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菜穂子の憧憬6-7
7.菜穂子の恋
「和也、いる?」
菜穂子は、知美の家から帰るとすぐに和也の部屋を覗いた。
昨夜、母由香里と弟和也が帰ってきたのは、夜10時を過ぎてからのことだ。
二人とも疲れている様子で、ろくに会話もできなかった。
今朝、菜穂子は、気を遣って、誰も起こさないように出かけたため、菜穂子は和也と話らしい話しもしていない。
「うん」
和也は、パソコンをのぞいていた。
「なんだぁ?帰る早々、エッチなの見てるのか?」
そう言って、菜穂子がディスプレイを覗き込むと、そこに写っていたのは、菜穂子だ。
雅紀が撮った制服と水着の写真と机の上には先日のコスプレ写真のデータディスクが載っていた。
「これ…」
菜穂子は、ディスクを手に取った。
「ごめんな、俺のだと思ってみたら、おねえのだった。見ちゃ、だめだった?」
そう言えば、雅紀がくれたディスクは市販のものと同じで、和也から借りていたものと変わらない。
「ううん、いいけど」
菜穂子は、不安になって和也の顔を覗き込んだ。
「おねえ、モデルやってるの?別人みたいだ。いい感じ」
その言葉に、菜穂子は少しほっとした。
「モデルやってもいい?」
弟に訊くことでもないが、和也に嫌がられたくはない。
「おねえの問題だから…」
なにか距離のある和也の言い方に、菜穂子の不安は増した。
「怒ってる?」
「ううん、そういうことじゃなくて、そっちは俺の問題」
(そっちって?)
和也の言ってることの意味がわからず菜穂子は問い返した。
「どういうこと?」
「おねえ、俺がつきあってた彼女、知ってるよね。日浅朱美っていうんだけど、今日彼女と会ってた。うち、マネージャーがいなかったんで、彼女、大会中ずっと、マネージャーやってくれてたんだけど、一生懸命やってくれてて…。“会って”っていうもんだから…彼女のうちに行ったんだ。彼女一人っ子で、誰もいなくて…。なんか、そういう雰囲気で…」
ずいぶん、回りくどい言い方をする。
「でね、抱いたんだ。でも、彼女初めてで…」
「ふーん。うまくいかなかったの?」
「いや、それはなんとかなったんだけど。痛いんだねぇ、初めてって…。なんか苦痛をこらえてるっていう感じで、声もさ、なんて言うか、“うっ”っていう感じで、痛みをこらえてるっていうような声なんだ。だんだん暗くなっちゃって。なんて言えばいいんだろう。なんか、すごく大事なことを、何も考えないで軽くやってしまったって感じ。悪いことしたぁって思っちゃって、でも、後の祭りだし」
菜穂子は黙って和也の言うことを聞いていた。
「俺、外に出したんだけど、そんなのも彼女ノーケアで…。そしたら、彼女、泣いてて…、もう完全にブルーになっちゃったんだけど、彼女、俺に“ありがとう”って言うんだ。だめだよね、それ、こたえるよ。俺、絶対、軽すぎたよ、彼女に対して。そのときの朱美の顔がずっと残っちゃって」
「ふーん…で?」
菜穂子には、和也が何を言いたいのかだいたい察しはついたが、それでも次の言葉を促した。
「俺さぁ、朱美と付き合うよ。なんか大事にしないといけないような気がするんだ、彼女を。おねえ、いいか?彼女と付き合っても」
予想したとおりの言葉が返って来た。
「いいよ。和也がしたいように、和也が思うようにすればいいよ」
「ありがとう、おねえ」
「ねぇ、和也」
「何?」
「もうお姉ちゃんとはしないの?」
菜穂子はそう言って、座っている和也を後ろから抱きしめた。
「他の子とつきあうんだぜ。いいのか?」
「いいのよ。わたしは、和也の恋人じゃなくて、お姉ちゃんよ。わたしは、いつも和也の近くにいるから。和也のしたいときにしたいことをしていいのよ。いつでも、どんなときでも。この口もあそこもお尻もおっぱいも和也が好きなときに好きなように使っていいよ。こんな姉弟は、だめ?」
「ううん」
和也は、振り向いて菜穂子に短くキスをした。
和也の顔が明るくなったのを見て、菜穂子は嬉しかった。
「和也、本人が目の前にいるのに、まだ写真を見てるつもり?」
そう言うと菜穂子は、和也の前で着ているものを脱ぎ全裸になった。
知美の家での興奮が蘇ってきて、椅子に座ったままの和也にお尻を突き出した。
「おねえ、ちょっといない間に、めっちゃすけべになったね」
「けっこう、いろいろあったのよ」
和也は、菜穂子の股間に顔をうずめ、クリトリスをなめた。
ほんのわずかな刺激に菜穂子はぴくっと反応した。
(いい、和也、いいよぉ、、好きにして…いいよ)
菜穂子は、和也から離れると、和也のペニスを取り出し、口に含み手でしごいた。
ついさっきの知美の嬉しそうな顔が浮かんだ。
「おねえ、そんなにしたら、すぐいっちゃうよ。でちゃうよ」
「いいの、出して…口に出して」
和也は菜穂子の頭をぎゅっとかかえ、のどの奥にまでペニスを突きさし、そこで放出した。
菜穂子は和也の肉棒をきれいにしてやると、和也に言った。
「ご飯食べた?何かつくるね」
全裸のままエプロンをつけた菜穂子は
(あーあ、また勢いであんなこと言っちゃったよぉ)
「あーあ、世話の焼ける子だわ、でも、しょうがないよ、終わったものは…」
エピローグ
「姉さん、驚かないでね。」
「何?雅紀さん」
「これ、見てくれる」
雅紀は姉の由香里に写真を見せた。
「どうしたのこれ?」
ウエディングドレスの菜穂子の横に雅紀が立っていた。
「菜穂ちゃん、2週間くらい前かな、うちにバイトに来たんだ」
「スタジオに?」
「ああ。で、モデルになってもらおうかと思ってるんだけど…だめかな?」
由香里は雅紀の問いには答えず、逆に雅紀にたずねた。
「あなたが声かけたの?」
「いや、彼女のほうから突然やってきたんだ。知美っていう彼女の友達が連れてきたんだけど」
「菜穂子は、あなたのこと知ってるの?」
「いや、俺も、最初は菜穂ちゃんだってわからなくて…。もう何年も会ってないからね、いろいろ、話してうるちに、弟がバレーをやってて優勝したって…、彼女がそう言ったのでわかった。和也のことは、姉さんに聞いてたから」
「ふーん。で、菜穂子も気づいたの、あなたのこと」
「いや、たぶん気づいていないと思うよ。10年くらい会ってないし、あの頃は彼女まだ小さかったから」
由香里は何か考え込んでいる様子だったが雅紀に
「ところで、この写真?」
由香里はさらりと話題を変えた。
「いえ、別に。ちょっと感動してもらおうかと…、どうです?」
由香里は、菜穂子のウエディングドレス姿に見入った。
「雅紀さん」
「はい?」
「菜穂子は、わたしにそっくり」
菜穂子は、顔は由香里ではなく、父親に似ている。
顔のことを言っているのではない。
「ですね」
雅紀が肯定した。
雅紀は、少し間をおいて話を続けた。
「いつだったか、いっしょに遊園地に行ったじゃないですか?覚えてますか?菜穂子、転んで、お尻が濡れちゃって、由香里さん、菜穂子のスカート持ち上げて、パンツをつるんて降ろして…。ドキッとしたのを今でも覚えてますよ。・・・・・あの時から、待ってたのかもしれない」
「そんな前から?」
「あの時、菜穂子がね、恥ずかしそうに俺の方を見たんですよ。その顔は今でも思い出せます」
「そう、ねぇ、雅紀さん」
「はい?」
「急がないでね、まだ17歳だから」
「どうかな、もうすぐ18歳だし…」
「菜穂子を、お願いね」
長い沈黙の後、由香里は独り言のようにそうつぶやいた。
Baby DollⅢ 菜穂子の憧憬 END
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