スポンサーサイト
新しい記事を書く事で広告が消せます。
広美の思惑4-1
第4章
1.見られたい
俊一が帰ると、広美は既に寝ていた。
広美の顔を覗いた。
いつもの寝顔だ。
まぁ、寝顔が変わったりするはずもない。
俊一は、帰り際に、静子に言われたことばを思い返した。
“どう?スワッピングって…こんな感じよ”
俊一と静子もカップルに違いない。
むしろ、俊一は広美よりも静子のほうがいいと思っていた。
広美に対する思いと静子への思い。
何がどう違うのか?
(静子とならできる…広美とならどうだろう?)
自分で仕組んだにもかかわらず、嫉妬を抑え切れなかった自分。
もし、あのまま帰っていたら、どうなっていたか。
沙希と研二、偶然やってきたのか、静子に呼ばれたのか。
どちらにしても、あれがなかったら、今、平然と広美の寝顔を見て入られなかっただろう。
(スワッピングかぁ…)
俊一に広美を咎める気持ちはなくなっていた。
いや、あったのかもしれないが、考える気にならなかった。
さすがに俊一も疲れている。
寝つきの悪い俊一だが、横になった瞬間に意識もベッドに吸い込まれてしまった。
俊一が目覚めたときには、広美はもう出かけていた。
料理教室だ。
ずいぶん眠ったのだろうが、それでも、頭がボーっとしている。
シャワーでも浴びようかと起き上がった瞬間に頭痛がした。
(やりすぎだよな)
首筋がかちんかちんに固まっている。
俊一は、シャワーを熱めにして首筋を自分でほぐした。
肩もこっている。
よほど上半身に力が入っていたんだろう。
昨夜のことを思い返した。
むくっとペニスが頭をもたげる。
手が自然にペニスに伸びた。
別にオナニーをする気はないが、昨夜の興奮を蘇らせるために、放出しない程度にペニスを刺激した。
ペニスへの刺激が、興奮を高める。
男にとっては性的に興奮した状態が快感なのだ。
ペニスへの刺激そのものが快感というわけではない。
直接的な刺激が快感を呼ぶ女とは違う。
俊一は、バスルームを出て裸のままコーヒーを入れた。
お昼の明るい日差しの中、部屋の中とはいえ裸でいるという不自然さが心地よかった。
裸のままソファにもたれコーヒーを飲む。
また、眠くなった。
15分程度の睡眠が頭痛に効くことは経験上知っている。
そのころには、コーヒーが効いて目を覚ましてくれるだろう。
俊一は、バスタオルを身体にかけて目を閉じた。
ずいぶん遠くで広美の声がしたような気がした。
「こんな格好で寝ちゃって…」
広美が目の前で俊一を覗き込んでいた。
「ああ…、おかえり」
俊一は、すぐ近くの広美の顔を手で引き寄せてキスをし、そのままぐいとひっぱって、広美を自分の体の上に乗せた。
「だめよ。お友達が来てるの」
「はじめまして。料理教室でいっしょになった。静子っていいます」
俊一の視界の外で声がした。
(静子…来たのか?)
聞き慣れた静子の声だ。
顔を見なくてもまちがいない。
「いらっしゃい。すいません。こんな格好で…」
俊一は、静子に顔だけ向けて挨拶したが、落ち着きすぎだ。
(もっと慌てるべきだったかな…)
初めて会った女性の前で裸なときは、どう反応するのが自然かと考えたが、わかるはずもない。
「早く服を着て…」
広美は、俊一が裸なのもあって、俊一の上に乗ったままだ。
「あら、いいのよ。わたしなら…。邪魔はしませんから、どうぞ」
「いえ。じゃぁ、ちょっと着替えてきますから…」
俊一は、広美から離れ、裸のままタオルも巻かず、ベッドルームに入った。
「いいわね。広美」
静子の声が聞こえた。
「何が?」
「いつでもどこででもって、わたしそういうの大好き」
「静子さん、すけべ」
「でしょ。自分でもそう思うわ。昼間、明るいところでされるとすごく興奮するのよ」
会話は、俊一に筒抜けだ。
わざと聞かそうとしているのかもしれない。
「静子さんは…ご主人は?」
俊一もその会話に加わる。
「いますよ」
「ご主人は、いつでもどこででもする人ですか?」
「ええ。外とか…」
「外で?」
広美が驚いて聞き返す。
「ええ。公園とか駐車場の車の中とかうちの庭とか…」
「庭?」
俊一は、静子のマンションしか知らない。
「ええ。庭でときどき」
「ご近所から見えない?」
広美が興味深そうに聞く。
「見えるかもしれないわ」
「見えるかもって…」
平然と答える静子に広美は驚いて言葉がない。
「あっ、そうそう、明日、バーベキューするんです。その庭で…。よかったらいらっしゃいません?」
まるで野外セックスに招待されているような響きだ。
「って、誘われたの。どう?明日」
広美が、静子の話を引き継いだ。
それが、静子の訪問の趣旨のようだ。
「バーベキュー…ですか?普通のバーベキューですよね」
「さぁ、どうかしら。いつでもどこででもっていう人だから、普通じゃないかもしれないけど…」
「そりゃ、おもしろそうだ」
「ご主人もそうなんですってね?広美から聞きました」
「僕が?」
「ベランダでするんでしょ?」
「静子さん、だめ」
広美が慌てて制止するが、間に合わない。
「いえ、まぁ、そんなこともたまには…」
「うちの主人も誰かに見られてるかもしれないっていうのが好きみたいです」
「あなたが…じゃないんですか?」
「あら、いやだ。主人が…っていうことにしておいてください」
「そうですか。じゃぁ、まぁ、そういうことにしときましょうか」
「お宅は?ご主人の趣味?それとも広美さん?」
「わたしじゃないわ」
広美が笑いながら割り込む。
「あら、そうだっけ?またして欲しいって言ってなかった?」
「静子さん。そんなこと…」
広美がうつむいた。
(広美が、またして欲しいって…?嫌じゃないのか?)
「広美さんね。見られたいんですって」
静子が、俊一の耳元で囁くが、それは広美にも聞こえている。
「だめよ、静子さん。言っちゃだめ」
「あなたに…ですか?」
「誰でもいいから、人に見られたいって」
「そんなこと言ってないわ」
「誰でもいいんなら、あなたでもいいわけだ」
「そうね。どうなの?広美さん。わたしでもいいの?」
「何言ってるのよ。ふたりで勝手に。わたし、そんなこと言ってないってば…」
俊一が立ち上がった。
「やだ、嘘。静子さんが勝手に作った話よ」
俊一は、広美の前に立ち、広美に口を寄せる。
コトバとは裏はらに、広美は逃げずにあごを上げる。
俊一は、広美をソファに倒す。
広美はもう何も言わない。
(見られたいのか?そう言えばいいのに…)
俊一は、広美の顔をじっと見つめたまま、広美のスカートに手を入れた。
広美の足が開き、お尻が浮いた。
俊一が太ももまで脱がせたショーツを静子が広美の足から抜いた。
« 広美の思惑3-5 l Home l 広美の思惑4-2 »