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知美の恋人2-2
2.大腿四頭筋
色白の佳美の太ももに、薄くなってはいるが、タツオという文字が残っていた。
名前は両方の太ももに書いた。
辰夫は、佳美の太ももに手を入れてもう一方の足の内側を自分のほうに向けた。
がに股になる。
人に見せられる格好ではない。
真っ白な太ももがうっすらとピンクに染まってきた。
「上も」
辰夫は事務的な声で命じた。
乳房も見せろということだ。
佳美は、プルオーバーのセーターを脱ぎ、キャミソールは肩紐をずらして下に落とした。
背中のホックを片手ではずして、もう一方の手でブラを乳房に押し当てたまま、少し上にずらして乳房の下のほうに書かれたタツオという文字を見せた。
辰夫は立ち上がって佳美の前に立ち、乳房を押さえている佳美の手を取った。
ゆっくりと佳美の手を乳房から離す。
押さえつけられていたブラがだらしなく垂れ下がる。
辰夫は、ブラを佳美の腕から抜いた。
40近いが、佳美の乳房は、まだつんと上を向いている。
乳首の先端が、辰夫のシャツに触れた。
小柄な佳美と辰夫では30センチ近い身長差がある。
辰夫は、佳美のあごに手をあて、佳美の顔を上に向けた。
「口には、書けなかった」
「誘われたけど、会わなかったの」
「信じるよ」
辰夫に折れるほどきつく抱きしめられた。
辰夫の唇が佳美の唇に重なる。
立って、抱きしめられながらのキス。
こんなキスは、20代の頃以来だ。
佳美は、自分から少し口を開いて、辰夫の舌を受け入れた。
「きゃっ」
不意に辰夫に抱き上げられた。
佳美は辰夫の首にしがみつく。
お姫様だっこなど、生まれて初めてのことだ。
ベッドまで数メートル。
さほど逞しくは見えない辰夫だが、軽々と佳美を運んだ。
「消すよ」
辰夫は、ティッシュにシンナーを含ませて佳美の体の文字を拭いた。
冷たい。
ティッシュを当てる度に、佳美の体がピクンと揺れる。
シンナーのにおい。
佳美が小さく咳き込んだ。
「消えたよ」
「シャワー浴びていい?」
「どうぞ」
バスルームで佳美は、消えた文字の痕を探した。
なんとも言いようのない気持ちだった。
消されて初めて、佳美は、その文字を三日間、消えないように大事にしてきた自分に気づいた。
「佳美さん」
ドアの向こうで辰夫の声。
「はい」
「ごめん。手を洗いたいんだ」
洗面台は、バスルームの中だ。
「どうぞ」
ドアが開いた。
「ごめん。シンナーが臭くて…」
「シャワー浴びたら?」
「そうしたいんだけど…」
「わたし出るから…」
辰夫の横を抜けてバスルームを出ようとする佳美に辰夫の腕が巻きついた。
「ばか、濡れるわよ」
「脱がせてくれないか。シンナーの匂いが服にうつる」
「わかった」
佳美は、辰夫の服を脱がせた。
ゆったりしたスウェットの下から引き締まった精悍な肉体が現れた。
佳美は驚いた。
服を着ているときは、むしろ痩せている方だと思っていた。
“鋼のよう”とはこのことだ。
辰夫の胸を叩けば、カンと金属音がしそうな感じだ。
「何かスポーツしてるの?」
「高校までは…」
「何してたの?」
「ラグビー」
「ラグビー?」
「ふーん」
「下も脱ぐ?」
「ああ」
佳美は辰夫の下半身も見たくなった。
性器ではない。
太ももだ。
佳美は、パンパンに張った太ももが好きだ。
今の男も、学生時代はアメフトをやっていた。
短大を出て、ホテルに就職した佳美は、親の会社でアルバイトをしていたその男と知り合った。
オーナーの息子だとは知らなかった。
中年になった今は昔ほどではないが、それでも別れた夫よりははるかに締まった身体をしている。
佳美は、辰夫の前にしゃがんだ。
ベルトをはずし、ホックをはずし、ジッパーを下げ、ズボンを下ろす。
佳美が思った通りの太ももが現れた。
ほんのわずかなたるみもない筋肉。
大腿四頭筋。
いつだったか、人体図鑑で調べた。
佳美にとって、男らしさとは、大腿四頭筋と上腕二頭筋、そして大胸筋だった。
ボディビルダーのように不必要に太った筋肉は気持が悪い。
より早く、より強く動くためにぎりぎりまで絞られた筋肉。
佳美は、思わず、辰夫の裸の太ももに手を当てた。
「太い」
照れ隠しのように佳美がつぶやいた。
「普通だろ」
トランクスタイプの下着だが、太ももに余裕がない。
佳美は、そのトランクスも引き下げた。
辰夫のペニスは、大きくなりかけているのか、それとも普段からこのサイズなのか、だらんと下に垂れているが、かなり大きかった。
佳美は、辰夫の顔を見上げた。
目尻が少し下がった優しい顔からは想像もできない身体。
佳美は、辰夫のペニスを握った。
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