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沙耶の倒錯5-4
「信也…どうして」
沙耶は、信也に向かってどう言っていいのかわからない。
「なんか充が怪しいから、後をつけたら…、充は、もしかしたらって思ってたんだけど、まさか、健治と康治もいるとは思わなかった」
信也は沙耶に向かっていったが、健治と康治が答えた。
「いや、俺らは、今日初めて来たんだ」
「初めても百回目もいっしょだよ」
「でも、どうやって入ったの?」
信也はこの部屋の鍵を持ってはいない。
「僕が開けました」
充が答えた。
「信也からメールが入って…」
「怒った?」
沙耶は、信也に聞いたが、信也はそんなふうではない。
「そんな。怒ったりしないですよ」
その返事がいいのかわるいのか。
恋人の気分でいた沙耶には少しがっかりな返事ではあった。
「姉さんも大事だけど、こいつらとは、ずっと友達ですからね…」
信也は、一応気を遣って言葉を足した。
「姉さん」
「何?」
「姉さん、もしかして大勢のほうがいい?」
信也はストレートに訊いてきた。
沙耶は、つい今しがたの興奮を思い出した。
「そうね。大勢もいいかも」
そう言って沙耶はすぐに付け足した。
「ああ、でも、もういいわ。この4人だけ…」
信也も充も健治も康治も幸いにも沙耶好みのかわいい系の少年だ。
「えっ、じゃぁ僕らもいいの?」
健治と康治が同時に言った。
沙耶は、うなずいた。
ブラインドサイド
「充」
授業が終わって、充のところに信也がやって来た。
「ん?」
「おじさんから電話があって、姉さんとこのマンション売れたって」
「そう」
「でさ、加奈はもういいよ。加奈の彼氏が、前のアパートの敦子の抜けたところ埋めてくれたから…」
「そうかぁ?」
「ああ、お前無理してんだろ?」
「何が?」
「この前のライブ見たよ」
「いたの?」
「ああ。…女装、加奈を狙ったんだろ?」
「まさか。加奈の彼氏と同じことやっても無理だろ。それにそういうわけじゃなくて、みんなであれでやっていこうってことになって…」
「ふーん。いいのか、あれで?」
「どうってことないし、姉さんには、うけたね」
「へぇ、そうか」
「俺達じゃないけど加奈もなんとかなったけど、高校生は、このへんで打ち切りだ。だいたい敦子みたいなのがそう何人もいるわけないし…」
「僕もそう思う」
「それに高校生じゃ、ばれるとやばいし…」
「だよね」
「おじさんとこも、これからは、人妻で行くんだって」
「安易だなぁ、姉さんみたいな人だってそう何人もいないだろうに…」
「まぁな。でも、おじさんの知り合いが出会い系のサイトやってんだけど、登録者を回してくれるらしいんだ」
「どういうこと?」
「実際に登録した人妻の情報を教えてくれるらしい」
「ごめん、意味不明だ」
「出会い系ってさくらがいっぱいいるんだ。さくらじゃない実際の登録者を教えてくれるってこと」
「でも、ただ教えてくれたって…」
「後は、俺達の問題。俺達の他にもいくつかチームがあるって…」
「高校生?」
「高校生は俺達だけ、後は大学生とか、フリーターとか、ホストとかって言ってた」
「ホストも?」
「ああ」
「だって、あいつら月に何百万とかって稼いでんじゃないの?」
「そんなやつは、ほんの数人だって、稼げない奴らのほうが多いんだってよ」
「そうなんだ」
「それに、プロじゃなくて、高校生がいいっていう人もいるかもしれないだろ」
「まぁ、そうだけど。でも、こっちだって好みってのがあるよ。みんな、姉さんみたいな人ならいいけど…」
「仕事、仕事」
「だからさ、プロはそう思ってこなすんだろうけど…」
「甘いなぁ、お前は…。金もらってる以上、俺達だってプロだろ」
「そりゃそうだけど…、じゃぁ、でぶった50才のおばあちゃんが来ても信也できるの?」
「パス」
「ほらみろ」
「そういうのは、プロに任そう」
「僕らだってプロだって…。自分が言ったんだろ」
「忘れてくれ。昔の話だ…。あの頃は俺もまだ若かった」
「はいはい、わかったよ。それよりさ…」
充が話題を変えた。
「健治たちが、姉さんを紹介してって…」
「またかよ。あいつら自分で探せっての…」
「よく言うよ。信也だって、たまたま向こうからやってきただけじゃん」
「確かに…」
「いい?紹介して…」
「あっ、そうだ。悪い、話し変えるけど、朝さ、替わってくれないか?」
「朝って?」
「電車さ。さすがに毎日だと…」
「そうだね。僕なら、姉さんもあんなことにはしないかもね。でも、姉さんに何て言うの」
「今度、いっしょに行こうか?」
「どこへ?」
「姉さんのとこ」
「いいの?」
「お前が怪しくて俺が後をつけたってことにして…」
「それ、健治たちも同じこと言った」
「4人いっしょに行くか…」
「いいの?」
「朝の痴漢は、あいつらのほうが似合ってる」
「だね」
「おい、何話してたんだ?」
健治と康治がやってきた。
Blind Side 沙耶の倒錯 END
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