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ボディゾーン・美菜子の恋
この作品は、官能小説の部屋さんに投稿した「ボディゾーン」を改訂したものです。
Body ZoneⅠ
ボディゾーン・美菜子の恋
作品概要
打たれても打たれても、ただひたすら前に出る男。
ボディしか打てない不器用な男。
プロボクサー、工藤俊哉は、そう呼ばれた。
顔を打たれ、顔をぱんぱんに腫らしながらも頑なにボディーを打つ俊哉。
試合後はきまって入院だ。
ただ、それもこれが最後。
網膜はく離。
ボクシング人生にピリオドを打つときが来た。
実家は写真館。
デジカメの普及で斜陽産業となったが、カメラマンとしての腕は確かだ。
食っていくぐらいの仕事はある。
退院した俊哉は、一軒のスナックに入る。
店の名は、セントジョアン、変な名だ。
小さな店のカウンターに女がいた。
リングサイドでじっと自分を見ていた女。
名前は、美菜子。
小さな女だ。
美菜子は、久しぶりの酒に酔った俊哉を、家に招く。
荒々しく美菜子を責める俊哉。
美菜子はその全ての要求に応じた。
ふしぎな女だ。
不思議な女、美菜子にのめりこむ俊哉。
魅入られたように、美菜子を抱き、美菜子を責める。
責めたくなる女というのがいる。
美菜子がそうだ。
かつて同じ感覚を味わった女がいた。
その女の名は亜希。
10年前、彼女は俊哉の通う高校の教師だった。
離婚した亜希が俊哉の前に現れる。
昔を背負わされるのはいい気分ではない。
スタートからやり直すのは、今さら気が重い。
次の一歩を踏み出すのが億劫だ。
俊哉は、悪戯に美菜子や亜希や、SMクラブの店の女、理沙を責める。
責めても責めても満たされない。
責めても責めても倒せない。
女ひとり、倒せない。
俊哉は今まで鉄板のように固い鍛えられたボディを打ち壊し、彼らをリングに沈めてきた。
自分もまた誰よりもタフで勇気のある男のはずだった。
ただの思い上がり。
たんなる独りよがり。
自分の目の前にいる小さな女。
無抵抗で、されるがままのこの女。
タフとはこの女のことだ。
亜希には子どもがいた。
別れた夫の子ではない。
子供のころの自分と同じ目で俊哉を見ていた。
不器用で、ただひたすら前に出るだけのボクサー。
そして、誰よりもタフで勇気のある男。
前に行くにも後ろに戻るにも、俊哉には取り戻さなければならないものがあった。
俊哉は再び、リングに立った。
登場人物
工藤俊哉 28歳 日本ライト級2位のボクサー
柏木美菜子 26歳 スナック セント=ジョアンのママ
中川祐二 俊哉の後援会の会長。俊哉の父親、重雄と知り合い。
佐々木亜希 38歳 俊哉の高校の元教師。篠塚と別れて旧姓に戻っている。
佐々木拳人 10歳 亜希の子ども
元木由美子 28歳 俊哉の同級生。医者。
滝川理沙 20歳 美菜子を慕うSMクラブの女
篠塚 誠 亜希の元の夫。市議会議員。
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