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菜穂子の憧憬4-3
3.がんばって
部屋に入り、照明が点けられて菜穂子は驚いた。
壁には大きな黒板があり、教壇と机がいくつか置かれている。
それぞれが、けっこう使い込まれていて本物の教室のようだ。
反対側の壁は、一面が白い大きな布で覆われていた。
「そこに座って」
雅紀にそう言われて、菜穂子は見慣れたスクールデスクのイスに腰掛けた。
「それ学校の制服だろ。まさか学校でもノーパンなの?」
「いえ、そんなことないです。」
菜穂子は、慌てて否定したが、学校以外はノーパンだということを肯定したような言い方になっていることには気づかなかった。
「じゃぁ、どっかで脱いだってこと?ふーん、見られるのが好き?それとも見せるのが好き?」
「そんな…、違うんです。あのぅ、なんて言うか、その無理やりって言うか…」
「無理やり?って、知美に、なんか弱みでもあんの?」
「いえ、そんなんじゃないんです。」
まさか、弟とえっちしてるのを知られたからなんて言えるはずもない。
「そうか、無理やりってのが好きなのか?それとも知美が好きだとか」
「いえ。…ええ、まぁ。」
菜穂子は適当にうなずいた。
知美が好きということに関しては、あながち間違いでもなかったし、何より、もうこれ以上この話を続けたくなかった。
「で、ここへ来たのは、知美に誘われたから?」
「ええ、はい。」
「知美からここのこと何か聞いてる?」
「いえ、何も」
「じゃぁ、ちょっと説明しとこうか。モデルっていうのはここで写真のモデルをしてもらうっていうのが基本で、モデルはうちのサイトで紹介する。スタジオ限定、写真のモデル限定、顔NGっていう子もいるし顔出し、派遣OK、ビデオOK、中にはAVOKっていう子もいる。それは本人次第。こっちは何も強制はしないから安心して」
「顔NGって?」
「モデルさんとの契約で、ダメなところは写さない。顔に限らず、その人が写されたくないものが映ってる場合は、これも契約で修正したりぼかしたりする」
「お客さんは、それでもいいんですか?」
「予め、条件は説明するし、その条件で予め了解してもらってから撮影に入るからまず問題はないね」
「あのぅ、わたしも、その顔NGっていうのでもいいんですか?」
「もちろんかまわないけど」
それを聞いて菜穂子は、かなり気が楽になった。
(だいじょうぶかも…できるかもしれない。絶対に顔はNG)
「これから、何枚か撮るけどいい?」
「これは、何かに使うんですか?」
「いや、撮影の雰囲気を体験してもらうだけ、撮ったものはあなたにあげるよ。そういうことで、いいかな?」
「はい」
菜穂子が同意すると
「それじゃぁね、水着の前にその制服のまま撮らせてくれる?いい?」
雅紀は、ごく普通のデジカメを持って、それを構えながら菜穂子に話しかけた。
「ねぇ、そこに立ってくれる?」
菜穂子は、イスから立った。
「けっこう、大きいね。身長は?」
「167か8だと思います。」
「なんか、スポーツやってんの?」
「いいえ、今は。中学の時はバレーやってました。」
「ふーん、俺も昔はバレーやってたけど」
雅紀は190cm近い長身を折り曲げて、菜穂子の視線の少し下からシャッターを切り続けている。
「大きいですよね、どのくらいなんですか、身長?」
「もう一個、ボタン外して、机に手をついてくれる?…背はね、187かな、最近は計ってないけど…机に両手ついてみて。そうそう、ああ、顔は前ね。目だけこっち、カメラじゃなくて、レンズより少し上。そうそう。もっと、両脇閉めて胸を寄せてみて…うん、いい感じ」
雅紀は、菜穂子の質問に合わせてポーズの注文を入れ、それから返事をした。
雅紀が一方的に話し続けるので、菜穂子は口を挟めず、ポーズの注文に従うしかない。
(ああ、おっぱい見えてないかな?)
不安になって胸元を確認しようとすると、雅紀の注文が飛んだ
「ああ、うつむかないで。目線はこっち。…知美はバスケットだったよね」
「ああ、そう言ってましたね。知美とは中学が違うので、よく知らないですけど」
「手をまっすぐ上にあげて交差させて。…そう、中学は違うの?あなたはどこの中学?…あっ、もうちょっと、胸をそらして。そう」
「住吉中です」
「住吉かぁ、そう言えば、男子のバレー部優勝したよね、今年。…知ってる?」
「ええ、弟がバレーやってるんで」
菜穂子は弟のことが話せて少し嬉しくなった。
「へぇ、弟さんもバレーやってるの。…もう一個だけボタン外して、ブラ、片方だけ見せてくれる?…弟さんも大きいんだろうね」
雅紀は、あたりまえのようにブラを見せることを要求する。
雅紀が、優しく話しかけるので菜穂子の警戒心は和らぎ、同時に羞恥心も少し麻痺し始めていた。
写真をとられるのは初めてではない。
弟、和也の構えるカメラの前でもっと恥かしい格好をしたこともある。
菜穂子は、なにもためらう事なく普通に雅紀の要求に応じた。
「弟さん、身長は?」
カメラを構えたまま雅紀が訊く。
「弟の身長ですか?181cmだったかなぁ。もうちょっとあるかも」
そう応えながら、菜穂子はボタンを外してブラウスの前を広げ、ブラの右側を露出させた。
「そりゃ、凄いね。3年生?まだ、伸びてる?あっ、横向いてくれる?」
心なしか、雅紀の声の調子が変わったような気がしたが、菜穂子は言われた通り横を向きながら応えた。
「たぶん、伸びてると思います」
「そりゃ、楽しみだね。…こっちの手で少しだけスカートの横、持ち上げてくれる?」
「えっ、でも…」
「横だよ、横。足がすごくきれいなんで、もう少し上まで見せてくれないかな?」
(足、きれいなの?)
菜穂子は、ためらいながらほんの少しスカートを持ち上げた。
“横なら”と思って持ち上げたのだが、急に心臓の鼓動が激しくなった。
脈打つ音が聞こえるほどだ。
(どうして?)
自分でも驚いた。
「うーん、ごめん、もうちょっと、がんばって。あっ、顔はこっち。うつむかないで、もう少し、上げてくれる?がんばって」
不思議なものだ。
“がんばって”と励まされると、がんばってしまう。
菜穂子は突然襲ってきた羞恥心をこらえてスカートを持ち上げた。
ほとんど、腰のあたりまでむきだしになった。
いくら横でも、それだけ持ち上げれば、お尻も半分近く露出するし、前だってもうぎりぎりだ。
ただ、菜穂子にそれを気にする余裕がはなくなっていた。
菜穂子は、お腹の下のほうが熱くなってくるのを感じた。
(いけない、だめ…だめ、恥ずかしい)
「いいよ。はい、OK。後ろ向いて?」
(後?)
「だめ、後ろはだめです。わたし、あのぉ」
菜穂子は慌ててスカートを元に戻した。
「気を回さないで。お尻を出してって言ってんじゃないよ。後ろ姿を撮りたいんだ。そうね、なんなら、右手で軽くお尻押さえてくれる?」
(いやだ、私ったら…恥かしい。後姿を撮るだけなのに…)
「ごめんなさい。」
菜穂子は謝ると、言われた通り後ろを向いて右手でお尻を押さえた。
「もう少し、足開いて。その手、もっと下に持っていって」
極端にスカートが短いので、手を下げると、手が直接、太ももに触れた。
菜穂子は、自分の股間がどうなってるのか確かめたかった。
(きっと濡れてるわ、どうしよう?)
さっきの感じだと、濡れているに違いなかった。
菜穂子は、中指だけを少し伸ばして、そっと秘部に触れてみた。
ちょっと伸ばしただけの指に温かいものがまとわりついた。
(ああ、やっぱり)
「はーい、OK」
撮影になれてほぐれてきた菜穂子の身体が、急に元に戻った。
撮影がきわどくなって、また緊張しているのだろう。
息も少し荒くなっている。
「ねぇ、手、どけてみて。菜穂子のお尻、丸くてすっごく形がいいねぇ。見せたいって言う気持ちもわかるなぁ」
「見せたいって…、そ、そんなことないです」
雅紀にはっきり指摘されて、菜穂子の心臓の鼓動はさらに早く大きくなった。
「だめだよ、嘘ついても。シャッター音て麻薬みたいなもんでね」
そうかもしれなかった。
シャッターを切られると、どきっとする。
それが連続すると気持ちが静まらない。
どんどん気持ちが昂ぶっていく。
かすかに部屋の中に菜穂子の匂いが漂い始めていた。
「もう、ちょっと、がんばってもらおうかな」
雅紀は、もっと恥かしいポーズを要求した。
「そのままで、ゆっくり、前にかがんでみて…ゆっくりだよ、ゆっくり」
「だめ…です。見えちゃう」
「まだ、だいじょうぶだよ。見える寸前、ぎりぎりの写真を撮りたいんだ。がんばって」
まただ。
“がんばって”と励まされると、断れない。
菜穂子は、言われたまま少し前に体を倒した。
「見えて…ないですか?」
「見えてないよ。だいじょうぶ。もう少し、もう少し、そう、そう、がんばって」
(もう、だめ。見えたら、…見えたら、濡れてるの、わかっちゃう。早く撮って、はやく…)
すでに溢れる寸前、今にも太ももを伝って流れ落ちそうだった。