒み、狭い路地と背の低い住宅が並んでいる。
信也は、入り組んだ路地を右に左に曲がりながら歩く。
(どこに行くのかしら?)
10分ほど歩いて、信也の歩みが遅くなった。
「ここ…なんですけど…」
3階建てのマンションというかアパートというか…。
「ここって…あなたの家?」
「いえ、違います」
信也は、階段を上がって208号室の扉を開けた。
「どうぞ」
狭い玄関。
中は、それでも10畳くらいあるのだろうか、ワンルームでバスとトイレは別々のセパレートだ。
テレビとテーブルとやけに大きなソファとクッションがあるだけ。
「あなたの部屋なの?」
沙耶は、ソファに座った信也の横に並んで座った。
「いいえ。僕のっていうわけじゃありません」
「じゃぁ、お友達か誰かの部屋?」
といって、ここに誰かが住んでいるとは思えない。
全く生活感のない部屋だ。
「もともと友達の兄貴が住んでたんですけど、引っ越して…。今は、その友達が使ってるんですけど…、親には内緒で」
若い男の子たちがやりそうな秘密の隠れ家。
「土日は、その友達が使うんですけど、平日は、僕らに貸してくれるんです」
「へぇーっ」
沙耶は、部屋を見回したが、男の子たちが使っているにしてはきれいに片付いている。
タバコとか、お酒とか、ビデオとかエロ雑誌とか、沙耶が想像するようなものは何もない。
「今月は、僕は金曜日なんです」
「どういうこと?」
「僕ら仲間が5人いて、毎月、曜日を決めるんです」
「そうなの?みんなで使うんじゃないのね?」
「1ヶ月、1万円で一人ひとりが借りてます」
「お金払うの?」
「ええ。まぁ」
このあたりのワンルームだと月5万~6万が相場だ。
信也の友人は、人に貸して部屋代を浮かしているんだろう。
なかなか賢いやり方かもしれない。
「僕、今月でここ借りるの辞めようと思ってたんですけど…」
「どうして?」
「えっ…、彼女と別れちゃって…」
(ああ、なるほど…そういうことかぁ)
沙耶は、やっと理解できた。
この部屋がきれいに片付いている理由。
男達がたむろするための部屋ではないということだ。
「もう、辞めるって言っちゃったの?」
「いいえ。まだ…」
「じゃぁ、辞めないで借りててくれないかなぁ」
沙耶は、座っている信也の太ももに手を載せた。
「部屋代も、わたしが出すわ」
月1万円。
ラブホ1回分だ。
それに、どうせ平日にしか会えないのだからなんの問題もない。
「いえ、それは僕が…」
(学生のくせに…)
「いいのよ。わたしに任せて…」
沙耶は、信也のベルトに手を掛けた。
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