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晴美の就活2-5
5.俺にあわせろ
「ねぇ、お願い。これ全部消して」
「そうだな。消してやってもいいが…」
慎吾は、画面を閉じてインターネットに接続した。
「条件がある」
慎吾に真正面から見つめられ、晴美は目をそらした。
ほとんど裸に近い姿を見られた直後だ。
とても目をあわせられなかった。
「条件って?」
「お前、あそこの奥さんと親しいか?」
「親しいってわけじゃないけど…」
「奥さんと外で会いたいんだ」
「どういうこと?」
「親しくなりたいっていうことだ」
「わたしより、あなたのほうが長いでしょ」
「何度か話はして、印象としてはけっこういい線いってるはずなんだが、こっちから誘うのは、なかなか難しくてな」
慎吾は、冷蔵庫から缶コーヒーを取り出して、晴美にも渡した。
「奥さんに取り入るの?」
「あんたは女だから、健作にでも理事長にでも取り入ればいいが、俺は男だからね」
「ひどい言い方。わたしは誰にも取り入ってないわ」
「生徒の前で裸になる女が何言ってんの」
「最低」
晴美は、それ以上、何も言い返せない。
「奥さんを、ショッピングでも食事でもいいから、外に引っ張り出して欲しいんだ」
慎吾は、晴美の気持ちなどお構いなしに話を続ける。
(ショッピング…)
いつと決まったわけでもないし、もしかしたら冗談だったのかもしれないが、晴美は、美代子といっしょにメイド服を買いに行くことになっていることを思い出した。
「引っ張り出して、どうするの?」
「俺もいっしょに行く」
「そんなぁ」
「そこで、俺が奥さんに気があるので無理矢理ついてきたんだとこっそり伝えろ」
「奥さんがいやがったら?」
「息子の家庭教師だぜ。たかが、ショッピングや食事で、追い返したりはしないだろう」
「まぁ、そうだろうけど」
「どうだ?」
慎吾が返事を促した。
「それだけでいいのね」
「いや、まだだ」
「他にもあるの?」
「俺が奥さんと話しているとき、余計なことは言うな。それから、すべて俺の話にあわせろ」
「どういうこと?」
「なり行きでどういう話になるかわからないからな」
「何か、考えてるの?」
「あの奥さん、マゾっぽいだろ」
「えっ?」
晴美は、突然の慎吾の言葉についていけない。
「理事長の奥さんは、ドMだっていう噂だ」
言われてみれば、そんな気もしないではない。
あの年齢で、仕事でもないのにメイド服を着てみたいなんていうのも、それっぽい。
「だから何?」
「いや、もしそうなら、おもいしろいと思っただけだ」
「いやらしい」
「俺、けっこうあの奥さんに興味があるんだ。うまくいったら、お前のデータはみんな消去してやるよ」
「うまくいくかいかないかは、あんたの問題でしょ」
「そうだけどな。俺がうまくいかないのに、お前がうまくいくってのは面白くない」
「最低」
慎吾がディスプレイに目をやった。
「何なの、それ?」
「画像の投稿掲示板だ」
画面にいくつもの女性の恥ずかしい写真が並んだ。
晴美は、慎吾の意図がわかった。
「まさか、そこに投稿する気じゃないでしょうね」
「お前の協力次第だな」
「ひどい」
慎吾が別のサイトを開けた。
「何、これ」
大きく表示されたタイトルは、“晴美の就活日記”
「ブログだ」
慎吾が平然と答える。
トップに、モザも何もない、素顔の晴美の裸の写真が表示された。
「やめて」
「大丈夫だ。まだ公開してない」
「ひどい。最低」
「いいな。俺の言うことをきくんだ。何でも俺に合わせろ。俺の言うとおりだ。…いいな」
従うしかない。
もちろん、慎吾のやってることは犯罪には違いない。
「犯罪だわ」
「だから何だ?できるわけがないと思ってるのか?」
慎吾は携帯を取り出した。
「実は、俺はもう一軒、家庭教師をしてる。そっちも付属の生徒だ。そいつに送ることもできる」
慎吾の形態に晴美の写真が表示された。
(そんなところにも…)
「奥さんにあんたが健作を誘惑していると話すこともできる」
慎吾の話は、どんどん具体性を帯びてくる。
最後の一言は犯罪ではない。
むしろ、犯罪に近いのは晴美のほうだ。
「わかったわ。奥さんに話してみる」
「俺の言うとおりにするか?」
晴美はうなずいた。
「じゃぁ、これを見てもらおうか」
慎吾は、今度はDVDをセットして再生した。
写真のショックで晴美はビデオのことを忘れていた。
映し出された映像は、まぎれもなく晴美だ。
少し斜め下からの映像。
(ああ、そう言えば、テーブルの上にカメラが置いてあった)
晴美はようやく思い出した。
「やめて…」
慎吾に頼むが、もちろん慎吾がそれをきくはずもない。
晴美の着替えが始まった。
ご丁寧にカメラに向って生のお尻を突き出すようにして、水着に着替えている。
思わず、立ち上がろうとする晴美の肩を慎吾が押さえた。
「最後まで見るんだ」
強い力だった。
晴美は、そのとき初めて慎吾を怖いと思った。
慎吾の部屋に慎吾とふたりきりだという現実。
晴美は、おとなしく慎吾に従った。
(ここから、逃げないと…)
晴美は、画面よりも横にいる慎吾に最大限の注意を集中させた。
「今日、奥さんに呼ばれてるの。そろそろ行かないと…」
「そうか?」
慎吾が再生を中断した。
「会って、奥さんと外で会うように話すわ」
「わかった。じゃぁ、これはやるから、家でひとりでじっくり見るんだな」
慎吾は、再生していたDVDを取り出し、あっさりと晴美を解放した。
晴美の就活3-1
1.ショッピング
「悪いわね。晴美さん、つき合わせちゃって…。慎吾さんも…」
晴美は、メイド服を買いに行くという美代子の言葉を、まさか、冗談だと思っていたが、意外にも美代子は本気だった。
慎吾もいっしょでいいかと聞くと、美代子はあっさりとOKした。
“男の人といっしょのほうがいいの”
美代子はそう言った。
「ここよ」
CD・DVDショップ脇の階段を上がった2階。
ショーウィンドーには、チャイナ服、セーラー服といったコスプレの衣装が何点か並んでいた。
まるで喫茶店のような木のドアを開けて中に入った。
「主人が、こういうのが好きで、昔はよく来たの」
なるほど、男の人といっしょのほうがいいと言った美代子のことばもうなずける。
とても女性が入れる店ではなかった。
入ってすぐのところに並んでいるのは、ランジェリーだったが…。
「慎吾さんは、どういうのが好み?」
美代子が、ブラとショーツのセットになったものを手に取りながら慎吾に話しかけた。
「僕は、タイツが…」
「全身の?」
慎吾がうなずく。
「メッシュとか網とか?」
「ええ。まぁ」
タイツは、そこの次の次のブースだ。
美代子は、何も言わず、すぐにそこに移動した。
「じゃぁ、ここで好きなのを選んで」
「選ぶ?」
慎吾が聞き返した。
「ええ。今日は、わざわざ付き合っていただいたんで、わたしからお二人にプレゼント」
(お二人?)
今度は晴美が驚いた。
「こういうのは、ワンサイズだけど、晴美さんは標準的な体型だから、たぶん、どれでも合うわ。だいじょうぶよ」
(晴美さんって…、どういうこと?まさか、わたしが着るの?…これを?)
晴美は、美代子が誤解していることにようやく気がついた。
(美代子さん、わたしがこの男と付き合っていると思ってるんだ)
「いえ。あのぉ…」
晴美が慎吾と美代子の会話に割り込もうとするのを慎吾が制した。
「そうですか…ありがとうございます。じゃぁ、遠慮なく…」
慎吾の言うことに話を合わせる約束だ。
晴美は、黙った。
「これなんか、いいかな?」
慎吾が手に取ったものは、メッシュのボディストッキング、表にそれを着用したモデルの写真があった。
「大胆…。いいわね、若い娘は…」
晴美は美代子に見つめられ、うつむいた。
自分が着ると思われているだけで恥ずかしかった。
「こういうのは?」
美代子が、すぐ脇のワゴンの中にあったアイマスクを手に取った。
「目隠しですか?」
「使ったことは?」
「いえ、ないです」
「そう。どうかしら?」
美代子は、それを晴美に聞いた。
「えっ?」
美代子の後ろで、慎吾がきつい表情でうなずく。
「使ってみる?」
「えっ、ええ。は…はい」
そう答えるしかない。
「じゃぁ、これもね」
美代子は、手にしていたアイマスクを慎吾に渡して、ようやくメイド服の場所へと向った。
「晴美さんがお見せで着てたのってどういうの?」
美代子に訊かれ、晴美は、それっぽいものを探し出した。
「かわいいわね」
メイド喫茶はそれが売りだ。
「わたしにはとても無理ね」
そんなことないですよと言うべきなのだろうが、あまりに嘘くさいので、晴美は何も言えなかった。
「晴美さんなら似合うんでしょうね。うらやましいわ」
うらやましがられるほどのものでもないが、そう言われて気分は悪くない。
「わたしは、かわいいはもう無理だから…、こういうのかな?」
美代子が手に取ったのは、ワンピース型のエプロンが一体になったもので、かなり短い。
肩のストラップも外せるようになっている。
“理事長の奥さんはドMだ”と言った慎吾の言葉が脳裏に浮かんだ。
「晴美さんは?」
美代子は晴美にも自分のものを選ぶように促した。
「いえ。わたしは…」
晴美が断ろうとするのを、また慎吾がさえぎった。
「こんなのどうだ?」
慎吾が手にしているのは超ミニのエプロンと一体になったスカートに胸当てがついているだけのもので
服というより、エプロンの部類に入る代物だ。
「あらあら、裸専用って感じね」
まさに美代子の言うとおりだ。
(こんなもの買わせてどうするつもりなの?)
晴美は、慎吾の意図をはかりかねた。
「ねぇ、晴美さん」
「はい?」
「これ試着してみてくれない」
そう言って美代子は、自分用に選んだワンピース型のメイド服を晴美に渡そうとする。
「えっ、でも、これは、奥様の…」
「ちょっと丈が気になるの。自分が着るとよくわからないでしょ」
スカートの丈は、自分ではどのくらいなのかよくわからない。
どのくらいかがむとお尻が見えてしまうのかというようなことは、誰かに着てもらわないと自分ではわからない。
美代子の頼みだ。
断るわけにもいかない。
試着室で着替え終わると、晴美はカーテンを少し開けた。
「着替えた?」
すぐに美代子が訊いてきた。
「はい」
「開けていい?」
晴美が自分でカーテンを開けた。
「いいわね。晴美さん、こういうのもセクシーでいいわね。よく似合ってる」
「そうですか?」
晴美の視野の中に他の客が3人ほど入った。
3人とも男性だ。
そのうちの一人は、晴美と目が合うと、慌てて視線を外したが、すぐにまた晴美のほうに目をやる。
「後ろを見せて」
晴美は美代子の注文に応じた。
「ちょっと前にかがんでみて」
かなり短いワンピースだ。
かがめば、おそらくお尻が出てしまう。
晴美は、他の客と、美代子の横にいる慎吾が気になったが、言われたとおり、少しずつ前に身体を倒していく。
晴美は、美代子が止めてくれると思っていたが、まったくその声はかからない。
(もう見えてるでしょ。美代子さん)
「もういいですか?」
「ええ。ありがとう」
晴美が着替え終わると、美代子は晴美に着てもらったワンピースを慎吾に渡した。
「慎吾さん、お支払い頼めるかしら?」
「はい」
いつのまにか慎吾はカゴを持ち出してきていた。
晴美は持っていた美代子のワンピースをそのかごに入れた。
かごの中には、慎吾の選んだボディストッキングとエプロン、それに美代子のワンピースとアイマスクの他に、晴美が試着している間に、いくつか別の品物が入れられていた。
晴美の就活3-2
2.招待
「ショッピングに付き合っていただいたお礼に夕食はうちでご馳走するわ。どうかしら?」
「ありがとうございます」
慎吾が即座に答えた。
「そう。じゃぁ、このまま家まで来てくださる?」
慎吾の返事が二人の返事と理解されたようだ。
晴美が割って入ろうとしたとき、慎吾にぎゅっと手首を握られた。
黙って従えということなのだろう。
どちらにしても荷物を美代子に持たせるわけにもいかない。
しかたなく晴美は黙って二人について行った。
「今日、健作君は?」
田所の家に着くなり、慎吾が美代子に聞いた。
「健作はお友達のところに泊まるって…」
「そうですか?」
「CGでアニメを作ってるらしいんですよ。本当に、そんなことばっかりして…ねぇ?」
「いいじゃないですか。そのくらいの楽しみがないと、逆に成績も下がっちゃいますよ。英語も成績上がってきてるし…」
「そうね。晴美さんのおかげね」
「いえ、そんな…」
自分へのあてつけに違いないと晴美は思った。
「このあいだなんか、途中で休憩入れたら、いきなり単語の勉強を始めたんですよ。おいおいって感じでしたよ」
慎吾の作り話に違いない。
「前は、いつ行っても数学だったのに、この頃は英語をやってることが多いわ。あの子、晴美さんが気に入ったのかしら?…あら、ごめんなさい」
美代子は、慎吾に謝った。
「いえ、別にかまわないですよ。生徒に気に入られるのも教師の資質だって言われたことがあります」
慎吾の嫌味に拍車がかかる。
「そうね。嫌いな人からは学べませんものねぇ。でも、晴美さん。健作がもし変なことを言ったら、容赦なく叱ってくださいね」
(変なことって?)
「いえ、別にそんなことは…」
今までは黙っていただけだが、これで嘘をついたことになる。
慎吾の思う壺だとは知りながらも、晴美はそう答えるしかなかった。
「じゃぁ、食事の準備をしますから、少し、待っててくださいね」
美代子がキッチンに向かうと、慎吾は晴美を見て、キッチンに行って手伝うように目で合図をする。
まぁ、こういう場合、手伝うのが普通だ。
「奥様、わたし、手伝います。下手ですけど、何かできることがあれば…」
晴美が美代子の後からキッチンに入ると、なぜか、慎吾もついてきた。
「奥さん、あれ、着ないんですか?」
さっき買ったエプロンタイプのワンピースのことだ。
「やだわ。恥ずかしい」
「健作君、いないし…」
「そうぅお?でも、やっぱり…」
美代子は恥ずかしがってはいるが、着てみたいという気持ちは、晴美にもありありと伝わってくる。
「そうだ。晴美さんもいっしょに、どう?」
「えっ?でも…」
まさか、そういうフリがあるとは思ってもいなかった。
美代子のは、かなり短いとはいえ、エプロンタイプのワンピースだ。
しかし、晴美用に買ったのはメッシュのボディストッキングでメイド服でもエプロンでもない。
「あの上にエプロンすれば?」
慎吾が口を挟んだ。
「そうそう。エプロンならいくつもあるのよ。気に入ったのを選んで」
(そんなぁ…)
美代子は、あのエプロンを着たいのだ。
晴美がここで、拒絶すれば、美代子も着れなくなる。
「エプロンは、あっちにあるの。行く?」
美代子はもう歩き始めている。
選択肢はなかった。
晴美は、美代子の後をついて行った。
美代子が言うようにエプロンはかなりあった。
恥ずかしがっていたわりに美代子はすぐに着替え始めた。
(えっ?)
なんと美代子は、ブラもはずして、ショーツだけの格好になっている。
確かにそれを前提としたようなワンピースではあったが、まさか美代子が裸になるとは思っていなかった。
晴美も着替えないわけには行かない。
股間も腰の両サイドも大きくカッティングされたボディストッキング。
メッシュではあったが、目は粗く、乳首は全く隠れない。
晴美は、なんとか体全体を包んでくれるようなエプロンを探したが、あるはずもない。
美代子はもう着替え終わった。
いつまでもエプロンで悩んでいる場合でもない。
晴美は、周りにフリルのついた白いエプロンを選んだ。
一番ゆったりと大きく見えたから選んだのだが、身につけてみて初めて晴美は気がついた。
フリルがあるせいで生地部分は意外と狭く、胸もお尻もかなりの部分が露出している。
「すごい、セクシー」
背中から美代子の声がかかった。
「いいわ。若い人は…。本当にうらやましい」
“理事長の奥さんは、ドMだっていう噂だ”
晴美は、慎吾の言葉を思い返した。
きっと自分も同じ仲間だと思われているに違いない。
「そんな…。奥様こそ、すごいセクシーです」
それは、お世辞でもなんでもない事実だった。
肌の色艶は、晴美と比べて決して劣らない。
16歳の子供を持つ女性とはとても思えない若さだ。
服の上からは想像もできなかったが、乳房もかなりのボリュームで胸当てかさ左右に大きくはみ出している。
「そう?ありがとう」
そう言うと、美代子はすぐにキッチンへと戻っていく。
そこには慎吾がいるはずだ。
晴美は、しばらくためらったが、出て行かないわけにも行かない。
晴美は太ももをこするようにして歩いた。
晴美の就活3-3
3.恥ずかしい
「もう用意はしてあるの。冷蔵庫の中のタッパーを出していただける?」
晴美は冷蔵庫の前でしゃがんでドアを開けた。
大型の冷蔵庫なのでなにもしゃがまなくても取り出せるのだが、そうすると美代子に向ってお尻を突き出すことになる。
「ねぇ、そういう格好で、よくするの?」
美代子はレンジで温めたものをお皿に盛りつけながら、晴美に聞いた。
そういう格好をよくするのかと聞いているわけではない。
そういう格好で、よくするのかと聞いているのだ。
美代子は、完全に晴美と慎吾がそういう関係なのだと決め込んでいる。
「いえ…」
晴美は、その後をどう言っていいのかわからない。
美代子の声は、隣の居間の慎吾にも聞こえているはずだ。
「これ、テーブルに並べてくださる?」
晴美は、美代子が盛ったお皿を居間のテーブルへと運んだ。
慎吾がじっと見ている。
晴美は、お皿をテーブルに並べると、背中を壁に向けて後ずさりをするようにキッチンに戻った。
「恥ずかしい?」
後ろ向きでキッチンに戻った晴美の背後で美代子の声がした。
(えっ?)
晴美の背中にぴったりと美代子が張り付いてきた。
「奥様…」
美代子は、晴美のエプロンの胸当ての中に手を差し入れた。
「男の人ってキッチンとかで、よくこうしない?」
美代子が人差し指と中指で晴美の乳首をはさんで、他の指で乳房をもむ。
美代子が性的に興奮しているのは晴美にもわかる。
“はい”と答えれば、美代子の行為はおそらくもっとエスカレートするに違いない。
“いいえ”と言えば、盛り上がっている美代子に水をさすことになる。
(奥様、やめてください)
晴美の視線が慎吾の視線とぶつかった。
「恥ずかしいです…」
晴美は、顔を伏せた。
背中に押し付けられた美代子の乳房が円を描くように動き始める。
「ごめんなさい。でも、わたしはこういうのが好きなの。嫌ならそう言って…」
美代子の右手が下にさがり、エプロンの脇から股間に伸びてくる。
「だめ…」
晴美が、小さな声でそう言って腰を引くのに合わせるように、美代子は下げた右腕を元の乳房に戻し、今度は逆に左手を後ろから股間に差し入れた。
自分からお尻を後ろに突き出したような格好になった。
美代子の指は、なんの抵抗もなく、すっと晴美の中に吸い込まれた。
(ああ、だめ…)
ここで感じてしまうわけにはいかない。
そんなことになれば、ますます美代子の行為がエスカレートする。
晴美は、美代子の指が、深く入らないように突き出したお尻を元に戻そうとするが、そうできないように美代子は晴美の中に挿入した中指と薬指と外の親指で晴美の股間をつかんだ。
不意に美代子の親指が晴美のアナルの上に乗った。
「ああっ…」
美代子の親指がアナルに食い込んだ。
晴美は、思わず前のめりになり壁に手をつく。
「晴美さんもわたしと同じかもしれないわね」
美代子が今度は晴美の耳元で囁いた。
(濡れてる…)
いくら感じないように心でそう思っても、身体は正直な反応をする。
そこがもう十分に濡れていることを晴美も知っていた。
「ねぇ、今度は、わたしに同じことをしてくださらない?」
美代子は、晴美にそう囁いて、ワインを持って晴美の前に回った。
晴美の前に立てば、そこは居間だ。
「テーブルに行きましょう?」
晴美は先に歩く美代子の後ろをついて歩いた。
(同じことをここでするの?)
テーブルにワインのボトルを置いた美代子が、そのままの姿勢で待っている。
しないわけにはいかない。
晴美は、美代子の背中に寄り添うと、エプロンタイプのワンピースの胸元に脇から両手を差し入れた。
美代子の胸の前で腕を交差させ、右手で美代子の左の乳房を左手で右の乳房をもんだ。
胸当てはすぐに中央により、美代子の左右の乳房があらわになる。
慎吾が身を乗り出した。
「晴美さん。お願い、あそこを…」
さきほど美代子のされたように、晴美は美代子の後ろから少し横にずれて立ち、左手を降ろし、指を二本前に差し入れて、さらに親指をアナルに食い込ませた。
美代子のアナルは、晴美の親指を第一関節まですんなりと飲み込んだ。
(奥さん…)
晴美は当然ながら他の女性のその部分に指を入れたことなどない。
ましてアナルなど、なおさらだ。
初めての指の感触。
美代子の興奮に引きずられるように晴美もだんだん昂ぶってきていた。
「奥さん」
慎吾が立ち上がり、美代子の唇に顔を近づけると
「だめよ、慎吾さん。あなたは晴美さん」
(そんなぁ、奥さん、いいんです。いいんですよ、わたしじゃなくて…)
「…ですね」
慎吾が晴美の横に立った。
慎吾の手が晴美の乳房と股間に伸びる。
美代子の手が慎吾の股間に伸びていることに晴美は気づかなかった。
晴美の就活3-4
4.ただの性器
慎吾の右手が晴美の乳房に乗った。
晴美は身体を強張らせたが、逃げるわけにもいかない。
晴美がうつむいたのを見て、慎吾は、今度は左手を晴美の股間に当てた。
どちらの手も当てただけでなぜか動かさない。
(フリだけ?)
それならありがたいのだが…。
(どうしよう?)
このまま美代子への愛撫を続けるしかないのだが…。
(どこまでいくんだろう?)
このままエスカレートすれば、それはそのまま自分にも跳ね返ってくるに違いない。
とは言え、すでに昂ぶっている美代子への愛撫を打ち切る口実も思いつかない。
(ああっ)
不意に慎吾の指に力が入った。
(やっぱり…)
晴美のささやかな期待は裏切られた。
徐々に徐々に乳房に指が食い込んで来た。
ゆっくり加えられる痛みは、それほど痛くは感じない。
「あっ」
乳房に注意がいっている隙に、股間に置かれていただけの慎吾の指がいっきに晴美の中に入ってきた。
慎吾は、すぐに晴美の中で二本の指の先端を小刻みに震わせた。
(ああ、だめ。やめて…。いじらないで…)
足元が不安定になって、晴美は美代子にもたれかかるようにおでこを美代子の背中にくっつけて身体を支えた。
(どういうこと?いつの間に…)
晴美の視線の先に美代子の手に握られた慎吾のペニスが映った。
美代子に握られた慎吾のペニスは、すでに十分の大きさだ。
“このままエスカレートすれば”どころではない。
事態は、すでに最悪の状況になっていた。
不意に美代子が体の向きを変えて晴美に向かい合った。
(美代子さん、どうするの?)
考えている暇もなく、晴美は、すぐに慎吾に頭をもたれ、慎吾の股間へと引き寄せられた。
晴美も向きを変えるしかない。
小柄な美代子が晴美の足の間に座り込んだ。
(いや、だめ。美代子さん)
美代子は、晴美の股間に強く舌を押し付けてきた。
慎吾のペニスが、晴美の口に当てられた。
(やめて、慎吾…)
慎吾は、晴美の顔を両手で挟み、まっすぐ前を向かせて、ペニスを晴美の口に差し入れてきた。
慎吾のペニスが、ゆっくりと前に進んでくる。
喉にあたった。
(やめて…苦しい…お願い…)
慎吾のペニスは、吐きそうになるぎりぎりのところで止って戻っていく。
また来た。
(あああああああああ…)
また戻っていく。
「はぁ…はぁ…」
喉に押し込まれたわけではないが精神的な緊張と美代子の舌で晴美の息が乱れた。
美代子の舌が離れると、慎吾も晴美の口から離れた。
「来て」
背中で美代子の声がして、晴美は振り返った。
(なんて格好…)
美代子は、イスに逆向きにまたがっていた。
大きく足を開いてイスをまたぎ、背もたれに乳房を押し付けてお尻を後ろに突き出している。
エプロンタイプのワンピースはまくれあがり、ノーパンのお尻が丸出し。
お尻の穴も、あそこも丸見えだ。
見ているほうが恥ずかしい。
「舐めて…」
晴美にはとても自分から口にできる言葉ではない。
心臓が口から飛び出してきそうなほど興奮した。
慎吾に背中を押されて晴美は、突き出された美代子の股間に舌を当てた。
後ろに慎吾がいる。
慎吾の手が晴美の腰骨をつかみ、晴美のお尻が持ち上げられた。
(しょうがない…)
晴美は覚悟を決めた。
当然のように慎吾が挿入してくる。
晴美は、もう何も考えず、舌先を美代子のアナルに押し込んだ。
「ああああ」
美代子が声をあげた。
(ああ・・・いい)
慎吾が奥まで入ってきて左右に動いた。
何度か中断し、また思い出したように晴美の舌は動いたが、慎吾が、激しく突き始めると、やがて全く動かなくなった。
「ああああっ」
今度は晴美の声だ。
晴美が崩れるように床に座り込む。
その晴美をまたぐようにして慎吾は、美代子の中に挿入した。
晴美の目の前で、慎吾のペニスが美代子の中に入っていく。
生まれて初めて見る光景だ。
晴美は、這うようにして横に出た。
生のお尻だけが突き出された格好は、まるでそこだけの生き物のように見えた。
性器という生き物。
(わたしも同じ…)
股間が大きく開いたメッシュのボディストッキング。
晴美は、自分も今、そうやって慎吾に向かって生のお尻を突き出していたのだと思った。
「ああ、だめよ。慎吾さん…」
相当遅れて、美代子はそう口にしたが、美代子も慎吾も、もう直前だ。
お互いにやめられる状態ではない。
「うっ」
慎吾が一瞬早かったが、慎吾はそのまま中でとどまった。
「あっ」
美代子は乳房がつぶれるほどイスの背もたれを抱きかかえた。
「えっ?」
限界まで美代子の中にとどまっていた慎吾が離れ、床にぺったりと座った晴美の顔にまたがった。
とっさに目を閉じた晴美の頬に、生温かいものがかかって流れた。