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おんな
おんな
思い出そうとして思い出せないことがある。
それまで、覚えていたはずなのに、
思い出そうとした瞬間に、どんどん形が崩れていってしまう。
昔、ある男とつき合っていた。
優しい人だったという印象以外に何も思い出せない。
優しい人が好きだったのに・・・
彼は優しい人だったはずなのに・・・
何故別れたのか、どこで、何て言って別れたのか・・・
何も思い出せない。
どうして、なにも思い出せないんだろう。
ひどいめにあったわけではないのに・・・。
楽しかったはずなのに・・・・
いつだったか、誰かに
「優しいだけではね・・・・」って話したことがある。
なにを訊かれてそう答えたのかは忘れた。
わたしを、“俺の女”と呼ぶ男がいた。
わたしは・・・おんなという役割を果たす彼の持ち物だった。
おんなを求められれば、それに全て応じた。
わたしが一緒に暮らした男だ。
優しい男ではなかった。
わたしは、浮気は好きではない。
ただ、仕事で、男に抱かれることはある。
その男は、わたしを、よく他の男に与えた。
仕事でもないのに、他の男に抱かれるのはいい気持ちではない。
でも、もう慣れた。
わたしは道具だ。
おんなという道具だ。
飽きられないようにと、ただ願うだけだ。