スポンサーサイト
新しい記事を書く事で広告が消せます。
亜希の反抗2-6
6.それだけは自信がある
「どうする?」
俊哉は、亜希にきいた
「何?」
「いや…、がんばって帰る?」
「そうね。すぐにやむ雨じゃないし、このままずっといるわけにもいかないし…」
奥の部屋の窓にあたる雨音はさらに強くなってきていた。
「いてもいいよ。さっきのようなことは、もうしないし、俺はスタジオで寝てもいいから」
「でも…」
「いなよ。もう、外に出るの無理だよ。…なんか食べる?」
「ああ、そうね。何かあるの?私が作るわ」
「作るっていうほどのものは、ないよ」
俊哉は、カップヌードルを持ち出してきたが、亜希は、立ち上がると冷蔵庫をのぞいた
「ホント、何もない」
「まぁ…そう言われても…」
「だいじょうぶよ。待ってて。…あっ、コーヒーいれて…って、停電じゃだめね」
「大丈夫だよ。電気じゃないから」
亜希は、ストッカーの中にあった、スパゲティーとツナ缶…今日がぎりぎりといった感じの食パン、冷蔵庫にあった唯一まともなベーコンと冷凍野菜、卵とを使って、ツナのサラスパとサイコロトースト、ベーコンエッグを手早く作った。
「コーヒー入ったよ」
キッチンに俊哉がコーヒーを持ってきた
「ありがとう。そこ、置いといて」
「ふーん、先生、料理できるんだ」
「料理って言うほどのものじゃないでしょ、これは…。だって、何もないんだもの」
「そう、何回も言わなくても…」
「工藤君、いつも何食べてるの?」
「何って?まぁ…適当に」
「だめじゃない。ボクサーがそんなじゃ…朝とか、ちゃんと食べてるの?」
「まぁ…でも、食べてたら、遅刻するし…」
「うそ、ほとんど毎日遅刻してるって、武市先生言ってたわよ」
「授業には間に合ってますよ」
「だめよ。ちゃんと早く起きて、朝ご飯も食べないと…」
「できれば…」
俊哉の声が、低く響く。
亜希は、俊哉に母親がいないことを思い出した。
(いけない…私、…あああ、ひどいこと言っちゃった)
亜希は、俊哉の表情を確かめようとしたが、暗くて、見ることはできず、急いで、笑顔を作って明るく話しかけた。
「ごめん、ごめん、できたわ。さぁ、いっしょに食べよ」
「すごいじゃん」
「そんな悲しいことを…こんなの見て感激しないでよ。今度、もっとちゃんとしたの作ってあげるわ」
「食べていい?」
「いいわよ…あっ、コーヒーおいしいわ」
「まぁね。それだけは自信がある」
俊哉はにこっと笑った。
亜希は、俊哉の“それだけは…”が気になった。
(どうして、もっと早く気づかないかなぁ、ばか)
亜希は、普通の家庭なら、当たり前のこと、という感じで俊哉に話してしまったことを後悔した。
亜希が黙ると、もともと口数の多くない俊哉は、自分からは話しかけない。
急に訪れた沈黙に、亜希は、慌てて言葉を捜したが、なかなか見つからず、やっとのことで
「おいしい?」
と聞いてはみたが、
「うん」
という俊哉の返事に、それ以上会話を続けることはできなくなった。
亜希が、テーブルに食器を片付けようとすると、俊哉は
「あっ、先生、俺が洗うから」
「いいわよ」
「よくないよ。それくらいはできるから…」
俊哉は、亜希が片付けた食器をシンクに運んで、洗い始めた。
(工藤君…)
亜希は、シンクで食器を洗う俊哉を見ながら、なにか胸に切ない感情がわきあがってくるのを感じていた。
(抱きつかれたけど…弄られたわけじゃない。手はそっと置いたままだったわ…ひとりで…きっと寂しいんだわ…お母さんいないし…そういえば、休みの日は、仕事を手伝ってるんだったわね…)
「工藤君、わたしにもやらせて」
亜希は、俊哉と並んで、食器を拭き始めた。
「いいって…コーヒーいれようか?」
「いいのよ。工藤君こそ、コーヒーのみかけ、ねっ座ってて…」
狭いキッチンで二人の距離は、近すぎた。
俊哉は、亜希の肩をつかんで、薄暗いろうそくの炎の中、亜希の顔をじっと見た。
亜希にはもう恐怖心はなく、持っていたお皿をそっとシンクにおいた。
亜希の反抗2-7
7.失禁
亜希の腰に俊哉の右手が回った。
左手は亜希の右の脇のから背中に…。
(だめ…だわ。…だめよ…こんなこと)
腰をひきつけられただけで亜希の身体が持ち上がる。
長身の俊哉の胸までしかない亜希にかぶさるように俊哉はじっと亜希の目を見つめながら、ゆっくり唇を近づける。
ためらっているのか?試しているのか?いいねと念を押すように、俊哉の唇は、亜希の唇のすぐ手前で止まった。
……亜希は、目を閉じてしまった。
俊哉の舌が、ゆっくりと亜希の中に入ってくる。
亜希は、それも受け入れてしまった。
(工藤君…もう、そこまで…ね…ね…)
俊哉の唇が離れ、亜希が目を開けた次の瞬間、亜希の身体は、ふわっと宙に浮いた。
俊哉は、小柄な亜希を軽々と持ち上げてベッドまで運ぶ
亜希は、それがなぜか、現実のこととして認識できないでいた。
さっきまで俊哉は生徒だった。
突然、乳房を晒され、抱きつかれはしたが、それも思い余った生徒の行為で、力任せのぎこちない行為だった。
少なくとも亜希にはそう思えた。
それが今、一瞬にして変わった。
俊哉に見つめられた、その俊哉の表情、雰囲気。
キスしてから抱き上げるまでの一連の動作。
そして、ベッドに仰向けに寝かされた亜希の横で平然と亜希の髪をなで、腰の上に手を置く落ち着き。亜希は、戸惑い、そして混乱した。
俊哉の手が、ガウンの前をはだけ、亜希の乳房をさまよう。
それは、ついさっき、同じ乳房の上に置かれ、ピクリとも動かなかった強張った手とは、全く別のものだった。
亜希に、再び恐怖の感情が湧き上がった。
「いや。だめ…工藤君。何するの…ね、やめなさい…ね」
亜希は、俊哉の手を払い、起き上がろうとしたが、すぐに俊哉に押さえつけられた。
「先生…もう止まらないよ。ベッドの上まで来て、やめなさいって言われても…。そりゃ、無理。そういうのはキッチンでキスしたときに言ってくれないと…解答欄が違うよ」
俊哉は、亜希の腕を取ると亜希の頭の上に持っていき、その腕の上に座り、太ももで亜希の顔ごと腕も挟みこんだ。
亜希は両腕の自由を奪われ、さらに額に、俊哉の股間のふくらみを押し付けられて、ようやく、教師だ、生徒だといっていられる状況でないことに気がついた。
「やめて…放して…いやーっ」
生まれて初めてとも言える大声を上げたが、すぐに俊哉のお腹が、亜希の上に覆いかぶさった。
顔の上に思い切り乗られた亜希は、息が出来ず、必死の思いで顔を横に向け、とにかくなんとか呼吸だけは確保した。
「声だしても、無駄。誰もいないよ」
俊哉の手が、大きく亜希のガウンの前を広げ、亜希の乳房を晒した。
俊哉は、ゆっくりと亜希の乳房を左右から揉みあげ、両方の乳首を指で挟む。
「うぐっ」
亜希は、乳首を弄られるのが苦手だ。
快感なのかもしれないのだが、それでもむずむずした感触に耐えられず、恋人でさえ、乳首を弄ることは許さなかった。
この状況で快感でないのは当然だが、耐えられないむずむず感は容赦なく亜希を苦しめた。
亜希は、自由になる下半身を大きくよじり、なんとか逃れようと試みたが、俊哉の手が今度は、脇から腰に回った。
左の乳首を弄られ、右の乳首は俊哉の舌でこねまわされる。
腰に伸ばされた手のひじで脇を刺激され、伸ばされた手は、亜希の大腿をぐっとわしづかみにして、亜希の動きを封じた。
(だめ…だめ…だめーっ)
耐え難いむずがゆさに亜希は今にも壊れそうな精神状態を、なんとか正常に保とうと、声にならないうめきを上げた。
(やめて…やめて…やめて…)
亜希は、すでに自分が限界に来ていること悟っていた。
(だめ、このままじゃ…あああ…だめよ)
この感覚に幼い頃からずっと亜希は苦しめられてきた。
ちょっと、脇や乳首に触れられるだけで、大きく拒否反応を示す亜希は、それを面白がられて、よくいじめられた。
小学生の頃、近所の年上の男の子たちに、脇や乳首をつつかれ、おしっこをもらしたことがある。
それ以来、何度かその子たちに同じ目にあわされた。
おしっこをもらす恐怖…亜希は今、その恐怖と戦っていた。
(おしっこ…が…あああ…でる…でちゃう…だめ、だめ)
俊哉の舌が、ようやく乳首を離れ、亜希がふっと息をついた次の瞬間、俊哉の舌が、亜希のおへそを襲った。
急な刺激に、下腹部に力が入り、腰を丸めたとき…
「あああ…」
左の太ももをわしづかみにされて、ひきつけられているうえに、下腹部に力をいれ腰を丸めた直後であったため、亜希のおしっこが、ぴゅっと上にとんだ。
亜希は絶望的な気持ちで、それでも、なんとか我慢しようとしたが、それを見た俊哉が、勢いよく、ぐっと下腹部を抑えた。
止まらなかった。
その瞬間、亜希は頭の中が真っ白になり、全身から力が抜けていった。
「先生…」
俊哉は、急に力が抜け、抵抗の姿勢がなくなった亜希の顔の上から降りて、亜希の顔をのぞきこんだ。
亜希の顔には、表情はなく、涙がつーっと流れ落ちるだけだった。
俊哉は、しばらく、そんな亜希の顔をのぞきこんでいた。
そしておもむろに、亜希の頬に舌を這わし、亜希の涙を舐め取ると、亜希が大量に失禁したことなど、まるでなかったことのように、首筋、そして乳房へと舌を降ろしていった。
ベッドは、亜希のおしっこでぐしょぐしょになっていたが、俊哉はそれを気に留めることもなく、ジーンズとトランクスを脱ぎ下半身裸になると、そのぐしょぐしょなベッドに乗り、亜希の足を肩に乗せ、すっと無抵抗な亜希の中に侵入した。
(犯されてる…)
犯されているという認識はあったが、亜希には、もはやそれすらどうでもいいと思えていた。
正常な思考は無理であったし、今は亜希自身が正常な判断を拒否していた。
俊哉に足をかつがれて、今までとったこともないような姿勢で突かれながら、ぼんやりしていく意識の中で、子宮の奥が、俊哉の動きに反応していることが情けなかった。
「うん…うん…うん……」
俊哉に突かれるたびに、声を発している。
亜希はもう何も考えたくなくなっていた。
俊哉の動きが早くなると、それでも亜希は一瞬緊張したが、俊哉は、寸前で亜希から離れ亜希の顔に放出した。
俊哉は、亜希の顔をティッシュで丹念に拭き、バスルームに向かった後も、亜希は、ただ呆然として横たわったまま動けなかった。
亜希の反抗2-8
8.オナニー
「先生、シャワー浴びる?…動ける?」
そう言うと、バスタオル一枚を腰に巻いただけの俊哉が、亜希の手を取ってゆっくり彼女を起こした。
亜希は、黙って起き上がると、俊哉に手を引かれながらバスルームに向かった。
脱衣場に据え置き型の非常電燈が一個置かれて、バスルームには、懐中電灯が壁のフックに引っ掛けられていた。
亜希の精神状態は、まだ不安定で、ただ、機械的に髪を洗い、身体を洗い、シャワーを浴びるたけだ。
断片的に、先ほどの俊哉の行為が思い返されたが、ただ思い返されただけで、だからどうだということでもなかった。
ぼーっとシャワーを浴び続ける、それだけのことだった。
脱衣場に大きなバスタオルと、乾いた亜希の下着、そしてバスローブが置かれていた。
ようやく灯りがついた。
テレビが急に大きな音でレポーターの台風の現場報道を伝えている。
「先生、電気戻ったから、ドライヤー使えるよ」
俊哉が屈託のない声で亜希に言った。
(何…この子…)
俊哉の、なにもなかったかのような普通の表情に亜希は、さっきの出来事がまるで夢ででもあったかのような錯覚に陥った。
「ちょっと、そこで座ってて…こっち片付けるから…」
俊哉は、ベッドカバーをはずし、カバーの下に敷いてあったマットを丸め、大きなビニル袋に入れると、亜希が出てきたばかりの脱衣場にそれを片付け、新しいカバーと数枚のタオルケットを出して、ベッドを作り直していた。
(私が、汚しちゃったから…)
亜希は、立ち上がると、ベッドルームに行った。
「手伝おうか?」
亜希は、俊哉に話しかけた。
「いいよ。できるから…座ってて」
俊哉は、一瞬、戸惑った表情を見せたが、すぐににこっと笑って答えた。
「私が、汚しちゃったから…」
「先生、…俺がしたんだよ。先生が悪いんじゃない。俺が悪いんだ…ごめん」
俊哉がうつむいて謝った。
「うん…」
亜希は、どう答えていいのか分からず、黙ってただ俊哉の横に立って見ていた。
「ふーっ…できた。だいじょうぶ。ちゃんと寝られるから…」
「ごめんね」
なぜか、亜希はまた謝った。
「先生…謝るのは俺のほうだ。謝っても許してはくれないだろうけど…」
「えっ…うん…そうね」
俊哉は、じっと亜希の顔をのぞきこんで言った。
「俺、先生が好きだって言ったの、うそじゃないよ。だから…俺をどうしてもいいよ。覚悟は出来てるんだ。この写真館継いでもいいしって、それも無理かな、犯罪だからね」
「犯罪?」
「犯罪だよ、まちがいなく…無理やりしたんだし…」
(そうね…レイプだわ…たぶん)
「朝になって、台風が通り過ぎたら、どこにでも行くから…できれば、今だけ、嫌わないで一緒にいてくれないかな。虫のよすぎる注文だけど…」
「そうね…虫が良すぎるわね」
「やっぱり…だよね」
「でも、外に出られないし…しょうがないから、ここにいてあげる」
「えっ…?」
俊哉は、驚いた表情で亜希を見た。
「ばか、犯人が逃げないように見張ってるのよ。ここで…」
亜希は俊哉が憎めなかった。
何もわかってないくせに、責任を取るみたいな子供っぽい背伸びした言い方がおかしかった。
「さっきのコーヒーすごくおいしかった。また、入れてくれる?」
亜希が、笑顔で俊哉にそう言うと、
「そう、それだけは自信があるんだ」
さっき、ベッドで亜希を押さえつけた俊哉とは全くの別人の表情で、本当にうれしそうに笑った。
「さっきは、本当にごめん」
ベッドに向かう亜希に俊哉は、小さな声で言った。
「しょうがない…でも、もうだめ。工藤君はソファで寝てね」
「もちろん」
亜希は、ベッドルームのドアを閉め、横になった。
ふーっ
俊哉の表情が、ずっと脳裏に焼きついて離れなかった。
無邪気な顔、寂しそうな顔、冷たい顔、そして優しい笑顔。
亜希は、眠れないだろうことは知っていた。
目を閉じても浮かんでくる俊哉の顔、だからといってどうすればいいのか。どうしたいかは、わかっていたが、そうすることは出来ない。
亜希は、何度も寝返りを打った。
手が勝手に動いた。
下着を取り、全裸になって、まっすぐ仰向けになって、両手をゆっくり顔の横から頭の上に伸ばした。
ふーっ
それだけで胸が苦しい。
息を整えようと、手をぐっと上に伸ばし、頭の上で手を組んで、大きく深呼吸した。
亜希の胸が大きく膨らみ、お腹がきゅっとへこんだ。お腹を押された俊哉の腕の感覚が残っていた。
亜希は、触れられてもいないのにむずがゆさを感じ、伸ばした足を組んだ。
(だめ、じっとしてられない…)
亜希は、何度も太ももを擦り合わせた。
たった、それだけの刺激でも、奥からあふれてくるものを感じる。
(どういうこと?…私は…あれを望んでるの?…)
「ああ…」
あまりの昂ぶりに亜希は、声を出していたのだが、それすらも気づいてはいなかった。
俊哉は、眠っていたが、時折聞こえる亜希のあえぐ声に、浅い眠りから引き戻された。しばらく、じっと聞き耳を立てていると、亜希の荒い息づかいが聞こえてくる。
「ふぅ……はぁ……はぁ…ぁぁぁ……」
俊哉は、はっきり目が覚めると、立ち上がり、ベッドルームのドアを少し、音を立てないようにそっと開けた。ドアの隙間から、両腕で頭を抱え、仰向けのまま、全裸で、足を何度も何度も組みなおし、太ももをこすり付ける亜希の姿が目に入った。
俊哉は、ゆっくり、足音を忍ばせて、亜希のベッドの横に立った。
俊哉も全裸だった。ただ、裸で寝るのは彼の習慣で、わざわざ全裸になってしのんで来たわけではない。
俊哉が、亜希の顔をのぞき込んでも、亜希はまだ、俊哉の存在に気づかないでいた。
「せんせい」
「ぁ…ぁ…」
亜希の目の前に俊哉がいた。亜希は、しらずしらず声を上げていたことも、俊哉がドアを開ける音も、近づいてくる足音も全く気づかなかった。
「工藤君…」
工藤の目は、無邪気な少年の目ではなかった。
失禁の後はオナニー、これ以上どんな醜態があるだろうか。
亜希は、俊哉の名を呼んで、顔をそむけ、両手で顔を覆った。
亜希の反抗2-9
9.ここで寝ていい?
俊哉は、亜希の横に並んで、脇から、乳房、乳首へと舌を這わした。
もう亜希には、抵抗する気は全くなかった。
先ほどと同じ位置を同じように刺激されて、確かにむずがゆさは同じだったが、今度はそれをがまんしてでも受け入れたい快感があった。
亜希は身をくねらせて必死にむずがゆさに耐えながらも俊哉の行為を妨げようとはしなかった。
腕は頭で組んだままじっと耐えた。
俊哉は、亜希の上にかぶさると、乳首から、ずっとまっすぐ舌を降ろしていった。
お腹を通り、おへそに…そして、俊哉の両腕が太腿にかかると、待っていたかのようにすっと両足を開いた。
俊哉の舌が来た。
舌は、肉襞を左右に広げるように内側から外へと舐め上げ、むき出しにされたクリトリスの周辺をぐるぐる回った。
「ああ…ああああ…あ…ああ…あああ」
ほんの少し、舌がそこに触れるたびに、亜希の声が高まった。
俊哉の舌は執拗に、這うが、肝心なところはわざと避けた。
とうとう亜希の腕が、お腹の上に置かれ、ときおりおへその周辺を刺激していた俊哉の腕に伸びた。亜希は、俊哉の腕を取ると、上に引き寄せた。俊哉の顔が上がった。
「ねぇ……お願い」
今度は、亜希のほうからのお願いだった。俊哉は、それを待っていたのかもしれない。
俊哉は、上体を起こし、仰向けの亜希の頭の上に腕を持っていき、脇をはさむように両膝をついて、亜希の胸の上に馬乗りになった。
頭の上の亜希の手を自分の腕で押さえると、亜希の口に向けて、自分の肉棒を差し出した。亜希は、ためらうことなくそれを口に含んだ。
ゆっくり突かれていた肉棒が、咽の入り口手前で止まると、そのままぐーっと喉の奥にまで侵入してきて、また、ゆっくりと抜かれた。
「ぐふっ…」
亜希は、少しむせたが、素早く息を吸い、次の侵入に備えた。
次もまた喉の奥まで、肉棒の根元まで差し入れられた。
それが、何度か繰り返された後、ようやく俊哉は、亜希の下半身の方にまわり、亜希の身体を横にすると、上になったほうの足を膝のところで持ち上げ左手で抱え、亜希の中、ゆっくり、じわじわと奥深く差し入れた。
じらすような遅い動きだが、奥の奥、子宮にまで俊哉のものが侵入してくるのが感じられた。
ゆっくり入り、奥にあたる最後の瞬間につんっと突かれ、そしてまた、ゆっくり引かれる。
それを繰り返しながら、そのうちにだんだん動きが早くなった。
「ああ…ああ…あああ…あああ…ああ…ああ…」
来そうだった。どんどん押し寄せてくる感覚に亜希は、耐えられず、大声を上げ続けた。
亜希のほうが先に崩れた。
どちらかというと華奢な亜希は、達すると、体中に力が入らなくなる。
横向きの姿勢が維持できず、俊哉に抱えられた腰から上は、ぐったりとうつぶせになってしまった。
息苦しそうに、はぁはぁ肩で大きく息をする亜希を俊哉は、じっと見ていた。
「だいじょうぶ…ごめんね…だいじょうぶだから…もう少し待って…」
亜希はやっとの思いでそれだけ俊哉に伝えると、背中を丸めた。
俊哉は、そんな亜希を背中から優しく抱いて亜希が回復するのを待った。
しばらくして、亜希の息が整うと、後ろでに亜希の手が俊哉の肉棒をつかんだ。
その行為に一瞬、俊哉は驚いたが、すぐに起き上がり、亜希を仰向けにした。
「亜希」
俊哉は、亜希の名を呼んだ
「うん?」
「手を上に伸ばせ」
亜希は、俊哉に従って、手を頭の上に伸ばした。
俊哉は、また亜希の顔をまたいで座った。今度は直接、亜希の顔に俊哉の肉棒が触れた。
(ああ、また…乳首を…)
俊哉は、さっき亜希を失禁させた、その行為を再び繰り返した。
ただ、今度は、そうしながらも亜希の顔に、肉棒を擦り付けた。
今度は、俊哉が、亜希の顔に放出するまで亜希は、必死に耐えた。
「亜希」
「うん?」
「ここで寝ていい?」
無邪気な笑顔で甘えるように俊哉が言った。
「いいよ」
亜希はそう言うと、俊哉の胸に頭を乗せた。
亜希の反抗3-1
第3章
1.台風一過
朝早く、家に帰った亜希は、もう一度シャワーを浴びた
(あーあ…どうしよう…なんてこと…)
まだ、俊哉の肌のぬくもりが感じられる。
(工藤君…誰かに言うかな?…広まったら…あーあ…)
「しょうがない。しちゃったんだもの…」
亜希は、考えるのをやめた。
とんでもないことには違いなかったが、今は、後悔する気になれなかった。
台風一過の晴天、亜希は、また眠った。
「俊哉」
「うん?」
「起きて」
俊哉が目を開けると、由美子がいた。
「由美子…どうした?」
「どうしたって…今日は来ていいって」
「そうか?」
俊哉は、ゆっくり、身体を起した。
「でも、たしか…昼からだったろ」
「2時よ、もう。待ってても起きないから…」
「そうか…もう2時なのか?」
そう言うと、俊哉は由美子の横を全裸のまま通り過ぎ、リビングで服を着た。
「由美子…コーヒー飲むか?」
「ありがとう」
俊哉は、今度はドリップ式のコーヒーメーカーを使った。
「ほい」
俊哉は、由美子の前にコーヒーカップと何枚かの写真の束を置いた。
「この前の写真だ。見るか?」
「私の…?」
俊哉が由美子の写真を撮るのは、それが仕事だからだ。
俊哉の父重雄は、カメラマンだ。
緊縛師の肩書きも持っている。
重雄の撮る緊縛写真は愛好家の中では有名で、同好の者たちが集まって、ちょっとしたクラブも出来ている。
そのクラブの面々が撮った写真は、工藤写真館に持ち込まれる。
俊哉は、中学生の頃には、そんなフィルムの現像やプリントも手伝っていた。
ここに由美子の写真が持ち込まれたのは、俊哉が中3のときだ。
写真を持ち込んだのは、由美子には血のつながらない兄、輝夫だった。
由美子が同級生であることは知っていたが、それを口にする俊哉でもない。
写真というものは、動きの中の瞬間を切り取る。
瞬間という時間は、時に多くことを物語る。
裸の中学生を縛って写真を撮ること自体、犯罪には違いないが、羞恥や官能や苦痛なら、モデルが子どもであってもプリントする。
だが、恐怖や憎悪の表情を愛好するとなると話は別だ。
工藤写真館は、犯罪者の仕事は受けない。
それが、父重雄の口癖だ。
輝夫の父親、泰造は会員だが、輝夫は、クラブの会員でもない。
俊哉は、プリントすることをやめた。
由美子の家で何があったのかは知らないが、しばらくして、今度は、由美子の撮影の依頼が入った。
依頼者は、由美子の母、美由紀。
美由紀は、父親の重雄ではなく、俊哉に撮って欲しいと言ってきた。
由美子もそれに同意した。
断る理由はない。
それ以来、俊哉は、定期的に由美子を撮ってきた。
由美子は、どんなポーズでも俊哉の言うとおりにする。
しかし、由美子が、出来上がった写真を見ることはほとんどない。
由美子は、ためらったが、差し出された写真の束を手にとって、何枚か見た。
目隠しをして、座って膝を立てて足を開いている写真。
目隠しは、顔を隠すためのもの。
短いスカートでしゃがんだ写真。
幅の狭いショーツは、由美子のたっぷりしたお尻の肉の中に埋もれてしまっている。
透けたレオタード、四つんばいでお尻を高く突き出したもの。
由美子のお尻は、柔らかく、つんと上を向いているが、それでいてボリュームがあった。
俊哉もまた、由美子のお尻を撮った。
写真も圧倒的にお尻の写真が多い。
由美子は、黙って、また写真を束にしてテーブルに置いた。
「お尻の写真が…多いのね」
由美子は、ぽつりと独り言のように呟いた。
「お尻の注文が多いんでね…」
事も無げに俊哉は答える。
「俊哉は…どう?わたしのお尻?」
「何を訊いている?…俺がお前のお尻を好きかっていうことか?それとも他のモデルと比べてどうかっていうことか?」
「ううん。ごめん、いい」
由美子は、ばかなことを訊いたと後悔した。
“お前のお尻が好きだ”だなんて、口にするような俊哉ではない。
お尻に限らない、由美子は、今までただの一度も好きだと言われたことはない。
「きれいなお尻だと思うよ。すけべなオヤジたちにはたまらないお尻だろう、きっと…」
「きれいなお尻?…ありがとう」
「ほめてるとは限らないだろう」
「でも、きれいって…」
「お尻だぞ。顔じゃない」
「ううん。お尻でもいいの。どこでもいいの。きれいって…初めて言われたから…」
由美子が言い終わらないうちに、俊哉は、2杯目のコーヒーを入れに行った。
由美子の写真の束の下に、もう一組写真があった。
中学生くらいだろうか、小柄な女の子が縛られている。
「それは、見るな」
俊哉が写真を取り上げた。
「かわいそう」
由美子が見ても明らかに犯罪写真だ。
「だな」
「これ、どうするの?」
「捨てる」
「それだけ?」
俊哉は、口をつぐんだ。