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りんの挑戦2-3
3.同じ格好の女
翌日、会社で渡された制服は、驚いたことに昨夜祐二のところで着たものと同じだった。
(祐二さん、けっこう、ここを覗いてたりして…)
着替えながら、りんは昨夜の祐二の表情を思い出して自然と笑みがこぼれた。
“そういう趣味なんだ”全く表情を変えずに祐二はそう言った。
表情を変えないことが可笑しかった。
(でも・・・・これ・・・)
その制服は、驚くほど昨夜のものと同じだった。
短めのタイトスカートに深いスリット。
さすがに昨夜着たものよりは浅かったが、それでも制服としては、深すぎるように思える。
(コスプレの衣装みたい・・・)
(祐二さん・・・・わたし、ここにいるわよ)
デスクに着くと、りんは、窓から隣のマンションの祐二の部屋を見上げた。
そんな都合よく覗いてくれるはずもない。
りんは、ブラインドが、祐二の部屋に向って斜め上の角度に開いていることに気がついた。
隣のマンションのせいで日差しは入ってこないが、普通は逆だ。
おかげで、ブラインドを上げなくても祐二の部屋が見えたが、りんは少し可笑しかった。
(覗きやさん、これは変よ)
午前中、りんは何度か、祐二の部屋の窓を覗いたが、朝からカーテンが引かれたままだ。
(興味はないってことかな・・・・)
りんは、思った以上に自分がショックを受けていることに驚いた。
(ただのお客さんなのに・・・・)
お客さんを好きになることはない。
それはりんに限ったことではない。
およそ、風俗関係の女性はみなそうである。
毎日のように店に会いに来てくれるのは嬉しいが、その人に会いたいと思うことはない。
お客さんと結婚する人も中にはいるが、愛していなくても結婚はできる。
午後、部屋に入ったりんは、また祐二の部屋の窓を見た。
今度は祐二がいた。
(祐二さん・・・・)
りんは、はやる気持ちを押さえながら、なるべく普通に上着を脱いだ。
白いブラウスに真っ赤なブラが透けている。
“同じ格好をした女性がいますから”りんは、昨日、祐二にそう言った。
そのおかげで、りんは30分も早く会社に来て、誰よりも早く着替えたのだ。
(同じ格好よ)
りんは、ブラウスのボタンを外した。
昨日祐二がくれた真っ赤なシースルーブラ。
(やだ・・・どきどきしてる)
個々のブースに仕切られているとはいえ、まっ昼間のオフィスだ。
りんの心臓は、高鳴った。
離れているので祐二の表情まではわからないが、まだ見てくれている。
窓際のりんのブースの横を通るものはいない。
りんは、窓に背を向けて、タイトスカートのすそに手をかけた。
150cmのパーティションは、小さな女性ならすべて隠れてしまう高さだ。
りんも頭が出る程度。オフィスでは、だれも立ち上がっているものはいない。
(だいじょうぶだわ・・・)
りんは、ゆっくりタイトスカートを持ち上げる。
上から見下ろす祐二にもはっきりとわかるように、お腹まで持ち上げ、むき出しのお尻を、心もち、後ろに突き出した。
(あ・・・・あ・・・あ・・・あああ・・・もうだめ)
自らとったポーズだが、想像以上に恥かしく、りんは、わずか数秒で、スカートを元に戻した。
振り返ると、祐二が笑っているような気がした。
突然、 デスクの上の電話がなった。
心臓が止まるほど驚いて、りんは、慌てて受話器を上げた。
「はい・・・」
りんは、まだブラウスのボタンを止めていない。
「どうしたの?データ来ないよ」
昨日の男性、風間の声だ。
午前中のデータは、午後一番に送信することになっていたのを忘れていた。
「すいません・・・ちょっと、コンタクトがずれて・・・・」
「そうなの、だいじょうぶ?」
「はい・・・すぐ送ります」
うつむいて、マウスを操作する視線の中に、自分の乳房が入った。
(やだ・・・・なんて格好・・・・)
データを送信し終えて、イスに座ろうとしてお尻に手をやった。
(ああ・・・・なんて・・・・)
深いスリットのせいで、タイトスカートの前は降りていたが、後ろはめくれたままだ。
(わたし、この格好で・・・・)
ようやく祐二が笑っていた理由がわかった。
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