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由美子の背徳1-1
第1章
1.義兄
「もしもし、元木ですけど…ああ…珠美?」
珠美が直接電話に出た。
「ああ、由美子」
「あのさぁ、数学、わかんないの…教えてくれない?」
「うーん…ごめん、ちょっと無理かな」
中学3年生の由美子は、定期テストを控えて、苦手の数学に手こずって、親友の珠美に電話をしたのだが、意外にも珠美に拒否された。
「だめ…なの…」
予想外の返答に、由美子は戸惑った。
「ごめん…ちょっと、今、彼が来てるんだ」
「あっ…そういうこと…じゃぁ、しょうがないね…」
「ごめんね」
由美子は、急いで電話を切った。なぜか、みっともなく感じられて、それが腹立たしかった。
珠美が、彼と…勉強をしているはずはない。
(テスト中だっていうのに…しかも、朝っぱらから…)
日曜の午前中ではあるが、もうすぐ昼だ。
もう朝っぱらというほどの時間でないことは由美子にもわかってはいたが…。
由美子は、数学の問題を持って、自分の部屋を出た。
「お兄ちゃん、…いい?」
由美子は、輝夫の部屋のドアを少し開けて、外から訊いた。
「ああ、いいよ」
「ちょっと…数学教えてくれないかなぁ…明後日、試験なんだぁ」
そう言いながら、由美子が輝夫の部屋に入ると、輝夫はベッドで横になっていた。
「寝てたの?」
「いや…起きた」
輝夫は、医学部に通う大学生だが、このところ忙しいようで、家に帰って来ても部屋に閉じこもりっぱなしだ。由美子はお兄ちゃんと呼んではいるが、実の兄ではない。
由美子の母は、由美子が9歳のときに離婚。12歳の時に看護婦として働いていた元木医院の院長、元木泰造と再婚したのだ。
輝夫は、病気で亡くなった前妻の子で、由美子より6歳上だ。
「ごめん…起した?」
「いいんだ。起きるとこだったんだ」
輝夫は、180cmの長身で、顔もスタイルも悪くはない。
しかも医者の卵だ。
由美子には憧れのお兄ちゃんだったが、輝夫はと言えば、突然、やって来た妹とどう付き合ったらいいのか…相変わらず、他人行儀な物言いだった。
「いいの?」
「ああ、いいよ。…座って…」
輝夫は、ベッドの脇にある小さなテーブルに座ると、その横にクッションを置いた。
由美子は輝夫の横に並んで座って、テーブルの上に問題集を広げた。
「これ?」
「うん…よくわからないんだ、そこ」
「因数分解だね」
「うん。そう」
輝夫は、レポート用紙を取り出し、由美子が印をつけてある問題を見ると、由美子にシャーペンを渡した。
いつまでもよそよそしい輝夫となんとか話がしたかった由美子に、勉強を教わるという口実はもってこいだ。
実際、数学が苦手だったし、それはまさに好都合な思い付きで、輝夫は、由美子の期待通り、丁寧に教えてくれた。
輝夫の説明を聞きながら、由美子は、輝夫の口元をじっと見ている。
「そうじゃなくて…貸して」
輝夫は、由美子の手からシャーペンを取った。
手が触れる一瞬、由美子の胸が、どきっと音を立てる。
「こういうこと…わかる?…じゃぁ、後は計算。やって…」
輝夫は、また由美子の手を取り、シャーペンを返した。
「これで…あってる?」
答えを出し、由美子が輝夫に訊く。
輝夫の顔が、由美子のすぐ横に来て、由美子の書いた答えを覗き込む。
「ああ、あってる」
「ありがとう…助かっちゃった」
「ああ…試験、がんばれ」
輝夫はそっけない。
すぐに追い出されそうだ。
「ねぇ、起きるんなら…コーヒーいる?」
「コーヒー?…って、何、由美子がいれてくれるの?」
「ううん。缶コーヒー…」
「あっそう。…もらおうかな」
「わかった。じゃぁ、持ってきてあげる」
由美子は、立ち上がると、座っている輝夫の目の前を通った。
由美子は、太っているわけではない。
体脂肪率も標準以下だ。
体重も、身長から考えれば、むしろ軽いくらいなのだが、太ももとお尻は、かなりボリュームがあった。
それが、輝夫の目の前を移動した。
「由美子」
輝夫は、キッチンに向った由美子に呼びかけた。
「なーに?」
「俺がそっちにいくから、持ってこなくていい」
「そう。わかった」
輝夫が、遅れてリビングに行くと、由美子が缶コーヒーを持ってきた。
「はい」
「ありがと…お母さんは?」
「病院」
「ふーん?…由美子、お昼はどうする?」
「なんか、適当に…お兄ちゃんは?…なんか作ってあげようか?」
由美子は、母が働いていたため、料理は得意だ。
「頼んでいいか…腹が減った」
「そう…じゃぁ、わたしもお昼にしようかな」
由美子は、飲みかけの缶コーヒーを置くと、傍らに置いてあったエプロンを身につけた。
胸元が大きくあいた薄いブルーのカットソーに淡いピンクのミニのフレアスカートの由美子が、母親がいつも使っている濃い紫のエプロンを身につけると、両肩にほんの少し、カットソーが見えるだけで、そのほとんどが、エプロンに隠れてしまう。
濃い紫のエプロンは、由美子の太ももの白さを際立たせた。
「ちょっと、待っててね、すぐ作るから…」
由美子は、冷蔵庫を覗いたが…ミニのスカートから、少しだがお尻が覗いている。
スカートと同じ淡いピンクのショーツだった。
「シャワー浴びてくる」
輝夫は、おもむろに立ち上がり、バスルームに向った。
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