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菜穂子の憧憬4-6
6.私は私
(恥ずかしい、何で泣いちゃったんだろう)
菜穂子は、恥ずかしい写真を撮られたことより、雅紀の前で泣いてしまったことを後悔していた。
“見せたいくせに…”
知美の言葉がよみがえった。
(そんなことない)
知美の言葉を打ち消しながらも、泣いてしまった理由は、菜穂子にはなんとなくわかってはいた。
家に帰ると、和也はもう帰っていた。
「ただいま、和也、ご飯食べた?」
返事はない。
食卓にはお皿に盛られた炒飯が置かれていた。
早く帰ってきたので自分でつくったんだろう。
和也も簡単なものなら自分で作る。
特に炒飯は得意で、菜穂子は和也の作った炒飯が好きだ。
食べたら…たいてい、寝ている。
部屋を覗くと、思ったとおり和也は爆睡していた。
(めっちゃ食べて、すぐ寝て、それで太らないんだから、むかつくわ)
菜穂子は、和也のつくった炒飯を持って自分の部屋に入ると、パソコンを立ち上げ、着替えた。
習慣になっている一連の行為だ。
炒飯を食べながらメールチェック。
何件かに返信を終えると雅紀に渡されたデータCDを取り出してセットしたが、すぐには開かず、とりあえずお気に入りのサイトを一回りする。
菜穂子の中ですぐにでも見たいと言う気持ちと恐さが混在していた。
(見てみよーかな)
菜穂子は、やっとファイルを開いた。
莫大な数のサムネイルが並んだ。
(すごい、こんないっぱい撮ったんだ)
スライドで流す。
制服姿の自分がいた。
(雅紀さんが欲しいっていってくれたやつだわ)
胸を寄せて乳房がほとんどブラからはみだしている写真。
(うわぁ、こんなに胸が出てる・・・)
手をまっすぐ上にあげて胸をそらして上を見ている写真。
(あっ、見えてる…恥ずかしい)
背伸びをして胸をそらしているので、スカートは持ち上がり、股間が露出してヘアが写っている。
横だからって言われてスカートを持ち上げた写真は、腰までむきだしになり、お尻も見えていた。
(だいじょうぶって…、何が?お尻も見えてるじゃない、大嘘つき!)
写真を一枚一枚見ていると、撮られていたときの羞恥が、再び湧き上がってきた。
(次は、お尻だわ)
由香里の予想通り、短いスカートは全くお尻を隠しきれず、お尻の下半分が露出していた。
晒されたそのお尻から股間へと手を伸ばしている写真。
(手で隠してる方がよっぽどエッチだわ)
そして、体を前に倒し、完全にお尻を晒している写真。
(雅紀さん、これで、よく“見えてない”なんて言ったわね)
水着の写真にいたっては、全裸よりエッチだった。
菜穂子は、まっすぐ見られなかった。
(この格好を、ずっと見られてたんだ、恥ずかしい…)
鏡に映った股間のアップが映し出された。
(やっぱり、あーあ、これじゃ裸と同じ、ううん、もっとひどいわ)
薄く、しかも股間に食い込んだ水着は、ただの一筋の紐にすぎなかった。
むしろその紐のために菜穂子の愛液にまみれた肉襞は左右に大きく盛り上がり、なにもつけてない状態より、はるかにいやらしい画像になっていた。
(これじゃ、変態。ノーパンだったし、こんな格好で…その上、自分で足を開いちゃったし、…それに、感じてるし)
いつのまにか、菜穂子の頬にまた、涙がこぼれていた。
画面は最後の画像で止まった。
ソファで足を広げ、股間を晒し、うつむいた写真。
しばらく菜穂子は、その画像をながめ、そしておもむろにファイルを閉じた。
(終わったものはしょうがない。こぼれたミルクはもどせない。今日は今日、明日は明日、私はわたし)
落ち込んだときの菜穂子の決り文句。
菜穂子は自分では普通だと思っているのだが、人とはちょっと違う反応をすることがよくあった。
タイミングが遅れたり、妙なところで感動したり、それでよく人に笑われるので、いつのまにか外では無口になった。
そこそこ可愛らしく、スタイルもよく、頭もよかったため、けっこう男性にはもてたが、同性にはねたまれる。
中学の頃は、いじめをうけたこともある。
そんなとき、いつのまにかその言葉を口にするようになった。
高校に入って、そこが進学校でもあり、同じ中学の出身者がほとんどいなかったせいもあって、もういじめを受けることもなくなっていたが、今でもそれを回復呪文として使っていた。
(シャワー浴びよう)
いつもより長くシャワーを浴び続けた菜穂子は、いくぶん気分が回復した。
全裸にバスタオルを巻いたままのいつもの格好で髪を乾かしながら、漠然と雅紀のことを考えていた。
(雅紀さんもバレーやってたのか。もてたんだろうな、きっと。あっ、だめだ。またループする)
菜穂子は、また気持ちが暗くなっていくのを感じ、雅紀のことを考えるのをやめた。
(そうそう、うちのスーパーエースは、もう、起きたかな?)
菜穂子が弟、和也の部屋を覗くと、あいかわらずの爆睡状態だ。
全国大会に向けて練習がきつくなっているせいか、いったん眠ると、なにがあっても起きない。
(おいおい、まっぱじゃない)
なにか思うところがあるんだろう、和也は寝るときに冷房を制限している。
そのため、夏はパンツ一枚で寝ているのだが、今日はそのパンツすらつけていない。
菜穂子はベッドから落ちてしまっているタオルケットを拾うと、それを和也にかけた。
自然と和也の股間に目がいく。
(かわいくなってる)
かわいくなってるわけではなく、それが普通の状態なのだが、大きいときのほうを見慣れているせいか、何かべつのもののように感じた。
菜穂子は、和也を起こさないようにゆっくりとそれを握った。
(あったかいし、ふにゅふにゅしてて、なんか、気持ちいい)
菜穂子は、思わず顔を近づけてそれを頬にあててみた。
(寝てても、おっきくなるのかな?)
菜穂子は寝ている和也のペニスを咥え、和也を起こさないように音をたてないようにしゃぶり始めた。
この状態で和也が目を覚ますとしたら、それは音ではない別の刺激だと思われるが、菜穂子の思考は、いつもどこか変だ。
和也のペニスは菜穂子の口の中でみるみる大きくなっていった。
(はやっ、こいつ、本当、すけべだなぁ)
菜穂子は、自分のことは完全に棚の上に置いてしまっていた。
(ふーん、まだ、起きないか、こいつ)
和也にまったく目を覚ます気配がないのを見ると、菜穂子は自分の部屋からコンドームを持ってきた。
(やっちゃうぞ)
既に完全な状態にはりつめた和也のものにコンドームをかぶせると、菜穂子は和也の上にまたがり、それを自分の中に導いた。
(どうせ、ノーパンで歩いて、カメラの前で足を広げる女ですよ。同級生にだって、知らない痴漢にだって触らせちゃいますよ。寝ている弟だって平気でやっちゃいますよぉーっだ)
誰に言ってるのか、菜穂子は自虐的な論理を一方的に展開して、自分の行為を正当化した。
(和也、起きてもいいけど、まだ、いっちゃだめだぞ)
勝手なことを思いながら、菜穂子は腰を動かした。
同時に自分で自分の乳首をつまんだ。
「うっ」
(気持ちいい、気持ちいい…いい…いい)
菜穂子は、和也が自分に合わせて腰を動かしていることに気づいた。
(起きてるじゃん)
「和也、いい?気持ちいい?いっていいよ、出していいよ、出して」
菜穂子が前のめりに和也にかぶさると、和也は下から菜穂子を抱きかかえ、さらに腰を動かし放出した。
「起こしちゃった?」
「起きるだろ、普通」
「ごめん、でも、気持ちよかったから許してくれる?」
「なんだ、それ?」
「姉弟なんだから、固いこと言わないで」
「あのさぁ、姉弟で関係するのも問題だと思うぞ」
「和也、嫌い?お姉ちゃんのこと」
「そんなこと言ってないだろう。変だぞ、何かあったのか?」
菜穂子は和也の問いには答えず、またしても強引な論理を展開した。
「和也、わざと裸で寝て、お姉ちゃんをさそっただろ、正直に言え」
「姉貴に襲われたくて裸で寝る弟がいるか?って言うか、だいたい、何で俺の部屋にいるんだ?って、それより、重いよ」
「重いって?失礼な、重くないわよ、わたし」
「そういう問題じゃないだろ」
「冗談よ」
菜穂子は和也から離れると、軽くキスをして自分の部屋に戻った。
(終わったものはしょうがない。こぼれたミルクはもどせない。今日は今日、明日は明日、私はわたし)
菜穂子は、もう一度呪文を唱えて、ベッドに入った。