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人妻あやの失敗1-4
4.まぁ、いいか
翌日、片付けは、ほんの数時間で終わり、同僚にお昼を誘われたが、あやは断った。
“仕事、終わったら、メールください”
すでに高志からメールが入っていた。
待ち合わせは駅。
ただ、あやの会社とは反対側の改札口だ。
会社の同僚には見られたくない。
あやは、わざわざ駅から離れた場所で高架をくぐって駅の反対側に出て、そこから駅に向かった。
「あやさん」
突然後から声をかけられて振り向いた。
高志だ。
「びっくりした」
「ごめん」
「ううん。こっちなの?」
あやは、今歩いてきた方に向き直った。
「うん。こっち」
あやは、高志の少し後を遅れないように急いで歩いた。
歩き始めて5分。
マンションの建ち並んだ住宅街に出た。
「こっちは、住宅街なのね」
「どうかな?この辺だけですよ」
「そうなの」
「着きました」
ちょっとしゃれた3階建てのアパート。
外から誰でも自由に入れる階段で3階まで上がった。
「どうぞ…」
高志に案内されて、あやは、中に入った。
入ってすぐ横にドアが二つ並んでいる。
「こっちがバスでこっちがトイレ」
高志が説明した。
「別々なのね」
「お風呂は、やっぱり、ちゃんとつかりたいから…」
狭い廊下の先が、高志の部屋。
「きれいに片付いてるわね」
「まぁ…寝るだけですから…どうぞ」
高志は、あやにソファに座るようにすすめた。
「すぐ食事でいいですか?」
高志はキッチンに向いながら、あやに訊いた。
「あら、わたしも手伝うわ」
「だめですよ。お客さんなんだから、座っててください」
あやは、エアマットのようなソファに座らされた。
8畳くらいだろうか?
小さなキッチンと小さなカウンターのような調理台兼テーブル。
壁際に簡易なパイプベッド。
他には、ラックがひとつとその上にノート型のパソコンが一台。
テレビもゲーム機もオーディオ機器もない。
片付いているというより、ものがないというべきか。
ただ、調理台の上は、ボールだの何だのが所狭しと並んでいた。
「料理が得意なの?」
「うどんだけね」
勢いよく湯切りをしながら高志が答えた。
「で、どうしてうどんなの?」
「僕、香川なんですよ」
「そうなの」
「関東って、うどん屋さんがないでしょ」
「そう?」
「そば屋でうどんを食べますよね」
「そう言えば、そうかも」
「駅にあるのも立ち食いそばでしょ」
「えっ、うそ、香川は立ち食いうどんなの?」
「いなかで、そば屋なんていう看板見たことないですもん」
「じゃぁ、おそばは、どうするの?」
「うどん屋さんが作るけど、たぶんほとんど売れない」
「そうなんだ」
「さぁ、どうぞ。いなかじゃ、引越しも年越しもみんなうどんですから」
「これ、引越し祝いってこと?」
「あやさんの引越しじゃないですけど、ご近所さんになったわけだし…」
「おいしそう、じゃぁ、遠慮なく…」
美味しかった。
プロも顔負けの味だ。
「美味しい。すごいわ。自分で打ったの?本当?」
あやは、子どものようにはしゃいだ。
「ごちそうさま」
食べるのは高志のほうが圧倒的に早い。
「お茶出すね」
高志は、食器を重ね始めた。
「ああ、後はわたしがやるから…」
あやは、慌てて立ち上がって、自分の食器をシンクに運び、洗い始める。
「いいよ、洗わなくても、お茶にしようよ」
「すぐ終わるから、今度はあなたが座ってて」
「コーヒー入れようか?」
「じゃぁ、お願い」
食器を洗うあやの後で、高志はコーヒーを沸かし始める。
「ほんと、おいしかったわ。今度はお返しに、わたしが何か作るわね」
「だめだよ、そんなの」
「どうして」
「あやさんに何か作ってもらっても、俺、うどんしかつくれないから、お返しできないよ」
「そんなこと…」
「それより、今、お願いがあるんだけど」
「何?」
「二人でキッチンに立ってると、新婚の夫婦みたいじゃないですか?」
「何言ってるのよ、わたしもうおばさんよ」
不意に後からぎゅっと高志に抱きしめられた。
「5分間だけ、新婚夫婦になるっていうのは?」
高志の声が耳元で響く。
「うん、わかった。でも5分よ」
「ありがと」
あやは、このままぎゅっと抱きしめられるだけだと思っていた。
だが、高志は、あやの身体を自分のほうに向けようとする。
あやが振り返ると、ぎゅっと高志に抱きしめられた。
息が出来ないほど強く…
(ああ…こんなの…)
まるで二十歳の頃に戻ったかのようなときめきだった。
「僕、あやさんみたいな感じ、大好きです」
(えっ、告白?)
「そぅお…ありがとう」
高志の顔がすぐそこにある。
あやの胸が高鳴った。
高志は、右手をあやの腰に回し、左手を背中からあやの後頭部に伸ばしてあやの顔を上げさせると、唇を合わせた。
(うそ?)
キスされるとは思ってもいなかった。
(どうしよう?)
あやには、なんの心の準備も出来ていない。
(そうか、それで、新婚夫婦って言ったんだ)
高志は、新婚夫婦になると言った。
夫婦ならば、キスもありだ。
拒まなくてもいい。
(やだ…どきどきしてる…気づかれる)
キスに興奮するなんて…全く何年ぶりのことか。
容赦なく、高志の舌があやの中に入ってくる。
夫婦なら、これもありだ。
腰に回った高志の手があやのお尻にさがる
これは…?
今度は、高志の手が、ニットのワンピースの上からあやの乳房に乗せられた。
薄いピンクのハーフカップブラ。
下から乳房をもまれると、すぐに乳首がカップから飛び出した。
その乳首を高志がワンピースの生地の上からつかむ。
これはだめだ。
「だめ、高志さん、はぁ…」
拒絶はしたが、抵抗はできない。
自分のあえぐ息があやは恥かしかった。
(やだ…わたし…)
高志の唇が、首筋へと移動する。
「お願い、高志、だめよ、やめて…」
「後3分」
(3分…3分だもの、まぁいいか)
あやは、体の力を抜き、すべてを高志にゆだねた。
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