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由美子の背徳6-9
エピローグ
夜遅く美由紀が帰ると、由美子が居間にやってきた。
「お母さん、これ、お母さんの写真」
由美子は、こっそり持っていた母の写真をテーブルの上に置いた。
「由美子…」
「きれいよ。お母さん」
何か言いかけた美由紀の言葉を由美子がさえぎる。
美由紀は、驚いて由美子の顔を見つめた。
「ううん、嘘じゃないわよ。本当にそう思ってるの」
「ごめんね。お母さん、こんなで…」
美由紀は、写真を裏返した。
「わたしね。お母さんがよくわからなかったの」
「あいまいで、はっきりしなくて、いつも誰かの言いなりで…」
「でも、なんか…わかったの」
「由美子…彼氏ができたのね」
由美子は黙ってうなずいた。
「お母さん…縛られると、どんな感じ?」
「どんなって…」
「痛いわよね」
「そうね。痛いわ…」
「気持ちよくなるの?」
美由紀はしばらく考えた。
「どうかしら?痛みは痛みのままよ。気持ちよくはならないわ」
「じゃぁ、ずっとただ我慢してるの?」
「我慢?…そうねぇ、そうかもしれないわね」
「どうして?いやって言えないの?」
「いやじゃないのかもしれないわ」
「痛いのが好きなの?」
「ううん。嬉しいの」
「痛いのが嬉しいの?」
「ううん。好きな人を喜ばせることが出来るのが嬉しいの」
「男って、それで喜んでるの?」
「さぁ、それはわからないけど、わたしは、好きな人にしたいようにさせてあげたいの」
「ふーん」
由美子の表情が和らいだ。
「あなただって彼が喜んでくれれば、嬉しいでしょ?」
由美子はうなずいた。
「そうだね…それでいいんだね」
「由美子の彼も由美子を縛るの?」
「ううん。でも、いつか…そうなるかも…」
「お母さん、わたしが嫌い?」
「どうして?」
「ううん。ちょっと、ひどいこと言ったし…」
「そんなことないわ。お母さんこそ由美子に…」
「いいの。お兄ちゃんとは仲直りするよ。兄妹だからね」
「そうね」
「お母さん」
「何?」
「由美子、お母さんみたいになってもいいな」
「由美子…」
「おやすみなさい」
「おやすみ…」
美由紀は、由美子の背中を見ながら、すーっと肩が軽くなったような気がした。
Body ZoneⅢ 由美子の背徳(インモラル) END